ミリキシム100mgは、細菌細胞壁を構成するペニシリン結合たんぱく(PBP)と強く結合し、細菌細胞壁の合成を抑制することで抗菌作用を示す抗生物質で、以下に適応します。
・適応菌種
セフィキシムに感性のレンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌
・適応症
急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、胆のう炎、胆管炎、中耳炎、副鼻腔炎、しょうこう熱
細菌は、人体を含む地球上のあらゆる環境に存在している微小な生物で、光合成や窒素固定、有機物の分解過程などの物資循環において重要な役割を果たしています。
その中には大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌などのように人間に対して害を与えるものもあれば、ビフィズス菌、乳酸球菌など人間にとって有用なもの、また特に何の影響を与えないものなど、その個体数は5×1030とも言われています。
細菌は独立したひとつの細胞ですが、すべての細胞はたんぱく質と脂質からできた細胞膜という薄い膜で包まれており、細菌の場合はさらに外部との浸透圧からその構造や強度を保つために細胞壁という層に囲まれています。
この細胞壁を形成しているのがペプチドグリカンという高分子です。
ペプチドグリカンは細胞質膜に存在するペニシリン結合たんぱく質(PBP)が作用して作られていますが、この働きを阻害するのがミリキシム100mgの有効成分であるセフィキシムです。
例えば細胞が2つに分裂する場合、まずあらかじめ2つ分の細胞質構成、細胞膜、細胞壁、外膜などの付属器官がつくられた後に分かれます。
しかしセフィキシムによってペプチドグリカンの合成を阻害された細菌は複数分の細胞壁をつくることができなくなるため、分裂に伴って細胞壁が薄くなり、結果として増殖が抑制され (静菌作用)、さらに細胞と外液との浸透圧差が原因で細菌は死滅することになるのです(殺菌作用)。
ちなみに人間の細胞は細胞壁を持たないため、抗生物質が人間の細胞に影響を与えることはありません。
またミリキシム100mgはその広いスペクトラムから、淋病に対しても強い抗菌力を有する抗生物質です。
男性は尿道炎、女性は子宮頚管炎が性感染症全体のうち約8割を占めますが、その中でも淋菌感染症は性器クラミジア感染症と並んで頻度の高い性感染症と言われています。
淋病は淋菌による感染症で、キスやオーラルセックスなど粘膜の接触により感染し、約2-7日で発病します。
1984年をピークに減少の傾向をたどっていましたが、1990年代半ばから再び上昇しているとの報告もあります。
男性の症状として尿道内の炎症があり、排尿痛や黄緑色の排膿を伴います。
そのままにしておいても症状が治まる場合もありますが、淋菌はそのまま尿道内にとどまっているため、相手に感染させたり再発することもあります。
また症状がひどくなった場合は、精巣上体炎(副睾丸炎)の併発や性管炎などを伴い、最終的に閉塞性無精子症になる可能性もあります。
女性の場合は概して子宮頚管炎が起こり、不正出血やおりものなどが認められますが、男性と比べて症状が少ないために淋病に感染したと気づかないことが多々あります。
淋菌はさらに卵管まで移動して炎症を起こし、卵管がつまることで妊娠できなくなったり、また場合によって上腹部まで到達して肝臓の周囲に炎症を起こすこともあります。
淋病の治療には通常抗生物質が使用されます。
服用中に症状がなくなることがありますが、菌が死滅したわけではないので、再び感染するおそれがあります。
淋病の完治には、処方された量をきちんと最後まで服用することが大切です。