【禁忌】
・アポ・パロキセチン20mgの成分に対し過敏症の既往歴のある人
・MAO阻害剤を服用中あるいは服用中止後2週間以内の人
・ピモジドを服用中の人
【警告】
海外で実施した7-18歳の大うつ病性障害の人を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、アポ・パロキセチン20mgを18歳未満の大うつ病性障害の人が使用する際には適応を慎重に検討してください。
【慎重服用】
・躁うつ病の人: そう転、自殺企図が現れることがあります。
・自殺念慮または自殺企図の既往のある人、自殺念慮のある人: 自殺念慮、自殺企図が現れることがあります。
・脳の器質的障害または統合失調症の素因のある人: 精神症状を増悪させることがあります。
・衝動性が高い併存障害を有する人: 精神症状を増悪させることがあります。
・てんかんの既往歴のある人: てんかん発作が現れることがあります。
・緑内障のある人: 散瞳が現れることがあります。
・抗精神病剤を服用中の人: 悪性症候群が現れるおそれがあります。
・高齢者
・出血の危険性を高める薬剤を併用している人、出血傾向または出血性素因のある人: 皮膚および粘膜出血(胃腸出血など)が報告されています。
【重要な基本的注意】
・眠気、めまいなどが現れることがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械を操作する際には充分注意してください。これらの症状は治療開始早期に多くに見られています。
・うつ症状を呈する人は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような人は服用開始早期ならびに服用量を変更する際には状態および病態の変化を注意深く観察してください。
なお、うつ病・うつ状態以外でアポ・パロキセチン20mgの適応となる精神状態においても自殺企図のおそれがあり、さらにうつ病・うつ状態を伴う場合もあるので、このような人も注意深く観察しながら服用してください。
・不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽そう、そう病などが現れることが報告されています。また因果関係は明らかではありませんが、これらの症状・行動を来たした症例において、基礎疾患の悪化または自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されています。状態および病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行なってください。
・若年成人(特に大うつ病性障害の人)において、パロキセチン服用中に自殺行動(自殺既遂、自殺企図)のリスクが高くなる可能性が報告されているため、これらの人が服用する場合には注意深く観察してください。
・自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる人が服用する場合には、1回分の服用日数を最低限にとどめてください。
・家族などにも自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性などの行動の変化および基礎疾患悪化が現れるリスクなどについて充分説明を行ない、医師と緊密に連絡を取り合うようにしてください。
・大うつ病エピソードは、双極性障害の初発症状である可能性があり、抗うつ剤単独で治療した場合、そう転や病相の不安定化を招くことが一般的に知られています。従って、双極性障害を適切に鑑別してください。
・服用中止(特に突然の中止)または減量により、めまい、知覚障害(錯覚感、電気ショック様感覚、耳鳴など)、睡眠障害(悪夢を含む)、不安、焦燥、興奮、吐き気、ふるえ、錯乱、発汗、頭痛、下痢などが現れることがあります。症状の多くは服用中止後数日以内に現れ、軽症から中等症であり、2週間程度で軽快しますが、人によっては重症であったり、また回復までに2、3ヵ月以上かかる場合もあります。これまでに得られた情報からは、これらの症状は薬物依存によるものではないと考えられています。
アポ・パロキセチン20mgの減量または服用中止に際しては、以下の点に注意してください。
1.突然の服用中止を避けてください。服用を中止する際は、状態を見ながら数週間または数ヵ月かけて徐々に減量してください。
2.減量または中止する際には5mg錠の使用も考慮してください。
3.減量または中止に耐えられない症状が発現した場合には、減量または中止前の用量にて服用を再開し、より緩やかに減量することを検討してください。
4.自分の判断でアポ・パロキセチン20mgの服用を中止することのないよう充分な服薬指導を受けてください。また飲み忘れにより上記のめまい、知覚障害などの症状が発現することがあるため、必ず指示されたとおりに服用してください。
・原則として5mg錠は減量、または中止時のみに使用してください。
・パロキセチンを服用した婦人が出産した新生児では先天異常のリスクが増加するとの報告があるので、妊婦または妊娠している可能性のある人は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合以外は服用しないでください。
【効果・効能に関連する使用上の注意】
・抗うつ剤の服用により、24歳以下の人で自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、アポ・パロキセチン20mgの服用にあたっては、リスクとベネフィットを考慮してください。
・社会不安障害の診断は、米国精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアルIV』に基づき慎重に実施し、診断基準を満たす場合にのみ服用してください。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
アポ・パロキセチン20mgの服用量は必要最小限となるよう、慎重に観察しながら調節してください。なお肝障害および高度の腎障害のある人では、血中濃度が上昇することがあるので注意してください。
【その他の注意】
・海外において1日量10mgずつ1週間間隔で減量し20mgで1週間服用継続し中止する漸減法を実施した臨床試験を集計した結果、漸減期または服用中止後に観察された有害事象の頻度は30%、プラセボ群は20%でした。さらに10mgまで減量する漸減法を実施した7-18歳の人が対象の試験ではパロキセチン32%、プラセボ群24%でした。
・海外で実施された大うつ病性障害などの精神疾患のある人を対象とした、パロキセチンを含む複数の抗うつ剤の短期試験の検討結果において、24歳以下の人では自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤服用群で、そうでない群と比較して高かったとの報告があります。なお25歳以上の人における自殺念慮や自殺企図の発現のリスク上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少しました。
・海外で実施された精神疾患を有する成人を対象とした試験結果より、大うつ病性障害の人において、パロキセチン服用群では服用していない群と比較して自殺企図の発現頻度が統計学的に有意に高かったとの報告があります。なお、パロキセチン服用群での報告の多くは18-30歳でした。
・主に50歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において、選択的セロトニン再取り込み阻害剤および三環系抗うつ剤を含む抗うつ剤を服用した人で、骨折のリスクが上昇したとの報告があります。
・海外で実施された臨床試験において、パロキセチンを含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤が精子特性を変化させ、受精率に影響を与える可能性が報告されています。
【高齢者】
・高齢者では血中濃度が上昇するおそれがあるため、充分に中止ながら服用してください。また高齢者において抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、出血の危険性が高くなるおそれがあるので注意してください。
【妊婦、産婦、授乳婦など】
・妊婦または妊娠している可能性のある人は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみアポ・パロキセチン20mgの服用を開始してください。またアポ・パロキセチン20mgの服用中に妊娠が判明した場合には、服用継続が治療上妥当と判断される場合以外は、服用を中止するか、代替治療を実施してください。
1.海外の調査において、妊娠第1三半期にパロキセチンを服用した婦人が出産した新生児では先天異常、特に心血管系異常(心室または心房中隔欠損など)のリスクが増加しました。このうち1つの調査では、一般集団における新生児の心血管系異常の発生率は約1%
であるのに対し、パロキセチン曝露時の発生率は約2%と報告されています。
2.妊娠末期にパロキセチンを服用した人が出産した新生児において、呼吸抑制、無呼吸、チアノーゼ、多呼吸、てんかん様発作、ふるえ、筋緊張低下または亢進、反射亢進、ぴくつき、易刺激性、持続的な泣き、嗜眠、傾眠、発熱、低体温、哺乳障害、嘔吐、低血圧などの症状が現れたとの報告があり、これらの多くは出産直後または出産後24時間までに発現しました。なお、これらの症状は、新生児仮死あるいは薬物離脱症状として報告された場合もあります。
3.海外の調査において、妊娠中にパロキセチンを含む選択的セロトニン再取り込み阻害剤を服用した人が出産した新生児において新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告があります。このうちひとつの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の服用では2.4、妊娠早期および後期の服用では3.6でした。
・授乳中の人は服用を避けることが望ましいとされていますが、やむを得ず服用する場合は授乳を避けてください。
【小児など】
・小児などに対する安全性は確立していません。また長期服用による成長への影響については検討されていません。
・海外で実施した7-18歳の大うつ病性障害の人を対象とした試験において、パロキセチンによる有効性が確認できなかったとの方向があります。
また、7-18歳の大うつ病性障害、強迫性障害、社会不安障害の人を対象とした臨床試験を集計した結果、2%以上かつプラセボ群の2倍以上の頻度で報告された有害事象は以下のとおりでした。
・パロキセチン服用中: 食欲減退、ふるえ、発汗、運動過多、敵意、激越、情緒不安定(泣き、気分変動、自傷、自殺念慮、自殺企図など)なお、自殺念慮、自殺企図は主に12-18歳の大うつ病性障害の人で、また敵意(攻撃性、敵対的行為、怒りなど)は主に強迫性障害または12歳未満の人で観察されました。
・パロキセチン減量中または中止後: 神経過敏、めまい、吐き気、情緒不安定(涙ぐむ、気分変動、自殺念慮、自殺企図など)、腹痛