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2015-09-04
ソース(記事原文):Medical News Today
アスピリンはがん治療にどのように役立つのか?
【Medical News Today】(2015年9月4日) ― 細胞ジャーナルで発表された新研究によると、アスピリンには乳がん、皮膚がん、大腸がんを患う患者の免疫機能を強化させる効果があるかもしれないことが示唆されている。
がんと闘うためにアスピリンを使用することは依然として的外れであると研究者たちは警告しているが、マウスの実験では有望であることが証明されている。
がん細胞は増殖するために免疫細胞に「わな」を仕掛けているらしい、という方向に焦点を当てた研究が増加しており、免疫療法は病気に対抗する兵器として力を増してきている
T細胞は、病気と闘う体内にいるバクテリアやウイルスなどの不必要な要素を捜し出すにもかかわらず、不思議なことにがん細胞には攻撃をしない細胞であるが、がんはこのT細胞の「味方」になることで免疫機能をかわしている。
1990年代、日本の科学者たちから「プログラム死-1」(PD-1)と呼ばれる分子がT細胞の表面で発見された。そしてアメリカの研究者たちは、がん腫瘍はしばしば分子整合により生成されるという、「プログラム死配位子-1」(PDL-1)を発見した。こうして、がんはT細胞と闘う代わりに「わな」を仕掛けて取り入り、免疫機能から避けているのである。
この発見が「免疫チェックポイント阻害療法」として知られる薬物群の開発へと導いた。
がんは、プロスタグランジン2(PGE2)を含む免疫機能を破壊するとも思われている。一般的にPGE2はバクテリアやウイルス感染による炎症反応や発熱を引き起こすが、時として消化管の腫瘍成長を促すことも知られている。
炎症過程はそうあるべき状況で終わるとは限らない、という説がある。慢性的な炎症は最終的に新生血管形成やDNA変異などの変化をもたらし、腫瘍を形成することがある。特定の種類の炎症に関連している細胞が、腫瘍を促進させる分泌物を生成していることが発見された。
免疫機能の復活
この研究課題を実行したイギリスのフランシス・クリック研究所チームによると、PGE2分子は免疫機能の反応を「減弱」させ、がん細胞が「隠れる」ことを可能にする。つまり、もしPGE2分子が破壊されれば免疫機能が「復活」するということであり、がん細胞を見つけ、そして息の根を止めることになる。
体内のPGE2はCOX-1およびCOX-2酵素として知られるシクロオキシゲナーゼによって産生される。COX阻害剤はがん患者のPGEの生成を抑制することから、現在注目を浴びている。COXを阻害する方法として、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)の使用がある。
免疫療法にアスピリンまたは COX 阻害剤を加えることで、マウスにおいて特定種のがんの進行が大幅に遅延したことがこの研究で発見された。
マウスと人間のメラノーマ(黒色腫)における「特性の持続」という既知の事実に、COX阻害薬がメラノーマと同様に消化管および胸部腫瘍を減らすという現実を加え、研究チームは腸がん、乳がん、皮膚がんを攻撃するため、アスピリンと類似薬が現在の免疫療法に並行して効果的に使用されることに望みを抱いている。
国立がん研究所ジャーナルで発表された研究を引き合いに出し、米国がん協会は低用量のアスピリン使用は食道がん、卵巣がん、胃がん、そして前立腺がんの治療と再発防止にも有効であることを示唆している。
米国がん協会によると、胃腸に問題のあるがん患者が、低用量のアスピリンを日常的に摂取すると心臓血管問題や内出血のリスクが上昇するかもしれないという懸念は、確実には証明されていないとのこと。
イギリスがんリサーチの臨床医長であるピーター・ジョンソンは、新しい研究についてこう述べている。「進むべき道はまだあります(中略)が、さまざまながんにおいて、簡単な方法で劇的に治療反応を改善するかもしれないということは、すばらしい発見です」。
先月、メディカル・ニュース・トゥデイは、アスピリンやNSAIDsの使用が大腸がんリスク減少と関連しているかもしれない、ということを報告した。
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