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2013-06-03
ソース(記事原文):メディカルニュース・トゥデイ
ソラフェニブ(ネクサバール)が治療抵抗性甲状腺癌の進行を5カ月遅らせる
メディカルニュース・トゥデイ(2013年6月3日)― ソラフェニブ(ネクサバール)が転移性甲状腺癌の増殖を止められる期間はプラセボの倍近い。イリノイ州シカゴで開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次大会において、ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)のアブラムソンがんセンター(Abramson Cancer Center)とペレルマン医学大学院(Perelman School of Medicine)の研究者らが無作為化第III相試験の結果を発表した。
ネクサバールは肝癌および腎癌の治療薬である。米国食品医薬品局(Food and Drug Administration : FDA)が放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺癌への適応を承認すれば、この病気に対する初の有効な薬となる。ネクサバールは、腫瘍細胞の分裂および腫瘍の血管新生を媒介するキナーゼの阻害薬だ。
世界的に見て、最も急速に増加している癌が甲状腺癌である。女性では発症数が6番目に多い。毎年、新たに甲状腺癌と診断される人は21万3千人にのぼる。世界では毎年3万人がこの病気のために亡くなっている。
甲状腺癌症例の90%は治療が有効で、外科手術や放射性ヨウ素治療で治すことができる。しかし、標準治療に反応しない残り10%では腫瘍が転移して、肺や骨、リンパ節などの部位にも見られるようになる。
転移した甲状腺癌の治療薬としてほかに利用できるのは、ドキソルビシンだけだ。この薬は1974年に承認された。しかし、その高い毒性と効果の低さを理由に、医師はドキソルビシンを処方しない。
研究を率いたマルシアS.ブローズMD, PhD(Marcia S. Brose, MD, PhD)はこう語った。
「ソラフェニブの使用に着手するまでは、この病気の進行で苦しむ患者のための治療選択肢がありませんでした。いま、私たちは、5カ月は進行を止められる画期的医薬品をもって、患者に希望を与えることができるのです。進行性甲状腺癌の患者に治療の可能性を切り開く新しい薬を特定しようと、有望な臨床試験がいくつか行われていますが、そうした一連の試験の中でも最初の一歩を踏み出したのが今回の試験です」。
「DECISION」という名で知られるこの多施設共同国際試験には、転移性甲状腺癌の患者417名が参加した。うち207名は経口ソラフェニブ(400 mg を1日2回)群に、210名はプラセボ群に無作為に割り付けられた。DECISION試験は2009年10月に始まった。
研究者らの結果報告は以下のとおりである。
・ソラフェニブ群の12%で腫瘍が縮小
・プラセボ群の0.5%で腫瘍が縮小
・ソラフェニブ群の42%が6カ月後も病勢安定
・プラセボ群の33%が6カ月後も病勢安定
・ソラフェニブ群の無増悪生存期間(PFS)は10.8カ月
・プラセボ群のPFSは5.8カ月
・クロスオーバーにおいて(プラセボ群の患者の病勢が進行した場合はソラフェニブ投与に切り替えられることとした)、プラセボ群の70%がソラフェニブに切り替えた
研究者らによると、全生存に関するデータはまだ利用できないという。
ソラフェニブ群で報告された副作用は、発疹、疲労、体重減少、血圧上昇、下痢、皮膚反応などであった。有害事象はすべて、肝癌や腎癌でソラフェニブを服用した患者において報告されたものとおおむね一致している。
このネクサバールは、切除不能肝細胞癌および進行性腎細胞癌の治療薬としてFDAの承認を得ている(肝癌については2007年11月に承認)。ネクサバールは肝癌・腎癌を適応として100カ国以上で承認されており、現在もさまざまな癌に対する評価が行われている。
6月2日、ブローズ博士はシカゴのマコーミック・プレイス(McCormick Place)E353aルーム(Room E353a)で、研究チームの所見を発表した。マコーミック・プレイスNホールB1(N Hall B1)でのプレナリーセッションでも、試験の結果が発表された。
試験の費用は、バイエル ヘルスケア社(Bayer HealthCare Pharmaceutical)とオニキス・ファーマシューティカル社(Onyx Pharmaceuticals)が拠出した。(編集者注:ブローズ博士は両社からコンサルティング料および謝礼金を受け取っている)
バイエル ヘルスケア社経営委員会メンバー(Member of the Bayer HealthCare Executive Committee)、そしてグローバル開発責任者(Head of Global Development)でもあるケマル・マリックMD(Kemal Malik, MD)はこう語っている。「この試験は、特に治療が難しくその選択肢も限られている癌において、ソラフェニブの適用可能性を十分に理解しようという私たちの継続的努力を表すものです」。
オニキス・ファーマシューティカル社グローバル研究開発・技術オペレーション(Global Research & Development and Technical Operations)エグゼクティブ・バイスプレジデント(Executive Vice President)のパブロJ.カグノニM.D.(Pablo J. Cagnoni, M.D.)は次のように語った。「この30年間、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺癌の患者のために新しく承認された治療はありませんでした。私たちは、ほかの治療選択肢がない患者にソラフェニブが作用することを証明したDECISION試験の結果に喜んでいます」。
バイエル ヘルスケア社によると、第III相DECISION試験のデータを基にして、ソラフェニブを放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺癌の治療薬として適応追加申請するという。米国での承認事項一部変更申請(supplemental New Drug Application : sNDA)は今年半ばを予定しており、これに続き世界中で適応追加申請が行われる。
DECISIONは、「stuDy of sorafEnib in loCally advanced or metastatIc patientS with radioactive Iodine refractory thyrOid caNcer(放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行性または転移性甲状腺癌の患者におけるソラフェニブの研究)」の略である。
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