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2016-06-30

ソース(記事原文):MedicalNewsToday

パセリとディルががん攻撃に有効

【MedicalNewsToday】(2016年6月30日) ― モスクワ物理工科大学(MIPT)、ゼリンスキー有機化学研究所(RAS)、発生生物研究所(RAS)、細胞生物物理学(RAS)から成るロシアの科学者チームが、抗がん活性を持つ新薬への効率的なアプローチを提案した。その化合物の合成は、パセリとディルから抽出した合成物が基盤になっている。研究の結果は、『ナチュラル・プロダクト( Journal of Natural Products)』誌で発表されている。


既存の治療の改善と革新的なアプローチを発見することは、いずれもがん治療追求のためのもっとも重要な要素です。私たちの統合チームは自然界から適した成分を使用し、ヒト腫瘍細胞の増殖を抑制するグラジオビアニンAとその構造類似体を生成する簡単な方法を開発しました。さらに、ウニの有効な胚で試みた生体研究でのこれらの新薬の評価は、選択的にチューブリン動態に影響を与えるいくつかの有望な候補を生み出しました」と、MIPTの教授であるアレクサンダー・キセリョフ教授は語った。

がん細胞のゼロ増殖

現在、がんに対する主な薬物治療は化学療法である。治療には、細胞分裂(有糸分裂)の過程を阻害することでがん細胞の増殖を抑制する抗有糸分裂薬を使用している。がん細胞は通常細胞よりも頻繁に分裂するため、抗有糸分裂薬効果の影響をより受けやすい。例えば健常なメラニン細胞の前駆細胞は、例え細胞分裂が亢進したとしても増殖が15パーセントなのに対し、メラノーマ細胞の数は3日ごとに倍になる、

微小管は有糸分裂において重要な働きをする。それはチューブリンと呼ばれるたんぱく質の合成であるが、抗有糸分裂薬はこのチューブリンに結合して微小管動態に影響を与え、細胞周期を混乱させる。これにより細胞分裂を停止させ、引き続き選択的な死を引き起こす。

この研究は、ブラジル原産のAteleia glazioviana Bailと呼ばれる樹木の葉から分離した抗有糸分裂薬である効果的なグラジオビアミンAに焦点を当てている。報告されているこの薬の合成は予想以上に面倒であり、また高額な前駆体(最終生成物を得るための必要な反応に関係する物質)と触媒(化学反応を促進させる)を必要とする。著者たちはグラジオビアミンAに対する新しく、より効率的な6段階合成過程(通常の過程は9段階)を提案した。この過程に必要な前駆体は一般的な植物の種、すなわちパセリとディルから抽出した。

有益な抗有糸分裂薬の成分を発見するため、グラジオビアミンAに加え、その多くの構造類似体が合成された。そしてその抗腫瘍活性は、ウニの胚とヒトがん細胞を使用した2つの個別の方法で測定された。

ウニとがん細胞

ウニの胚はチューブリン動態に依存している腫瘍細胞の分裂を再現するのに使用された。

科学者たちは胚と共に検体を水媒体に追加し、分裂が変化する比率と分裂が完全に停止する比率の濃度を見つけ出した。低濃度では、その物質が持つ抗有糸分裂活動が大きくなった。この研究著者が以前に立証したように、薬剤が持つ特定の抗チューブリン活性により分裂が阻害されると、ウニの胚は軸方向に回転し始める。好都合なことに、この効果は一般的な光学顕微鏡を使って簡単に観察することができる。

胚を使うことで、科学者たちは抗がん分子に対するいくつかの重要なパラメータの要素を‘1回で’決定することができた。これらには特定の抗有糸分裂効果、溶解度、全体毒性そして生体膜浸透性が含まれる。

活性分子のさらなる抗腫瘍効果を確認するため、彼らは肺がん、黒色腫、前立腺がん、乳がん、大腸がん、卵巣がんなどさまざまなヒトのがん細胞で調査した。この実験で、検体は黒色腫細胞の成長を制限するのに効果的であり、対照として使用された健康な血液細胞に対する毒性がないことがわかった。ふたつの測定法における詳細な構造・活性相関研究は、親核グラジオビアミンAをもっとも有効な抗チューブリン薬として収束した。将来的な計画には、代謝の安定性と溶解性を改善するための化合物の最適化だけでなく、抗腫瘍活性と臨床的発展の可能性を確認するためのネズミを使ったヒトの異種移植実験の両方が含まれている。


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