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2007-07-23
ソース(記事原文):サイエンス・デイリー
前立腺癌治療薬は、ほとんどのケースにおいて生殖機能を低下させず
サイエンスデイリー(2007年7月23日)— 米国南西部腫瘍学グループ(Southwest Oncology Group)が行った研究の著者らによると、男性やその内科医は、性機能障害を起こすのではという懸念にとらわれずに前立腺癌治療に有効と証明されている薬をためらいなく使用してよいのだそうだ。
55歳以上の男性1万7千人以上を7年に亘り調査した同著者らは、米国国立癌研究所ジャーナル(Journal of the National Cancer Institute)7月4日号においてその結果を報告した。同研究では、平均で擬薬服用のケースよりフィナステリド服用のケースにおいてより多く性機能障害が報告されたことが分かった。この些細な効果は7年間で減少した。
この結果は、現在でもフィナステリドに関する悪い副作用への不安を和らげている。通常、内科医は、患者と治療薬使用の話をする際に、性機能障害が起こり得ることを伝える。フィナステリドは前立腺肥大症治療薬としてFDA認可を受けているが、前立腺癌予防やリスク削減のための薬としては未だFDA認可を受けていない。
同研究の膨大なサンプルと長期フォローアップ期間により、研究者らはフィナステリドが性機能に悪影響を与えるか否か、また、もし与えるとしたらその影響が継続するかどうかを調べることができたと、この研究論文の筆頭著者であるシアトル、フレッド・ハッチソン癌研究センター(Fred Hutchison Cancer Research Center)のキャロル・モアンプール(Carol Moinpour)博士は語る。同氏は、米国国立癌研究所が資金提供を行っている臨床研究ネットワークの中でも国内最大の機関である米国南西部腫瘍学グループでクオリティ・オブ・ライフの共同研究を行っている。
同研究は、米国国立癌研究所の資金提供を受けた大規模な二重盲験である前立腺癌予防試験(Prostate Cancer Prevention Trial)から生じたものである。同試験は、前立腺細胞の増殖を抑制する薬であるフィナステリドが55歳以上の男性の前立腺癌を予防する効果があると発見した。米国南西部腫瘍学グループが1万8千人以上の男性を対象に行った同試験における2003年の結果は、フィナステリドが前立腺癌の発症リスクを約25パーセント減少させることを示した。
新しく発表された性機能に関する研究は、前立腺癌予防試験被験者のうち何人が性機能障害を起こしたと報告しているか、またこれらの障害が時間の経過と共に減少したのか増加したのかを調べることが目的であった。以前の諸研究では、フィナステリドを服用している男性の性欲低下や性的不全、その他性機能低下の兆候が報告されている。しかしこれらの研究は短期間であり、年齢やその他健康に関する要因の影響、個人差などを調べていなかった。
同研究の著者らは、広く使用されている性問題スケール(Sexual Problems Scale)と著者自ら作成したアンケートである性活動スケール(Sexual Activity Scale)の2つのアンケート調査を行った。同研究者らは、年齢、病気、喫煙の有無など性機能に影響を与える健康要因も考慮するため、他のデータ収集も行った。同研究者らは研究1年目にこれらの研究対象を3度、そしてそれ以降の7年間に毎年1回調査を行った。
「この平均的な(性機能の)低下は重要な違いであったか否かという問いに対して、我々はそうではなかったと結論付けました」とモアンプール博士は語り、単に被験者の男性の個人差による違いの方がより大きなものであったと付け加えた。
この研究は、フィナステリドを服用しても性機能障害はほとんど、または全く起こらないということを示唆しているのだと著者らは結論付けた。
引用:米国国立癌研究センター(Journal of the National Cancer Institute)DOI: 10.1093/jnci/djm023
モアンプール以外の共同著者: アミー・K・ダーク(Amy K .Darke)、グレイ・W・ドナルドソン(Gray W. Donaldson)、イアン・M・トンプソン・ジュニア( Ian M . Thompson, Jr)、コニー・ラングレー( Connie Langley) 、ドンナ・ポーラー・アンカースト(Donna Pauler Ankerst)、ドナルド・L・パトリック( Donald L . Patrick )、ジョン・E・ウェア・ジュニア(John E . Ware, Jr)、パトリシア・A・ガンズ(Patricia A . Ganz)、サリー・A・シューメイカー( Sally A . Shumaker)、スコット・M・リップマン(Scott M . Lippman)、チャールズ・A・コルトマン・ジュニア(Charles A . Coltman, Jr.)
同研究は米国国立癌研究所(National Cancer Institute)の出資によるものである。
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