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2014-03-21
ソース(記事原文):メディカル・エキスプレス
ヘパリンはプリオンの立体構造変化とプリオン病を防ぐカギかもしれない
メディカル・エキスプレス(2014年3月21日) ― プリオンは感染因子であり、牛海綿状脳症(いわゆる「狂牛病」)や、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病などの神経変性疾患の原因とされている。
立体構造が変化したミスフォールドタンパク質だけでできている感染因子によって不治の致死的疾患が起こることが、60年代に発見されて以来、正常プリオンタンパク質から感染性のもの(スクレイピープリオン)への変換に関与するメカニズムが徹底して調査されてきた。現在では、いったんスクレイピープリオンに変換されるとこれら異常型は正常型を隔離する能力を持ち、正常型も変換されて原線維の凝集塊となり、これが次第に増えて主に脳内に蓄積することが分かっている。
近頃では複数の研究が、正常プリオンからスクレイピー型への変換プロセスに未知の補因子が役割を果たすことを示唆している。プロセスに関与する候補因子の1つが、グリコサミノグリカン(GAG)ファミリーに属する分子だ。実際、GAGはプリオン病をはじめいくつかの変性疾患に関与している。しかしながら、これら分子がプリオン変換の原因であると指摘する研究もある一方、変換を防ぐという逆の作用を示唆する研究もある。
ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学(Federal University of Rio de Janeiro)のイェルソン・シルバ博士(Dr. Jerson Silva)を代表とするグループは以前の研究で、プリオンはGAGファミリーに属する分子ヘパリンに結合すると、スクレイピー型で観察されるのと同じように凝集することを示した。しかし、この凝集は一過性にすぎず、実際にはプリオンタンパク質の安定化をもたらし、プリオン変換やプリオン病には至らない。
『ヘパリン結合によるプリオン安定と凝集障害』という論文が『FASEBジャーナル(FASEB Journal)』出版前に発表されており、この研究グループは今回の論文の中でヘパリンとプリオン変換に関する詳細をさらに明らかにするとともに、これまでに報告されている、相反する結果の説明に役立つかもしれないさらなる証拠を示している。
研究グループが伝達性海綿状脳症の動物による脳ホモジネートを使って調べたところ、マウスのプリオンタンパク質における末端ドメインとヘパリンの相互作用は、プリオンタンパク質の動力学的・熱力学的安定化につながり、凝集を防ぐことが分かった。「1つの可能性は」、シルバ博士の説明によると、「ヘパリン分子の負電荷が、高温による構造変化という既知の作用から保護するということだ」。あるいは、プリオンタンパク質とヘパリンの相互作用はスクレイピー型が正常型にアクセスするのを制限して、異常プリオンが正常プリオンを隔離・変換する能力を減じるのかもしれない。
先行研究は低分子ヘパリンについて、シルバ博士の研究でもそうだが、血液脳関門を通過する能力があるとしている。これは、脳内で作用すると考えられる薬剤や分子には不可欠な能力だ。加えて、「LMWHep-Neuroparin」(2100 Daの低分子量GAG)はアルツハイマー病動物モデルにおいて、神経保護の役割を果たすことが示された。以上を総合すると、これらの知見は、プリオン病のほかにパーキンソン病、筋委縮性側索硬化症、アルツハイマー病などのより一般的なプリオン様神経変性疾患に対しても、治療用のGAG分子開発の基礎を確立するかもしれない。
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