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2010-12-15

ソース(記事原文):ニューヨークタイムズ

健康:朝ごはんの前に運動をすると健康に良い

年末年始のこの時期には楽しいことが沢山ありますが、それと同じくらい悪いことが残念ながらあります。食べ物です。日頃から運動を欠かさないストイックな人でさえ、この時期だけは脂肪分の多い食べ物やカロリーの高い食べ物の誘惑に屈してしまいます。この食習慣を続けてしまうと、健康に悪い影響がすぐに現れます。オーストラリアの研究者が行った最近の研究により、カロリーや脂肪分の非常に高い食事をたったの3日続けるだけで、血糖値やインスリン抵抗性が上昇し、結果として2型糖尿病に罹るリスクが高まることが判明しました。

この時期にはウエストのサイズが大きくなりがちです。ウエストのサイズが大きくなると自己嫌悪に陥ったり、新年早々に無謀なダイエットを敢行してしまいます。

ジャーナル・オブ・フィジオロジー(生理学に関する雑誌)に掲載された新たな研究は、無謀なダイエット計画よりも効果が期待でき、なお且つシンプルな方法を示しています。それは、朝食の前にランニングをする、又は自転車に乗ること。その研究によると、朝ご飯を食べる前に運動をすると年末年始の暴飲暴食による悪影響が著しく減るそうです。

この研究を行うため、ベルギーの研究者は28人の健康で活動的な若い男性を集め、非常に健康に悪い食事を与えました。その食事に含まれていたのは、彼らがそれまでに日々食べていた食事の1.5倍の脂肪分と1.3倍のカロリー。彼らは、研究期間中に運動をしないことに同意したグループと、2つの運動グループに分けられました。これら運動グループに課せられた運動の内容は同一であり、相当の体力を消耗するものです。週に4回、朝に相当な身体的負荷が掛かる内容のランニングとサイクリングが行われました。運動時間は90分のセッションが2回、その他は1時間でした。2つの運動グループの消費する体力が同一になるよう調整するため、運動は監督の下に行われました。

しかしながら、運動と朝食の順序は異なっていました。2つのグループのうち1つは、運動の前に炭水化物をたっぷり含んだ朝食を取り、運動中もスポーツドリンクなどにより炭水化物を摂取しました。もう1つのグループは、朝食の前に運動を行いました。運動中に摂取したのは水分だけです。このグループは運動をした後に他のグループが摂取したものと同様の朝食を取りました。

この実験は6週に亘り行われました。実験が終了する頃、運動をしなかったグループの体重が6ポンド以上増加していたのは、驚きに値しません。このグループに属していた人達にはインスリン抵抗性(筋肉がインスリンに通常通り反応しないため、血液から糖分(専門用語でブドウ糖)が筋肉に効率よく取り込まれない)もみられました。そのため、筋細胞の中や周辺に余分な脂肪が溜まり始めていました。インスリン抵抗性と筋肉に脂肪が付いた状態は代謝的に不健康な状態であり、糖尿病の予兆である可能性が高いのです。

運動の前に朝食を取っていたグループの体重も、運動をしなかったグループにみられた体重増加幅の半分ほどですが、増加していました。しかしながら、運動をしなかったグループにみられたように、このグループにもインスリン抵抗性及び筋肉内の脂肪の滞留が確認されました。

体重の増加やインスリン抵抗性がほとんどみられなかったのは、朝食前に運動を行っていたグループだけです。摂取した脂肪分を効率的に燃焼していたのもこのグループでした。この研究の著者は「我々の手元にある現在のデータが示しているのは、高カロリー・高脂肪の食事を取っている如何に関係なく、空腹のまま運動をした方が、炭水化物を摂取した後に運動をするよりも脂肪を効率よく燃焼する事ができる、ということである」と述べています。

朝食前の運動がどのようにして暴飲暴食の有害な影響を減らすのかは、完全には解明されていません。しかしこの研究は空腹時の運動に関する理論が正しいことを証明しています。そしてその理論にはいくつかあるのですが、どれも興味深いものです。ある理論は、何年も前に発表されている通り、空腹時(完全な空腹状態にあるのは、通常は朝食を取る前だけである)に激しい運動をすると、炭水化物の代わりに脂肪を燃料として使うため体が通常よりも多くの脂肪を燃やしてくれる、というものです。燃焼されるのだから、脂肪が筋肉内に溜まることはありません。「我々の研究では、良好な代謝的適応が空腹状態で運動をしたグループにのみ確認された。この代謝的適応が脂肪酸の代謝を促進させる可能性がある」とベルギーのルーヴァン・カトリック大学付属運動・健康リサーチセンター(the Research Center for Exercise and Health at Catholic University Leuven)の教授であり本研究の統括著者であるピーター・ヘスペル(Peter Hespel)博士は述べました。

それと同時に、空腹グループには「インスリンにより筋肉内のグルコース輸送が促進されていることを示す筋タンパク質レベルの上昇がみられた。であるからして、この筋タンパク質レベルの上昇とインスリン感受性のコントロールには重要な関連性がある」とヘスペル博士は述べました。

言い換えると、朝食を食べる前に運動をしたら高脂肪・高カロリー食を取る事による最も悪い2つの健康的影響を直接和らげられたということ、そして体重の増加も防いだということです。

もちろん、留意しなければならない事もあります。空腹のまま運動をしても、運動パフォーマンスの向上は期待できません。脂肪よりも炭水化物の方が筋肉にとって取り込みやすく、また燃焼しやすいのです。スポーツ選手が好んで高炭水化物食を食べるのには、その様な理由があります。この実験で行われたよりも短い時間で、しかもゆったりとしたペースで運動した場合に、同様の効果が得られるのか否かについては今回の研究者も把握していませんが、高脂肪食の影響に関する研究を様々な観点から行った豪州のアデレード大学教授レオニー・ヘイルブロン(Leonie Heilbronn)博士は、ベルギーで行われた今回の研究に関し、次のようなコメントを寄稿しています。「ゆっくりとしたペースで行う運動は、何にも優るのではないかと予想される」

ですから、早朝に起きるのは辛いと思いますが、クリスマスパーティーが終わったら目覚ましをセットして、次の日には朝早く起きるようにしましょう。そして朝食を食べる前にランニングをするのです。「これは、クリスマスパーティで出される食べ物やいい香のするクッキーを食べた後にはいいと私は思う」とヘイルブロン博士は結んでいます。