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2010-12-02
ソース原文(オリジナル):サイエンスデイリー
喫煙習慣を断つ:禁煙による気分の改善が研究で示唆
サイエンスデイリー(米科学誌[2010年12月2日])— 禁煙が身体的健康に良いのは確かだが、たばこを止めることで、さらなる幸福感が得られるのか否かについて医師や研究者らは確信を持てずにいる。これは喫煙者が不安やうつ病を緩和するために紙巻たばこを利用するという世間一般の通念がその主な理由である。新しい研究で研究者らが禁煙しようとしている人を対象にうつ症状を追跡したところ、被験者は禁煙成功時(期間に関わらず)に非常に大きな幸福感を得ることができたことを発見した。
責任著者でブラウン大学(Brown University)ウォーレンアルパート医学部(Warren Alpert Medical School)地域保健学研究教授のクリストファー・カーラー(Christopher Kahler)氏によれば、ニコチン&たばこリサーチ([学術誌]Nicotine & Tobacco Research)11月24日号オンライン版に掲載された記事の著者らは、今回の結果に基づき、喫煙者が精神衛生・身体的健康の改善への第一段階として禁煙を取り入れるよう推奨しているという。禁煙することは、一部の喫煙者が恐れるような、長寿を得るための代償として精神を犠牲にする厳格な行為ではない。
「よくある思い込みには、人が喫煙するのは、たばこに抗うつ作用の特性があるからかもしれず、たばこを止めれば、うつ症状が実際に現れるかもしれないというものがある」とカーラー氏は述べた。「喫煙者の気分を評価した際に驚かされるのは、たとえ禁煙が少しの間の成功であったとしても、その評価を行った時点で報告されるうつ症状がすでに軽くなっていることである」
気分の変動
カーラー氏とブラウン大学・ミリアム病院(The Miriam Hospital)・南カリフォルニア大学(University of Southern California)の研究者らは、禁煙を望む男女のグループ236人を検討した。これらの人々は、社交の場で多量に飲酒する人々でもあった。同グループはニコチンパッチを受け取り、禁煙に関するカウンセリングを受け、その後、禁煙日を研究者と共に設定した。グループの中には飲酒を控えるよう特別なアドバイスを受けた人もいる。うつ症状の標準検査は禁煙日の1週間前に行われ、その日から2週、8週、16週、28週間後にも同様にうつ症状の検査が行われた。
29人を除く全員が次の異なる4つのうち1つの禁煙行動を示した。一度も禁煙しなかったのは99人、2週の評価時点でのみ禁煙していたのが44人、2週と8週の検査時点で禁煙を維持していたのが33人、試験の全期間中たばこを断つことを成し遂げたのが33人であった。
最も見逃せない被験者は、一時的にしか禁煙しなかった人であり、少し気の毒な例でもある。彼らは明らかに禁煙中の検査時に、最も気分が晴れやかだった。再喫煙後は、気分が暗くなり、以前よりも悲しみの度合いが大きくなった症例もいくつかみられた。ブラウン大学のアルコール・依存症研究センター(Center for Alcohol and Addiction Studies:CAAS)に所属するカーラー氏は、幸福感の増大と禁煙との間の強い時間相関が、双方の密接な関連を証明するサインであるとしている。
一度も禁煙しなかった被験者は、試験期間中を通して全員のうち最も幸福感が薄いままであった。禁煙し続けた人は、開始当初に最も幸福感が高く、試験期間中を通して、その幸福感の強さの度合いは同じままであった。カーラー氏は、本試験における喫煙者の飲酒が比較的多量でありながらも、この結果が大部分の人に当てはまると確信しているという。その理由の1つとして、同氏が2002年に行った喫煙者の研究と、今回の結果に関連がみられることがある。当時の全被験者には、うつ病発症歴があったものの、必ずしも飲酒していたわけではなかった。もう1つの理由は、本試験で測定した幸福感の変化には、飲酒の減少に伴う時間相関は示されず、喫煙の減少や再開に伴う相関のみが示されたことである。
カーラー氏は、今回のデータを検討した結果、例え喫煙者が喫煙により負の感情やうつ病症状が軽くなると報告しているとしても、それは俄かに信じがたいと述べた。実際は、真逆である可能性が高いように思われる。つまり、たばこを止めることにより、うつ症状が軽減される、とカーラー氏は続けて述べた。
同氏は「禁煙すると、うつ症状は弱まり、再喫煙すると、気分は以前の状態に逆戻りする」と語った。「効果的な抗うつ薬はこのようになるものである」
カーラー氏のほかに、本研究に携わった著者らは、ブラウン大学CAASのニチア・ピレーン(Nichea Spillane)氏、ブラウン大学とミリアム病院の行動・予防医療センター(Centers for Behavioral and Preventive Medicine)のアンドリュー・ブッシュ(Andrew Busch)氏、南カリフォルニア大学(USC)ケック医学部(Keck School of Medicine)のアダム・レーベンタール(Adam Leventhal)氏である。本試験は、国立麻薬乱用研究所(National Institute on Drug Abuse)から研究助成を受けた。