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2015-02-27
ソース(記事原文):バイオ・ホルモン・ヘルス
女性にはプロゲステロン補充のほうがプラス
バイオ・ホルモン・ヘルス(2015年2月27日) ― プロゲステロンに関する研究が見当たらない、なんてよく言われますが、フランスとアメリカのわりと最近の研究では、女性の「乳がんや脳卒中のリスクを減らす」「認知症を防ぐ助けになる」という現実的なメリットが明らかにされています。
アンナ・ラシュトン(AnnA Rushton)著
これら研究は、天然プロゲステロンが閉経期の健康全般にとても重要であること、そして重い病気を防ぐ助けになることを示しています。女性のホルモンバランスが良好で天然プロゲステロン濃度が十分な場合に得られる具体的なメリットについて、残念ながら英国ではほとんど調査されていませんが、ほかの国では積極的に目を向けて調べています。
フランスから
最初にそのプラス面を一通り説明したのはミハエル・シューマッハ博士(Dr Michael Schumacher)(パリ、クレムラン・ビセートル病院)で、「プロゲステロンは乳房組織や血管に、そして骨の強化に有益な影響を及ぼすという証拠があるものの、さらなる研究の実施が必要」と報告しました。さらに、
「プロゲステロンのプラス面の多くは、エストロゲンが細胞を刺激してプロゲステロンがその抑制を担うことから来ている」との重要な発言もしました。
その結果、プロゲステロンで認知症リスクが低下するかもしれない、とインパクトのある意見が出ています。脳内ではエストロゲンとプロゲステロンの両方がうまく働いて細胞を保護するのですが、プロゲスチン(HRT(ホルモン補充療法)に使われる合成ホルモン)だと、この保護作用が弱くなるからです。また博士は、「老化した神経系でも、プロゲステロンのプラス作用への感受性が多少は残っているという強力な証拠がある」と述べています。
そもそも、Women’s Health Initiative(WHI、女性の健康イニシアチブ)による研究でエストロゲンとプロゲスチンを併用したところ、脳卒中や乳がんのリスクがわずかに上昇しました。しかしシューマッハ博士はもっと踏み込んだ研究を行い、プロゲスチンではなく、プロゲステロンがどうやってこれらリスクを下げるのか説明しています。
「エストロゲンとプロゲステロンを併用すれば、安全かつ効果的なHRTになるでしょう。しかし医薬品業界にとっては魅力的な選択肢と言えないかもしれません」。あくまでもプロゲステロンは天然物質ですから、特許の対象にならないため大きな収入源とはならない、というのがその理由です。HRTを止めた女性はたいてい、バイオアイデンティカル(分子構造がヒトのホルモンと同じ)プロゲステロンと天然エストロゲン2種が入った「20-1」のような配合クリームは、合成ホルモンを使用した従来のHRTに伴う副作用や健康リスクがなく、代替品として優れていることを知っています。
プロゲステロンと乳がん
フランスで行われている大規模な研究により、プロゲステロンは乳がんを防ぐことが裏付けられています。研究では閉経期女性5万4548名を対象に、HRTにてプロゲステロンを服用する群とプロゲスチン服用群それぞれで見られた事象を比較しました。
最新の報告から、8年後にプロゲスチン群では乳がんリスクが上昇しており、一方のプロゲステロン群はそうでないことが判明しています。
この研究結果を受けて、フランスでは処方状況に変化が起きました。「WHI研究の後、多くの女性がエストロゲンピルの服用を止めてしまいました」。そう話すのは、フランス国立保健医学研究所(French Institute for Health and Medical Research)(パリ、ル・クレムラン=ビセートル)のヴァージニー・リンガ博士(Dr Virginie Ringa)です。「彼女たちは現在、エストロゲンパッチとの併用でプロゲステロンを服用しています」。
プロゲステロンで脳卒中リスクを減らせる?
一方アメリカでは、プロゲステロンが血管を保護し脳卒中リスクを減らすというシューマッハ博士の主張が、テキサス大学(Texas University)の小規模な2つの試験で裏付けられています。
まず研究者らは閉経後女性30名に、プロゲステロンまたはプラセボ含有のクリームを8週間使用してもらいました。プロゲステロンクリームの使用により更年期症状が改善しただけでなく、脳卒中が起こりやすいとされる血中の各種マーカー(炎症や血栓形成傾向など)の上昇もありませんでした。
テキサス大学医療センター(Health Center)の家庭医療学助教授(Assistant Professor of Family Medicine)、ケンナ・スティーブンソン博士(Dr Kenna Stephenson)の報告によれば、「患者75名に個別化したバイオアイデンティカルホルモンの混合物を使用し、標準HRTと比較した場合でも、結果は同様に有益だった」そうです。博士はさらに、
「12カ月に及ぶデータから、良質なクリームを使用すればバイオアイデンティカルホルモンは閉経周辺期・閉経後の女性に安全で有効と考えられます」とコメントしています。
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