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2004-11-30

ソース(記事原文):BBCニュース

尿失禁治療に幹細胞が活躍

2004年11月30日

患者自身の幹細胞を移植して腹圧性尿失禁を治療することに、科学者達は成功した。

幹細胞は患者自身の腕の筋肉組織から採取され、研究室で培養される。その後、幹細胞は尿道壁や括約筋に注入される。

この治療法は、幹細胞注入部の筋肉の量や筋緊張を高めるため、尿失禁予防効果が得られる。治療後24時間以内にその効果が現れることもある。

The Medical University of Innsbruckの研究者は、この結果をthe Radiological Society of North Americaに報告した。

幹細胞移植手術に要する時間は、15分から20分程度であり、入院の必要もない。

当該研究の主任研究員Ferdinad Frauscher博士は、「女性にとって、尿失禁は深刻な問題である。そして近年では尿失禁に悩まされる男性の数も増加している」と述べた。

「我々は、長期的効果のある治療法を開発した、と思っている。この治療法は患者自身の体で生成される幹細胞を用いているため、その効果には大いに期待が持てる」

世界中で1,500万人の人(主に女性)が腹圧性尿失禁に悩まされている。

腹圧性尿失禁は、尿道が狭くなったり、尿道(尿道とは、膀胱から尿が通る道)に何らかの異常がある時や、尿道を開閉する括約筋が弱くなったり縮小した時に起こる。

これが、運動をした時、咳をした時、いびきをかいた時、笑った時、又は重いものを持ち上げた時に尿漏れが起こる原因となる。

軽度から重度の尿失禁に悩まされていた36歳から84歳の女性20人が、当該研究に参加した。

何千万個もの新しい細胞

幹細胞は患者の腕から採取され、培養される。この際に用いられる特許取得済みの技術は、培養開始から6週間後には、5,000万個の新たな筋肉細胞(筋芽細胞)と5,000万個の結合組織細胞(線維芽細胞)を生み出す。

これらの細胞は、全身麻酔又は局所麻酔を施された患者に注入されると、その近くにある細胞を複製する。

手術から1年後に尿失禁に悩まされていたのは、20人の参加者中2人だけであった。

Frauscher博士は、「これらの細胞は、非常に優秀だ。最初に注入された個所に留まるだけでなく、注入後すぐに筋肉細胞を形成し始める。そしてその筋肉が適度な大きさまで成長すると、その成長を自ずと止めるのである」

The Medical University of Innsbruckの研究チームは、幹細胞移植時に高度な3次元超音波診断装置を用いた。確実に幹細胞を尿道や括約筋の適切な個所に注入するためである。幹細胞を適切な個所に注入する事は、尿失禁予防に必要な組織を形成する上で非常に重要なことである。

幹細胞は万能細胞であり、体内のどのような組織にも成りうる。成人の体組織の1つ1つに僅かな幹細胞は存在するというのが、科学者たちの見解である。体組織に含まれる幹細胞は通常は眠っているのだが、病気や怪我等により組織が傷つけられると、細胞分裂を始めるのである。

Continence Foundationの役員であるJudith Wardle博士は、オーストリア人の科学者たちによって行われたこの研究を歓迎する一方で、被験者の経過観察が長期的に行われておらず、且つ研究の規模が小さいことも強調している。

「この治療法のデータを、コラーゲンだけではなく、他の複数の物質を注入した際に得られたデータと比較しようと思う」とWardle博士は述べた。

「同様に、最近発売されたデュロキセチンによる治療結果と比較するつもりだ」