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2007-01-01

ソース(記事原文):ロヤーネ・リアル著「Your Guide to Finding Friends, Making Friends, and Keeping Friends」

極度のあがり症を克服する方法

ロヤーネ・リアル

大多数の人が時と場合によって人見知りをしたりあがっている状態を経験する。事実、国民のたった約7%の人がそのようなことがない。残りの我々にとっては、「あがる」ということにもちょっとした不便さを感じる場合から大きな問題になるまで幅広い範囲がある。

しかしながら、何もできなくなるほど重度のあがり症で苦しむ人もいる。このような切実なあがり症の場合、苦い経験をするだけでなく、人付き合い、幸福度、キャリアに至るまで破壊的な影響をもたらすことがある。

重度のあがり症は、生物学、親から受けたしつけ、精神的なショック体験、ネガティブな考えなどが複雑に混ざり合っている。自尊心の低下、完璧主義、うつ、心労など他の精神状態を衰弱させる状態と同時に起こることもある。

極度のあがり症にもいろいろな種類があり、人によって異なる。大人数の中で問題があっても、少人数の中でなら大丈夫だというあがり症の人もいる。また、会ったばかりの人と激しい不快感を感じる人もいれば、昔から知っている人でも人と関わるのが不快だという人もいる。

精神科医や心理学者は、極度に神経を衰弱させるあがり症のことを医学用語で「社会不安障害(SAD)」と呼ぶ。重い社会不安障害は、単純に重度のあがり症なのか、それともそれ以外の他のものなのかは完全に規定されるに至っていない。

極度のあがり症の人の中でも、社会的スキルを学んで社会生活の中で頻繁に実践することで恐怖心を克服できる人もいる。また多くの人が、汗が出たり震えを感じたりという不快な身体反応を、特別なリラクゼーション方法やバイオフィードバックのトレーニングでコントロールする措置をとることが役立つとしている。

多くのあがり症の人が、不快感の引き金になるような社会生活の場面を単純に避けることで、極度の不安症状に対処している。パーティーなど社交的なイベントの誘いを受けても断ったり、知り合いに出くわすのを避けるため道順を変更したり、さらには仕事の昇進を断ったりする場合もある。

あがり症の人にとって、このような恐怖を感じる場面を避けることが一番の解決法だと思われがちだが、実際には、長期的には問題を悪化させているのだ。あがり症の人が社交の場を避けるたび、他人と接するのがどれほど恐怖かという思いを強くしている。不安心を避けるその場だけのメリットを選んでいては、逆に恐怖心を継続させ増強させていることになるのだ。

あがり症の治療を専門にする心理学者は、社交の場を避けることが実際には問題を悪化させているとしている。あがり症で苦しむ人々を治療する多くの心理学者が、徐々に恐怖を感じる場面に出て行く機会を増やし、クライアントに新しい考え方を学んでもらうことを組み込んだプログラムを繰り返し行うことを薦めている。

極度のあがり症を治療する様々な心理療法が行われてきたが、ほとんどが乏しい成果に終わっている。一番成功したアプローチは、認知療法や行動療法、あるいはその両方を合わせたバリエーションを使い、恐怖を感じる場面に出て行く機会を増やしていくことだ。

認知療法では、クライアントは恐怖を感じる場面にいる時に自分が考えている思考を把握することを教えられる。自分の思考が現実に適合するかどうかみてみようということを学ぶ。もしこの思考が現実に合わなければ、もっと現実的な思考に入れ換えるよう教えられる。

行動療法とは、望ましい行動を増大し、望ましくない行動を低減するプログラムによって、クライアントの行動を変えていくことを目的としている。

認知療法、行動療法ともに、今現在の状況や症状の対処の仕方をクライアントに教えることに焦点を当てている。両療法ともクライアントの過去の状況まで掘り下げるわけではない。このような心理療法によりクライアントの過去を掘り下げるという対処方法の試みは、今のところ(認知療法の技術では?)効果が表れていない。

うつ病や孤独感に関して、認知療法の技術を効果的に使うことを勉強できる多くの本がある。もし特に重度の症状でなければ、このような本を読んだり、薦められたエクササイズをしてみたりすることで、大幅にあがり症やうつの症状が和らげられるだろう。多くの人々に認知療法を広めた先駆者の一人、デイビッド・バーンズ医師は、「Intimate Connections」や「Feeling Good—the New Mood Therapy」など非常に役立つ本やワークブックを執筆している。

過去10年間研究者たちは抗うつ薬、特にSSRI(選択的セロトニン再取り組み阻害薬)が極度のあがり症に効果のある治療薬であると発見した。SSRI薬の一つパキシルは、FDA(アメリカ食品医薬品局)に社会不安のための治療薬として初めて承認を受けた。事実、パキシルは社会不安のための治療薬として医師たちだけでなく、一般に直接販売されている。他のSSRIに属する抗うつ剤も社会不安を和らげる効果があるとされている。

あがり症に薬剤治療が本当に効果があるのか?社会不安障害の患者の中には、認知療法を含め、定期的精神療法でできる全てをことを試したが、SSRI薬を試すまで、あがり症の神経を衰弱させる症状に苦しんでいる。SSRIを投与してから迅速に目覚ましく改善されたケースもある。この類の薬は、社会不安を感じる患者の内面の批判的思考が過剰になるのを抑えてくれる傾向にある。

ではあがり症や社会不安の場合、もっと社交的になるために薬を摂取するべきなのか?社会不安のための薬を摂取するべきかどうかにおいては賛否両論ある。SSRIは中枢神経興奮、不眠、体重増加、性的機能不全や、他の一般的ではない副作用も引き起こすことがある。

医師や心理学者の中には、正常な人間の特質である、「あがる」ということが高価な医薬品の介入が必要な病気として宣言されていることを懸念する声もある。というのは、SSRI薬は比較的新しく、この類の薬が長期的にはどのような作用があるのかわかっていないからだ。それでもなお、SSRI薬は、うつ病や社会不安に対して、特に北アメリカを中心に広く処方されている。

多くの場所で、あがり症の治療に効果的なセラピーの技術を持つカウンセラーを見つけるより、SSRI薬を処方してくれる医師を見つける方が簡単であるのも事実である。

薬物治療がもたらすあがり症の症状の違いは驚異的ではあるが、効果が続くのは、定期的に薬を投与した場合になるだろう。投与をやめると症状が再度表れる可能性もある。適切な心理療法により良い結果が長続きする可能性が高いといえるだろう。

著者

記事抜粋 ロヤーネ・リアル著「Your Guide to Finding Friends, Making Friends, and Keeping Friends」

www.royanereal.com. にてダウンロード可能。