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2012-04-15

ソース(記事原文):ニュース・メディカル

消化器の診断的手技後のインドメタシン投与が膵炎を防ぐ可能性

ニュース・メディカル(2012年4月15日)― アナンヤ・マンダル医学博士(Dr Ananya Mandal, MD)著

診断的手技、つまりERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)の実施後に膵炎になるリスクは高い。ERCPは、胆管および膵管の障害を治療するため、または診断するために広く用いられている方法である。ERCP手技の際は、照明の付いた内視鏡を口から挿入して、その間に肝臓、膵臓、胆嚢の排出管を検査するためX線写真を撮影する。

ミシガン大学ヘルスシステム(University of Michigan Health System)とインディアナ大学医療センター(Indiana University Medical Center)の研究者らによる新たな研究から、ERCP手技後の患者にインドメタシンを直腸投与したところ、手技後の膵炎発症率が著しく低下したことが明らかにされている。この研究論文は、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(New England Journal of Medicine)4月12日号に掲載されている。

論文著者らの説明では、彼らの研究結果は、ERCP後膵炎と呼ばれる病態を防ぐ簡単な治療法につながるかもしれない。この種の膵炎は、ERCPを受けるすべての患者のうち、最大で4分の1にみられる合併症である。この合併症については、何年もの間研究されてはいるが、ERCP後膵炎を効果的に回避する方法に関し今回は説得力を持って明らかにした初の臨床試験である。

中間解析により、当初登録された602例の安全性と有益性が明確に証明されたことから、試験は早期終了となった。適格患者は、ERCP直後にインドメタシン坐薬50mgを2個投与する群、または同等のプラセボ坐薬を2個投与する群のいずれかに無作為に割り付けられた。

今回の試験結果はすでにこの領域の臨床現場を変えていると、著者らは述べている。ERCP後膵炎の発症率は、インドメタシン投与群で9.2%(プラセボ群よりも46%少なかった)、プラセボ群では16.9%であった。

患者のほとんど(82.3%)は、オディ括約筋機能不全が臨床的に疑われたことからERCP後膵炎のリスクが高く、また半数以上は、検圧法で記録した括約筋の緊張度が強かった。そのほかのリスクが高い理由として、ERCP後膵炎の既往歴がある、膵管括約筋切開術を受けた、カニューレ挿入を8回以上試みた、または膨大部切除術を受けたことが挙げられた。ERCP後膵炎については、新たな上腹部痛、ERCP後の24時間に膵酵素が正常範囲上限値の少なくとも3倍に増加、および少なくとも2泊の入院と定義された。

米国国立衛生研究所(U.S. National Institutes of Health)によれば、毎年、約210,000人の米国人が急性膵炎で入院しており、時には致命的な感染症を引き起こすこともある。主な症状は上腹部の左または中間領域における重度の痛みであり、また炎症の原因として最も多いのが胆石、次いで大量の飲酒である。

研究の筆頭著者で、消化器専門医のB.ジョセフ・エルムンツァー氏(B. Joseph Elmunzer)は次のように述べた。「ERCPは極めて重要な手技であり、これが必要な人達に対し命を救う介入を行うことができます。しかし、あらゆる内視鏡手技の中でもERCPは最も侵襲的とみなされており、これに伴うリスクもいくつかあります。」ERCP後膵炎では、膵臓が突然腫れる。専門家らの話では、年間でおよそ1億5千万ドルの医療費がこの合併症に費やされている。

今回の研究から、ERCP手技後に抗炎症薬インドメタシンの直腸投与を受けた群では、膵炎により入院しなければならない可能性が著しく低かったことが明らかにされた。インドメタシンの1回の投与には5ドルもかからない。NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)のインドメタシンが、膵臓の炎症反応、つまりERCP後の合併症リスクを抑制すると研究者らは確信している。「ERCP後膵炎の予防的介入措置として、唯一立証されている膵臓の一時ステント留置に、NSAIDsが追加の利益をもたらすかどうかについては依然として不明である。」エルムンツァー博士と同僚らはこう書いている。

共著者で消化器専門医のエヴァンL.フォーゲル氏(Evan L. Fogel)は次のように話した。「我々の研究結果から、ERCP後膵炎のリスクが高い患者におけるERCP直後のインドメタシン単回投与は、この合併症の発生率を有意に低下させたことが明らかにされました。予防的なインドメタシン投与はERCP後膵炎の重症度を低下させて、比較的短期の入院と関連したことも我々は明らかにしました。」

エルムンツァー博士の話では、「今回の研究結果は非常に印象的でした。我々は、インドメタシンには大いに防御作用があったことを明らかにしました。ERCP後膵炎のリスクは5%程度ですが、比較的リスクの高い患者が存在しており、何らかの予防措置を取らなければこの合併症の発生率は最大で25%になります。」

「この最新知見には大きな臨床的意義があります。」今回の研究には参加していないが、デンマークにあるヴィドーヴェ病院胃腸科(Department of Gastroenterology at Hvidovre Hospital)のウルリッヒ・クリスチャン・バン氏(Ulrich Christian Bang)はこう述べた。「ERCP後の急性膵炎関連の重症率を踏まえれば、容易に利用できるこの予防的措置の有益性は、ERCPを実施するすべての臨床医にとって興味深いニュースでしょう。」同氏はメドスケープ・メディカル・ニュース(Medscape Medical News)にこのように語った。

バン博士によれば、これまでの支持的な結果とともに、この研究結果は経口または直腸投与によるNSAIDsが有効であることを示している。同氏は、「NSAIDの単回投与に伴う副作用がごくわずかである(特に[消化管]出血の発現率上昇がない)ことを考慮すれば、この方法をすぐに臨床現場に取り入れることは妥当かもしれません。」と話した。また、ERCPに先立つ難しい仕事は高リスク患者を適切に特定することであり、特定のサブグループに関するさらなる研究が必要であるとも言い添えた。「とはいえ、インドメタシン投与は、差し当たってERCP後膵炎の発症率を下げる最も有望な方法のようです。」

ニューヨーク州マンハセットにあるノースショア大学病院胃腸科主任(chief of the division of gastroenterology at North Shore University Hospital)のデイビッド・バーンスタイン博士(Dr. David Bernstein)の話では、通常は外来で行われるERCPを受けた患者らにおいて、インドメタシンは、費用のかかる入院が必要となる件数を大幅に減らす可能性がある。「今回の研究は実に分かりやすく印象的で、驚くべきものです。」と同氏は述べた。「これは極めて重要な研究結果です。」

インドメタシンはその費用がわずかであることから、医療革新に高額な費用を伴う必要はないという「原理の証明」であるとエルムンツァー博士は指摘した。同氏は、「医療費がかなり高くなってきているために、研究者らは革新的で費用のかからない健康改善策を検討し始めることが急務です。」とも述べた。「この研究は最適な例です。」


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