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2013-06-13

ソース(記事原文):アイリッシュ・メディカル・タイムズ

痛風の診断・治療の最新情報

アイリッシュ・メディカル・タイムズ(2013年6月13日)― ダブリンにある関節炎・リウマチクリニック(Arthritis and Rheumatology Clinic)のリウマチ専門顧問医師、シャヒーフ・アルラキ博士(Dr Shaheef Alraqi)が、痛風の診断・治療・管理の最新技術や、治療が十分でないと起こりうる結果について、おおまかに説明しています。

痛風は炎症性びらん性関節炎であり、関節およびその周囲の軟部組織に尿酸ナトリウム1水和物(MSU)の結晶が沈着することによって起こります。

男性がかかる炎症性関節炎として最も多いのが痛風で、男女比は女性が閉経前なら20対1、それ以降の年代なら3対1でしょう。足の親指、足首、膝、手首、肘が典型的な罹患部位です。

高尿酸血症が痛風発症の重要な危険因子です。尿酸は低温・低pHで溶解度が下がるため、この条件がそろうとMSU結晶の沈澱・核形成・成長が促進されます。人口の5%に生化学的な高尿酸血症がみられますが、70%以上の方は幸いにも無症状のままということを心に留めておくといいでしょう。

患者の70%は臨床的背景から痛風とまず診断できますが、検査で診断を確定させるには、炎症を起こしている関節の関節液を吸引して採取し、偏光顕微鏡でMSU結晶の有無を調べるのが唯一の方法です。

課題

特定の病態、特に足の親指ではない関節炎を呈する患者(最初の症状提示の50%)、多発性関節炎を呈する患者(多くても症状提示の20%)、別の炎症性関節炎を合併している患者の場合には、診断が難しいことがあります。

痛風患者の治療が十分に行われないのはよくあることで、これにはおそらく複数の要因が寄与しています。より良いケアプランを作成して実施できるように、背景にある原因を明確にすることがこの分野での研究に求められています。治療が十分でないという事実は明白であり、痛風患者は一般集団と比べ身体機能やQOLが低下していて併存症が多いことを示す研究結果にも反映されているからです。

痛風の患者集団は心血管疾患だけでなくその他原因による死亡率が高く、診断の遅れや不十分な病態管理が大変な結果を招くことがあります。

高尿酸血症または痛風の患者の初期評価では、高尿酸血症のその他合併症(痛風結節、尿路結石、腎疾患)、および高血圧症、糖尿病、脂質異常症などのよく知られている関連疾患のスクリーニングも行うべきです。

無症候性高尿酸血症の患者の評価においては、「高尿酸血症の合併症リスクが高く治療を開始したほうがいい患者」、「その場合、代用または除去できる薬物や有害物質を摂取している患者」、「リンパ球増殖性疾患や骨髄増殖性疾患、悪性腫瘍などの基礎疾患の徴候を認める患者」のタイプに患者があてはまるのか、確認することが主な目的になります。

急性痛風発作を終わらせる

以前から急性痛風発作の治療で第一選択とされてきたのは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID、ただしアスピリンを除く)でした。NSAIDは今でも第一選択薬として使われています。併存症がある患者には慎重に使用しなければいけません。消化器症状がみられる患者にはCOX 2阻害薬が好ましく、心血管疾患がある患者には非選択的NSAIDが適切な選択になります。

コルヒチンはNSAIDの代替薬となり、特に急性発作の初期段階で使うと効果的です。この薬は消化器症状(特に下痢)を主な理由に、その使用が制限されています。従来の推奨用量よりもやや減量した用量での使用がベストでしょう。用法として症状が落ち着くまでは1日3回0.5mg、その後完全に消失するまでは1日2回0.5mgにすると忍容性はかなり良好です。

患者がNSAIDやコルヒチンに忍容性がない場合、あるいは末期腎疾患がありそれら薬剤の使用を避けたほうが良い場合には、グルココルチコイド(ステロイド)を使用するのがベストでしょう。関節内注射、経口、非経口のいずれかで投与します。関節内注射は罹患関節が1~2カ所の患者に好ましい投与法で、検討に先立ち感染症を除外しなければいけません。病態が多発性関節炎の場合、好ましいのはステロイド薬の全身投与です。

痛風発作を終わらせるには、アナキンラ(IL-1)やカナキヌマブ(IL-β)によるIL1の阻害が効果的です。ただし、これらの薬剤は高価で、依然として急性期ではあまり使用されていません。

再発の予防

痛風患者は、他のタイプの炎症性関節症に比べれば、その予防やコントロールをずっと効果的に行うことができます。第一に、十分な水分補給を保ち、飲酒を控え、果糖やプリン体が豊富な食べ物(特に動物性食品)を減らす食事療法を取り入れることで状態は改善します。ビタミンCや牛乳の摂取も痛風の管理にはプラスです。

痛風は体重が増えるとリスクが高まり、減量すればリスクも減ります。痛風患者が減量する際は、痛風発作を避けるためゆっくりと減らしていく必要があります。

赤身の肉、鳥肉、魚などプリン体が豊富な食事は控え、代わりに低脂肪乳製品から動物性タンパク質を摂取し、炭水化物は精製されたものばかりでなく未精製との混合にすれば、血清尿酸値はかなり下がります。

アルコール摂取は平均的な量でも痛風リスクは2~3倍高くなります。このリスクはビールを飲む人で最も高くなるようで、痛風発作の大幅な減少を目指すのなら、アルコール摂取量も大幅に減少させるべきです。

頻繁な発作、慢性痛風、結節性の結晶沈着がみられる患者、また腎機能不全を認める痛風患者では、再発やその他高尿酸血症合併症を予防するため高尿酸血症治療薬が適応となります。尿路結石が再発する場合や、若年患者で尿中の尿酸値が6.5mmolを超える場合にも適応となります。発作が長引いたり、発作のせいで患者の活動が大幅に妨げられたりしているのなら、尿酸値が比較的低くても治療を検討することがあります。

高尿酸血症治療薬による治療目標は、正常値の上限より少なくとも10~15%低い血清尿酸値を達成すること、そしてゆっくりと、ひと月36umol低下を超えないペースで目標値を達成することとします。これにより痛風発作の再発率は最も低くなります。

アロプリノールはキサンチンオキシダーゼ 阻害薬です。この薬はヒポキサンチンからキサンチンへ、キサンチンから尿酸への変換を阻害します。平均的なアロプリノール投与量は300mgですが、患者の反応、忍容性、併存症に合わせて調整すべきです。発熱、発疹、好酸球増加症、肝炎、急性腎不全からなるアロプリノール過敏症症候群はまれですが(発生率はおそらく1000分の1を大きく下回ります)、命にかかわることがあり、死亡率は25%にもなります。

同じく経口キサンチンオキシダーゼ 阻害薬で、アロプリノールよりも新しいのがフェブキソスタットです。アロプリノールと違って、この薬はプリン塩基アナログではなくチアゾールカルボン酸誘導体になります。フェブキソスタットは用量依存的に血清尿酸値を低下させ、40mg/日で、アロプリノール300mg/日で治療した際とほぼ同程度に値を下げます。

軽症・中等症の慢性腎疾患を有する患者を対象とした試験では、フェブキソスタットの減量は必要ないようでした。メーカーは、肝酵素(トランスアミナーゼ)値の定期的なモニタリングを勧めています。

フェブキソスタットの開始時は急性痛風発作のリスクが高まります。急性発作の予防をお勧めします。

臨床試験において、フェブキソスタット群は対照のアロプリノール群よりも心血管イベントの発生率が高かったことが示されました。しかしこれは、その後に行われた無作為化試験では確認されず、この所見に関連した市販後調査が現在行われているところです。フェブキソスタットは薬価が高いため、治療の費用はアロプリノールよりもかなり高額になります。

プロベネシドおよびスルフィンピラゾンは尿酸排泄促進薬であり、尿中尿酸排泄量が低下している患者(高尿酸血症の患者の90%)に有効です。これら薬剤は、尿酸再吸収を媒介する近位尿細管の尿酸/アニオン交換輸送体を阻害して、尿酸の腎排泄を促進することで作用します。

尿酸排泄促進薬の副作用には、アレルギー性発疹、消化器症状、尿酸結石の形成、痛風発作の促進などがあります。

この薬は、細胞膜を通過するその他有機アニオンの輸送にも干渉してしまうため、多くの薬物相互作用があります。

ロサルタン、フェノフィブラート、ビタミンCのいずれも、ある程度の尿酸排泄促進効果があります。血清尿酸値のさらなる低下を目指すには、高尿酸血症で高血圧症を伴う患者にロサルタンを、脂質異常症を伴う患者にフェノフィブラートを使用します。

重症であると適切に判定した症例では、十分な尿酸値低下を目指してキサンチンオキシダーゼ阻害薬と尿酸排泄促進薬による併用療法が必要になります。しっかりとモニタリングを行えば、通常は安全で効果的な治療法です。

点滴静注製剤として、ペグロチカーゼ(遺伝子組換えペグ化ウリカーゼ)とラスブリカーゼ(遺伝子組換え非ペグ化ウリカーゼ)があります。これらは、尿酸から、アラントインという溶解度の高い生成物への変換反応を触媒する酵素です。

患者が従来の治療に不応で痛風が進行していれば、この薬を検討する価値があります。発赤や痛風結節の軽減といった臨床転帰、身体機能、QOLがこの薬で急速に改善する可能性があり、経口の痛風治療薬ではなかなか結果が出ないのに、ペグロチカーゼで治療したら数カ月で済んだという患者もいます。

特定の症例ではインフリキシマブなどの抗TNF薬が使われていますが、成功率にはばらつきがあります。


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