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2014-02-11
ソース（記事原文）：ワールド・ファーマ・ニュース
真菌症に効く乳癌治療薬
ワールド・ファーマ・ニュース（2014年2月11日） ― タモキシフェンは、乳癌の治療薬として現在使用されているが、免疫不全患者における致死的な脳感染症の原因となる真菌類も死滅させる。こうした疾患は、結核患者よりもHIV/エイズ患者でより多くの死者を出しており、今回の結果がその新しい治療法に結び付く可能性がある。この結果は米国微生物学会誌(American Society for Microbiology:ASM)mBioRオンライン版(閲覧自由)で発表された。
本研究著者であるロチェスター大学(University of Rochester)のデミアン・クリサン(Damian Krysan)氏は「本研究は、タモキシフェンをヒトへの薬剤として使用できるのかどうかを確認するための付加的動物試験の段階に来ており、抗真菌薬としてタモキシフェン関連の優れた新薬を生み出せるものと考えられる」と述べている。
クリプトコッカス症は最も多くみられるヒト真菌症の1つであり、世界中で毎年約100万人の新規感染と62万人の死亡を招く原因となっている。この疾患は主にHIV/エイズ患者で発症しやすく、クリプトコッカス症を原因とする死亡者数は結核患者よりもエイズ患者の方が多い。この疾患の症状は、肺炎または髄膜脳炎(脳感染症)として現れる。
クリサン氏は「この感染症の標準的治療は、アムホテリシンBと5-フルシトシンの併用投与となっている。これらの薬剤は、ペニシリン(抗生物質)が第一選択薬であった1950年代後半に初めて使用された。半世紀にわたり、この疾患の治療に大幅な改善がみられない。というのも、治療を最も必要とする世界の多くの地域で標準的治療が利用できないためである」と述べている。
標準的治療が利用できない世界の地域(サハラ以南のアフリカなど)において第一選択薬となるのは広く入手可能で安価なフルコナゾールである。残念ながら、この薬剤は真菌を殺傷しないため、有効性は随分低い。
クリサン氏は「近年、新たな疾患に対する新薬をより迅速に開発する方法として、昔ながらの薬剤を再利用することへの関心が高まっている。我々はクリプトコッカスを死滅させる薬剤を見つけ出そうと、昔ながらの薬剤を大量に調べ、タモキシフェンの殺傷能を再発見した」としている。「タモキシフェン分子が、クリプトコッカスに対して優れた阻害活性を示すのかどうかを判断するため、タモキシフェン単剤、もしくはフルコナゾールなどの他の抗真菌薬との併用で、臨床微生物検査を行った。タモキシフェンとフルコナゾールの併用には相乗活性があり、併用投与することで、いずれか単剤で用いるより4倍も高い活性が得られる」
また、クリサン氏らは、タモキシフェンが乳癌に働きかけるのと同じ方法で、真菌を殺傷するのではないということも証明した。具体的方法は、重要なカルシウム結合タンパク質カルモジュリンに関連するタンパク質を阻害するというものである。カルモジュリンを阻害させる能力が高まるようにタモキシフェンを改変すると、クリプトコッカス殺傷能が高まることを同氏らは見出した。
クリサン氏は「クリプトコッカス髄膜炎に対する効果的で広く利用可能な治療法は、世界的に重要な臨床的ニーズであるにもかかわらず、未だ対処されていない」と述べている。「タモキシフェンは新しいクリプトコッカス治療薬の開発において薬理学的に興味深い土台となるものであり、一層効果を高めるメカニズムの基盤を付与するものであることが、今回の結果から示されている」
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