不眠症 - このカテゴリーに関連するニュース・情報

下記の内容は、当サイトがWeb上の英語で書かれたニュースや記事を独自に訳したものであり、当サイトはその内容、翻訳の正確性に関して一切免責とさせて頂きます。この点をご理解の上、参考になさってください。また、この翻訳文の無断利用はお控え下さい。

2011-05-02

ソース(記事原文):サイエンスデイリー

睡眠過多や睡眠不足により認知機能の老化が加速する可能性のあることが研究で明らかにされた

サイエンスデイリー(2011年5月2日)―5月1日発行の雑誌「スリープ」に掲載された研究は、中年後期の5年間に睡眠時間の変化がみられた場合、認知機能にはどのような影響があらわれるかについて説明している。その研究結果から、1日の睡眠時間が7時間または8時間を超える、あるいは6時間から8時間より短い男女は認知力の低下が早まること、そしてそうした低下は4年分から7年分の加齢に相当することが示された。

平日の一日睡眠時間がベースライン時は「7時間または8時間」で、追跡調査時にこれよりも延長していたのは女性では7.4%、男性では8.6%であった。睡眠時間に変化がみられなかった参加者と比較すると、睡眠時間の延長という変化に伴い追跡調査時の認知機能検査のスコアは6項目中5項目で低く、唯一の例外は短期言語記憶力であった。また1日の睡眠時間がベースライン時では「6、7、8時間のいずれか」で、追跡調査時にこれよりも短縮していた女性は約25%、男性は約18%であった。睡眠時間の短縮という変化に伴い、追跡調査時の認知機能検査のスコアは6項目のうち論理的思考力、語彙力、全般的認知状態の3項目で低く、これらすべての項目において悪影響がみられた。驚いたことに、睡眠時間が6時間以下よりも延長した場合では有益な影響は何ら確認されなかった。

「私達の研究から得られた結果で、最も重要なのは、中年後期における睡眠時間の好ましくない変化が認知機能の低下と関連するようだということでした」

筆頭著者であり、英国ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ医学部疫学・公衆衛生学科で上級研究員を務めるジェーン・フェリエ博士(lead author Jane Ferrie, PhD, senior research fellow in the University College London Medical School Department of Epidemiology and Public Health in the U.K)はこう述べた。

また研究者らは、女性では、すべての認知尺度のスコアが最も高かったのは1日睡眠時間が7時間の場合で、僅差で6時間睡眠がこれに続いたことも明らかにした。男性では、睡眠時間が6、7、8時間のいずれかであると報告した者の認知機能は同等であったが、6時間未満と短い場合、または8時間超と長い場合のみスコアの低さが関連するようであった。

今回の研究には、ホワイトホールII研究(Whitehall II study)の第5期(1997年から1999年)と第7期(2003年から2004年)の参加者5,431例(女性1,459例、男性3,972例)から得られたデータが使用された。ホワイトホールII研究には、1985年度にロンドンにある20の官公庁で就業していた35歳から55歳の10,000人以上の職員も参加した。第5期のほか追跡調査となる第7期に、郵送によるアンケートと臨床検査が行われた。第7期に、標準的検査を用いて認知機能の測定が行われ、記憶力、論理的思考力、語彙力、発話流暢性、意味流暢性、全般的認知状態の6項目が評価された。

習慣的な睡眠時間の評価は、第5期(ベースライン)と第7期(追跡調査)に「平日の睡眠時間は1日平均何時間ですか?」という1つの質問を用いて行われた。参加者は2つの評価時点の間にみられた睡眠時間の変化に基づいて、1日の睡眠時間が5時間以下または6時間から延長、7または8時間から延長、6、7、8時間から短縮、9時間以上から短縮という4つのグループに分けられた。これらグループを、第5期と第7期の睡眠時間に変化はないと報告した基準グループと比較した。調査期間中の睡眠時間に変化はなかったと報告したのは、全体で男性の約58%、女性の約50%であった。

参加者のほとんどは事務職であったが、その給与は職務上の地位によって10倍の差がみられ、経済的には広範囲に及んでいた。教育や職務上の地位が認知パフォーマンスと関連することが知られているため、研究者らはそれらの影響を調整した。教育と認知パフォーマンスの関連性及び職務上の地位と認知パフォーマンスの関連性の両方に、社会経済的地位は関連していなかった。これは、睡眠に係わる変化と認知機能に直接の関連性がある、又は教育と職務上の地位といった因子以外の介在因子または交絡因子が係わっていることを示している。

著者らによれば、良質で十分な睡眠は人としての機能や健康を保つ上で非常に重要だそうである。睡眠不足や眠気は、任務遂行能力、反応時間、注意力や集中力に悪影響を及ぼしたり、仕事上のミスを引き起こしたりする。さらに睡眠時間は、社会的機能、精神的・身体的健康、早世といったさまざまな生活の質尺度と関連することが明らかにされている。

「睡眠過多、睡眠不足、質の悪い睡眠が健康面に及ぼすさまざまな悪影響について、一層の注目が集まり始めています。」とフェリエ氏は述べた。「眠らない社会がますます多くの人の生活に影響を与えていることを考えれば、長期的に見て睡眠時間の変化が健康や幸福にどのような影響を及ぼすのか検討することが重要です」