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2013-02-19
ソース(記事原文):エイズマップ
B型肝炎ウイルスとHIVの重複感染患者ではテノホビルをエムトリシタビン(FTC)またはラミブジン(3TC)と併用するとB型肝炎ウイルス抑制の可能性が高まる
エイズマップ(2013年2月19日)― マイケル・カーター(Michael Carter)著
ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)とB型肝炎ウイルス(HBV)に重複感染した人を対象とした研究において、テノホビルをエムトリシタビン(FTC)またはラミブジン(3TC)と併用する抗レトロウイルス療法が、B型肝炎ウイルスの複製を検出限界以下に抑える可能性を最大にすることが示された。本研究は、医学誌「臨床感染症(Clinical Infectious Diseases)」オンライン版に掲載されている。B型肝炎ウイルスの複製が継続されることに関連する要因は、CD4細胞数の減少と、HIV治療の遵守不十分などからなる。
著者らは「テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(テノホビル)とエムトリシタビン(FTC)/ラミブジン(LMV[3TC])の併用療法は、B型肝炎ウイルスDNA抑制の持続可能性を高める」とコメントしている。「より進行した免疫不全状態と、抗HBV(B型肝炎ウイルス)薬の不十分な服薬遵守が、HIVとHBVの重複感染患者における反応持続の可能性を低くさせる…HIV-HBV同時感染者においてHIVおよびHBVコントロールを維持させるには服薬遵守を完全に守る重要性を強調することが不可欠である」
テノホビル(ビリアード[ツルバダ、Eviplera、アトリプラの配合成分])は、強力な抗HIV薬であり、一次治療としての抗レトロウイルス療法で使用することが推奨される。また、同剤は強力な抗HBV(B型肝炎ウイルス)効果を持つので、治療ガイドラインではHIVとHBVに重複感染している人には、テノホビルを含めた抗レトロウイルス療法を行うよう推奨されている。
実際、テノホビルで治療を受けた重複感染者において、B型肝炎ウイルス(HBV)の抑制率が高いことが認められている。ただし、B型肝炎ウイルス(HBV)複製の継続を経験している人も少数存在する。オーストラリア、タイ、および米国の研究者らは、そうなる理由を特定したいと考えた。
そこで、同研究者らは、慢性B型肝炎ウイルス(HBV)感染を有するHIV感染患者のうち、ラミブジン(3TC、抗HBV活性を持つ薬剤)治療を受けたことのある人を対象に、前向き観察研究試験を計画した。被験者の大半(73%)は男性同性愛者であった。試験開始前において、B型肝炎e抗原の陽性が49%に認められ、B型肝炎DNAが29%に検出された。全体で、90%がHIV治療を受けており、89%が抗HBV活性を用いた治療を受けていた。
抗レトロウイルス治療の最も一般的な抗HBV成分は、エムトリシタビン(FTC)またはラミブジン(3TC)のいずれかと併用したテノホビルであった(57%)。それ以外は、B型肝炎ウイルス(HBV)に効果のある単剤療法を受けたか(19%がエムトリシタビン[FTC]またはラミブジン[3TC]、13%がテノホビル)、もしくは抗HBV薬を全く投与されなかった。
被験者は中央値で2.8年間追跡調査され、解析対象となる来診回数は合計で1,015回であった。B型肝炎ウイルス(HBV)DNAは来診全体の21%で検出された。
潜在的交絡因子で補正後、いくつかの要因がB型肝炎ウイルス複製の継続に関連を持つことが示された。その1つは、抗HBV活性を持つ抗レトロウイルス薬の単剤投与であった(FTC/ラミブジン(3TC)単剤療法 p<0.001、テノホビル単独療法 p=0.02)。
また、抗レトロウイルス療法の期間が短いことも、B型肝炎ウイルス(HBV)の検出に関連した(累積治療期間が2年間でp=0.002)。CD4細胞数が200個/mm3未満の場合も有意に関連していた。研究者らによれば、この関連性が「興味深いのは、免疫抑制率がB型肝炎の抗ウイルス療法に対する反応能力に影響を及ぼすことを示唆するものであるからである…これらのデータはHIV-HBV重複感染患者に対するHAART(高活性抗レトロウイルス)療法の早期開始の推奨を支持するものである」という。
検出可能なHIVウイルス量(p<0.001) と、抗レトロウイルス治療の遵守率95%未満(p=0.05)もまた、B型肝炎ウイルス(HBV)検出のリスク因子であった。
次に、本研究者らはテノホビルの治療を受けた人において、B型肝炎ウイルス(HBV)の複製に関連する因子を検討した。
B型肝炎e抗原が陽性であることと、CD4細胞数に減少が認められること、それにHIVウイルス量が検出可能であることが、いずれも有意に関連していると特定された。
一方、エムトリシタビン(FTC)/ラミブジン(3TC)と併用したテノホビルは、B型肝炎ウイルス(HBV)の複製リスクを低下させた(p=0.02)。
また、著者らはテノホビルで治療を受けた被験者において、3つの無効パターンを特定した。具体的には、1)B型肝炎ウイルス複製の抑制を得られない治療不成功、2)B型肝炎ウイルス(HBV)のウイルス量リバウンド、3)B型肝炎ウイルス(HBV)の一時的急上昇後のウイルス再抑制であった。
「テノホビルジソプロキシルフマル酸塩をエムトリシタビン(FTC)またはラミブジン(LMV)と併用した治療は、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の単剤治療よりも実際に優れている」と著者らは結論づけている。「この結果は、今回の集団全体で実証されたほか、解析対象をテノホビルジソプロキシルフマル酸塩(FTC)ベースのHAART(高活性抗レトロウイルス)療法を受けた患者に限定した場合でも証明された」
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