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2013-11-12

ソース(記事原文):キュア・トゥデイ

一部の胃腸管間質腫瘍患者にイマチニブ投与再開が有益となる可能性

キュア・トゥデイ(2013年11月12日) ― ニューヨーク(ロイターヘルス) - 一部の消化管間質腫瘍患者は、イマチニブとスニチニブ治療から効果を得られなくても、後にイマチニブ投与を再開することで有益性を得られることが、RIGHT試験の結果で示された。

韓国ソウルの牙山医療センター(Asan Medical Center)と蔚山大学医学部(University of Ulsan College of Medicine)のユンクー・カン(Yoon-Koo Kang)博士は「これまでの腫瘍学の原則に反して、一度試しても効果のなかった治療法の再導入が患者に効果をもたらす」とロイターヘルスに語った。

カン氏は「治療効果判定規準にて過去に効果不十分が示された場合でも、腫瘍細胞は依然として治療薬への感受性を維持しているため、全体的な進行を遅らせることができる」と述べている。

チロシンキナーゼ阻害剤の治療を行っても疾患進行がみられる患者に対する治療法として、イマチニブの再導入は、イマチニブによる腫瘍縮小作用への感受性が残っている消化管間質腫瘍クローンを標的として作用し、疾患進行を遅延させ、症状を緩和するものであり、多くの治療ガイドラインで推奨されている。

これまで、このアプローチが無作為化試験で検証されたことはなかった。

カン氏の試験で対象となった患者81人は、切除不能または遠隔転移のある消化管間質腫瘍を有し、イマチニブ投与開始当初は奏効または病状安定がみられたが、その後、少なくともイマチニブとスニチニブ治療を行っても悪化していた。患者はイマチニブ400mg/日を投与する群、またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、疾患進行した場合は非盲検イマチニブへ切り替えてもよいこととした。

追跡期間中央値5.2ヵ月間にわたる無増悪生存期間中央値は、イマチニブ群で1.8ヵ月であったのに対し、プラセボ群で0.9ヵ月であった(進行または死亡のハザード比0.46、p=0.005)。この結果は医学誌ランセット・オンコロジー(The Lancet Oncology)10月18日号オンライン版で報告された。

無増悪生存率は、イマチニブ群の方がプラセボ群よりも優れており、4週時点でイマチニブ群73%に対しプラセボ群43%(p=0.005)、8週時点でそれぞれ42%対15%(p=0.008)、12週時点で32%対5%(p=0.003)であった。

全生存期間中央値はイマチニブ群(8.2ヵ月)とプラセボ群(7.5ヵ月)の間に差はなかったが、プラセボに無作為割付された患者40人中37人が、非盲検イマチニブに切り替えたことで生じた可能性があり、うち35人は客観的な腫瘍増殖が認められていた。

グレード3~4の貧血、疲労感、および高ビリルビン血症の発生率は、イマチニブ群の方がプラセボ群よりも高かったが、治療関連の有害事象による投与量修正や投与中止を必要とした患者はいなかった、と著者らは述べている。

カン氏は「同条件下でのイマチニブ投与の再開が保険償還の対象となる米国やその他の諸国において、本研究結果は、利用可能な全治療に効果不十分となった後でイマチニブを処方することの理論的根拠を提示すものとなる」としている。「同条件下でのイマチニブ再導入が償還対象とならない韓国をはじめとする多くの国々では、本研究結果は償還方針や腫瘍医の診療行為の内容の見直しを可能にするものである」

同条件下でイマチニブをいつまで継続すべきかについては「個人的に、疾患が急速に進行したり、治療に耐えられなかったりするようなことがない限り、継続することを推奨したい」とカン氏は述べている。

同氏は、今回の研究結果が進行した消化管間質腫瘍に対する新薬を開発するための将来的な臨床試験に影響を及ぼすものと考えている。「これらの臨床試験における対照(プラセボ)群については議論がある。これについて本研究から導き出された我々の一致した意見は、進行した消化管間質腫瘍に対する新薬の有効性を実証するための今後の臨床試験では、対照群をプラセボ(適切な対症療法との併用)単剤とすべきではないというものである」

フィンランドのヘルシンキ大学中央病院(Helsinki University Central Hospital)のヘイッキ・ヨエンスウ(Heikki Joensuu)博士は「チロシンキナーゼ受容体に耐性を示す進行した消化管間質腫瘍は、不均一な疾患であることが多く、チロシンキナーゼ阻害剤に対する感受性にばらつきのある癌細胞集団が含まれている可能性がある」とロイターヘルスに語った。

カン氏の研究には関与していない同氏は「イマチニブ投与中に一部の細胞クローンが増悪しても、全体的な癌増殖は抑制され続ける可能性がある。ただし、その段階で得られる臨床的有用性は、イマチニブに感受性のある消化管間質腫瘍の患者と比較すると小さいものである」と補足した。

「薬剤耐性の出現を遅延または予防することは、消化管間質腫瘍の治療において重要な目標である」とヨエンスウ氏は述べている。「この目標を達成するための戦略は、1)腫瘍量がまだ小さいうちの初期段階に治療すること(イマチニブ補助療法)、2)適量のイマチニブを用いること(イマチニブ投与中に消化管間質腫瘍の細胞増殖を起こしうる過少量投与の回避が目的)、3)患者コンプライアンスの促進(カウンセリングやイマチニブ関連副作用の効果的治療に基づく)からなる」

ノバルティス(Novartis)社のがん領域事業部は、本試験の財政的支援を行っており、10人の著者のうち2人に研究援助をしている。


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