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2013-06-18

ソース(記事原文):腫瘍学ナース・アドバイザー

進行した甲状腺分化癌患者の腫瘍増殖をソラフェニブが阻止

腫瘍学ナース・アドバイザー(2013年6月18日)― キャシー・ボルツ(Kathy Boltz)博士 著

腎臓癌と肝癌に対する抗癌剤ソラフェニブ(ネクサバール)は、遠隔転移を有する甲状腺癌の進行までの期間をプラセボの約2倍延ばすことが、無作為化第III相試験(DECISION試験)の結果で明らかにされた。この結果は、イリノイ州シカゴで6月初めに開催された2013年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。

腫瘍細胞分裂や腫瘍血管増殖を媒介するキナーゼ阻害剤(ソラフェニブ)が、甲状腺癌患者への適応で米国食品医薬品局(FDA)によって認可されれば、この患者集団における初の有効薬剤となりうる。甲状腺癌は手術や放射性ヨード治療による根治率が高いものの、甲状腺癌と診断される毎年6万人の患者のうち約10%は標準的治療に効果不十分となり、最終的にリンパ節、骨、肺やその他の部位にも腫瘍を発現する。進行した甲状腺癌に対する薬剤は、1974年に認可されたドキソルビシンという薬が唯一であるが、強い毒性を有し、効果的でないため、使用されていない。

フィラデルフィアのペンシルバニア大学医学部(University of Pennsylvania School of Medicine)耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学・血液学/腫瘍学の助教で主任研究者のマルシア・ブローズ(Marcia S.Brose)博士は「ソラフェニブが導入されるまで、甲状腺癌の進行に苦しむ患者に対する治療選択肢はなかった」と語った。「ようやく、進行を5ヵ月間食い止められる画期的薬剤で、希望を患者に与えられる。本試験は、進行した甲状腺癌患者における治療の限界を変えるような新薬を見つけ出すための有望な一連の臨床試験の第一段階である」

今回の多施設共同多国間試験では、遠隔転移を有する甲状腺癌患者417人を対象に、207人を経口薬ソラフェニブ投与群に、210人をプラセボ群に無作為に割り付けた。ソラフェニブ群では計12%が腫瘍縮小を認めたのに対し、プラセボ群では0.5%であった。腫瘍縮小がみられなかった患者の多くにおいてもソラフェニブが進行を阻止するように思われたことは重視される。6ヵ月後に病状安定が認められたのは、ソラフェニブ群で42人(20.3%)、プラセボ群では33%であった。

無増悪生存期間の中央値はソラフェニブ投与患者で10.8ヵ月であった一方、プラセボ群では5.8ヵ月であった。プラセボ投与患者で疾患進行が認められた場合、ソラフェニブ群に切り替えてもよいこととし(クロスオーバー可能)、70%が実際に切り替えた。全生存率データは未だ得られていない。

ソラフェニブ投与患者において最も多くみられた有害事象は、手足の皮膚反応、下痢、脱毛症、発疹、疲労感、体重減少、高血圧であった。これらは全て、承認済みの適応で本剤を検討した先行試験の結果と一致している。


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