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2014-12-04

ソース(記事原文):サイエンス・コーデックス

骨髄増殖性腫瘍の発生を女性ホルモンが防ぐ

サイエンス・コーデックス(2014年12月4日) ― 血液疾患の中には治癒を期待できる治療法が現在もないものがあり、今回の発見はその治療法として応用できる可能性がある。この研究はCNICのサイモン・メンデス‐フェレール博士(Dr. Simon Mendez-Ferrer)がリーダーを務め、バーゼル大学病院(University Hospital in Basel)(スイス)のユルグ・シュワラー博士(Jurg Schwaller)研究室とラデク・スコダ博士(Radek Skoda)研究室が協力した。彼らはマウスにおいて、骨髄増殖性腫瘍という特定の血液疾患の症状および進行をタモキシフェンが阻止することを証明した。タモキシフェンは乳がん治療の目的で承認され、広く使われている薬だ。

メンデス‐フェレール博士の説明によると、以前から科学者たちの間では女性よりも男性のほうが白血病発症リスクが高いことは知られていたそうで、「なぜ男女間で白血病発生率に差があるのか分かりませんでしたが、エストロゲンのような性ホルモンでこうした違いを少しは説明できるようになりました」。エストロゲンが一部の血液細胞を調節することは知られていたが、骨髄増殖性腫瘍を引き起こすものなど血液幹細胞への影響についてはほとんど分かっていなかった。

これが出発点となり、そこから研究者たちは実際に応用できる重要なことを発見した。「この研究で私たちは、骨髄にある細胞、つまり造血幹細胞と、多能性前駆細胞として知られるその直系の子孫細胞に、タモキシフェンは特異的効果を持つことを証明しています」。共同研究者のアベル・サンチェス‐アギレラ(Abel Sanchez-Aguilera)はそう説明する。

概念図(記事原文を参照のこと)
・Normal hematopoiesis:正常な造血
・tamoxifen:タモキシフェン
・proliferation:増殖
・self-renewal:自己複製
・apoptosis:アポトーシス
・myeloproliferative neoplasms:骨髄増殖性腫瘍
・survival:生存
・acute myeloid leukemia:急性骨髄性白血病
・quiescent, chemoresistant LSC:静止状態にある化学療法抵抗性のLSC
・standard chemotherapy:標準化学療法

研究の結果、マウスが健康か病気かによってタモキシフェンの影響はかなり違うことが分かった。健康なマウスに投与したところ、タモキシフェンは多能性前駆細胞の細胞死を誘発したが、幹細胞が分裂を加速するとともに部分的にその機能を失った。しかし病気のマウスに投与すると、症状が消失し、病気の進行は阻止された。手っ取り早く言えば、有効な治療法ということだ。

良い点はこれだけではない。驚いたことに、残りの血液細胞にはこれら影響による明確な変化がほとんど起こらず、タモキシフェンの長期投与後でも正常レベルが維持されており、明らかな毒性は認められなかった。エストロゲンの働きをブロックする乳がん治療の場合とは異なり、血液細胞においてはタモキシフェンがエストロゲンの働きをまねて作用することを研究チームは明らかにした。

真性多血症のような骨髄増殖性腫瘍はまれな腫瘍ではなく、造血幹細胞のタンパク質・JAK2の遺伝子変異によって引き起こされる。こうした病気は現在、骨髄移植のほかに有効な治療法がなく、その骨髄移植も可能なのはごく一部の患者だけだ。病気になると異常な血液細胞が蓄積し、骨髄が変性していくが、マウスへのタモキシフェン投与ではそのどちらも阻止されている。病気の根本原因とされる異常な幹細胞を除去できるのがこの治療法であり、JAK2阻害薬など現在の治療法にはできないことである。

今回の研究から、変化して過剰に血液細胞を作るようになり、腫瘍といわれる病態を来す血液幹細胞は女性ホルモンで殺せると考えられる。この知見によって、こうした病気と、関連のあるがんが女性より男性に多い理由を説明できるかもしれない。乳がん治療で承認を取得しており、その化学構造が女性ホルモンに似ているタモキシフェンによって、雌雄マウスの血液腫瘍の発生は阻止できる。

メンデス‐フェレール博士は、「まだ正確には理由が分からないのですが、タモキシフェンは正常細胞よりも白血病細胞に強く作用するため、正常な血液細胞に大きな二次的影響が出ることなく病気を抑え込めると考えられます」と指摘する。

この研究の注目すべきことの1つが、比較的短期で臨床に応用できる可能性だ。「タモキシフェンはすでに臨床での使用が認められていて安全性プロファイルにも問題がないという事実は、今回の結果が臨床試験へとつながり、骨髄増殖性腫瘍の患者を対象にこの有望な治療法を調べられる可能性を大いに高めています」と、サンチェス‐アギレラ博士は話を結んでいる。


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