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2010-08-10
ソース原文(オリジナル):サイエンスデイリー
亜鉛の量が十分であれば、高齢者の肺炎が軽減されることが試験により明らかに
サイエンスデイリー(Science Daily)(2010年8月10日)―アグリカルチュラル・リサーチ・サービス(Agricultural Research Service)(ARS)と国立老化研究所(National Institute of Aging)が資金提供した観察研究において、介護施設入居者の高い割合で、試験期間中に血清(血中)亜鉛の低濃度がみられたことが明らかになった。科学者らは、血中亜鉛濃度が正常な群はその濃度が低い群と比較して、肺炎を発症する可能性が約50%低いことを明らかにした。
この研究は、シミン・ニクビン・メイダニ氏(Simin Nikbin Meydani)が主導した。同氏は、マサチューセッツ州ボストンにあるタフツ大学のジーン・マイヤーUSDA老化に関する人間栄養研究センターで、栄養免疫学研究所長を務めている(director of the Nutritional Immunology Laboratory at the Jean Mayer USDA Human Nutrition Research Center on Aging (HNRCA)at Tufts University in Boston, Mass)。ARSは、USDA内の主要な科学研究機関である。
HNRCAの研究者らは、ボストン地域の介護施設33か所における高齢の入居者約600例を対象として、免疫反応や呼吸器感染症の研究を行ってきた。以前、メイダニ氏と同僚らは施設入居者において、1年間毎日ビタミンEを200国際単位(IU)摂取した群はプラセボ群と比較して、風邪などの上気道感染症にかかる可能性が20%低いことを報告した。
その同じ臨床試験から得られたデータを二次解析したところ、入居者の高い割合で、ベースライン時と1年間の調査期間終了後に血清(血中)亜鉛の低濃度がみられたことが明らかになった。試験期間中はすべての被験者が、推奨栄養所要量の半分量となる必須ビタミンと亜鉛などミネラルの補給を受けていた。
亜鉛濃度が正常な群は、その濃度が低い群と比較して肺炎発症の可能性が低いだけでなく、抗菌薬の新たな処方も少なく、肺炎の罹患期間も短く、抗菌薬の使用日数も少なかった。さらに、十分な血中亜鉛濃度を保っていた群のほうが死亡率は低かった。
この研究結果から、亜鉛不足の高齢者に亜鉛を補給することで、肺炎のリスクが減少する可能性があると考えられる。それでもなお、すでに亜鉛濃度が低く肺炎になりやすい集団を対象に、肺炎による死亡率を低下させるための費用のかからない予防法として、亜鉛補給の有効性を検討する比較臨床試験が必要であると著者らは述べている。
この研究結果は、アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ ニュートリション誌(American Journal of Clinical Nutrition)に掲載された。