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2014-07-03
ソース(記事原文):メドスケープ
アセタゾラミドと低カロリー食が頭蓋内圧亢進症に有用
メドスケープ(2014年7月3日) ― ポーリン・アンダーソン(Pauline Anderson)著
ロサンゼルス ― アセタゾラミド治療を受けながら減量食を摂る特発性頭蓋内圧亢進症患者は、視野機能、うっ血乳頭の重症度、QOL(生活の質)、脳脊髄液圧に有意な改善がみられ、忍容性も良好であることが、新たな多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果で示された。
主著者で、ダラスにあるテキサス大学サウスウェスタン医療センター(University of Texas Southwestern Medical Center)神経学・眼科学教授のデボラ・フリードマン(Deborah I.Friedman)博士は、この治療法を行った患者は6ヵ月間で平均7.5 kg体重減少したが、薬剤効果は体重減少量とは独立したものであったとしている。
なお、頭痛に関しては有意な軽減はみられなかった。
フリードマン氏は「軽度視力低下を伴う特発性頭蓋内圧亢進症患者の治療法として、アセタゾラミドを最大耐用量(最高4 g/日)に、食事療法を併用することを推奨する」と述べている。
この結果は米国頭痛学会(American Headache Society:AHS)第56回年次総会で発表された。
視力低下
特発性頭蓋内圧亢進症はうっ血乳頭を特徴とし、視力低下を生じることが多い。特発性頭蓋内圧亢進症患者の約80%は、永続的な視野障害の一種を呈し、5%は失明する。
本試験は165人を対象としており、4人以外は全員女性、平均29.2歳であった。被験者の約88%は肥満で、平均BMI(肥満度指数)は39.9 kg/m2であった。
全被験者は、特発性頭蓋内圧亢進症と新規診断されており、改訂ダンディ基準(Dandy criteria)を満たしていた。ダンディ基準とは、うっ血乳頭に加えて、頭蓋内圧亢進(ICP)の徴候・症状、正常レベルの覚醒度(頭蓋内圧亢進である以外)、正常な神経診断(頭蓋内圧上昇である以外)のほか、頭蓋内圧亢進を招く他の原因がないことである。
また、被験者は軽度の視野欠損(周辺視野の平均偏差[PMD]値が悪い方の眼で-2 dB ~ -7 dB[デシベル])を呈する者とした。PMDは世界的に用いられる視力低下の指標であり、数値が0に近いほど視力が良く、マイナスが大きいほど視力が悪いことを示す。
患者をプラセボとアセタゾラミドのいずれかを投与する群に無作為に割り付け、アセタゾラミド開始量を1 g/日とし、最高4 g/日になるまで6日ごとに徐々に増量した。試験期間中の平均投与量は2.5 g/日であった(プラセボは平均3.5 g/日)。
全患者に低ナトリウムの減量食を摂るよう指示した。
食事の役割
フリードマン氏によれば、特発性頭蓋内圧亢進症における食事の役割は、超低カロリー食によるうっ血乳頭の消失が報告された40年前から知られているが、「残念ながら当時は視覚検査が行われなかった」という。この研究に加え、もう1件、低カロリー食が脳脊髄液圧を減少させることを明らかにした研究報告を除いて、食事とアセタゾラミドについて検討した報告書のほとんどが「症例報告的(すなわち単なる実験医療)」である、と同氏は述べている。
長きにわたり特発性頭蓋内圧亢進症の治療薬としてアセタゾラミドが使用されてきたが、その有効性の証拠は不十分である。コクランレビュー(2005年と再度2009年)によれば、既存の研究から「食事またはアセタゾラミドにおける相対利益や絶対利益を定量することはできないので、こうした情報を提供する大規模試験が切実に必要とされる」という。
今回の新規試験の主要課題は、6ヵ月間の治療における視野機能の改善において、アセタゾラミドおよび食事の方が、プラセボおよび食事よりも優れているかどうかである。副次的評価項目は、視神経乳頭浮腫、QOL(生活の質)、脳脊髄液圧における変化とした。
主要評価項目(悪い方の患眼におけるPMD変化)において統計学的な有意差(P = 0.05)が認められ、アセタゾラミドの方がプラセボよりも優れていることが、本試験で示された。PMDのスコア増加における群間差は0.71 dBであった。
事前に定めた臨床効果1.3 dBには到達しなかった、とフリードマン氏は述べている。
ただし、より重篤なうっ血乳頭を呈する患者において治療効果が一層高いように思われた。試験登録時に最も多かった重症度は比較的軽度のグレード2であったが、試験開始前にグレード3~5であった被験者を検討したところ、効果量が非常に大きかった(2.27 dB、P < 0.001)。
「アセタゾラミドは、より重篤なうっ血乳頭を呈する患者において一層優れた効果をもたらす可能性がある」とフリードマン氏はコメントしている。
被験者における目標体重減少量は6%であったが、この体重減少量がうっ血乳頭を改善しうることを示した先行研究に基づくものである。体重減少量は、アセタゾラミド投与患者(平均 -7.50 kg)の方が、プラセボ投与患者(平均 -3.45 kg)よりも大きかった(治療効果 -4.05 kg、95%信頼区間[CI]: -6.27 ~ -1.83 kg、P < 0.001)。
さらなる解析で、アセタゾラミドの効果が体重減少量とは無関係であることが分かった、と同氏は述べている。
全般的QOLと視野関連QOLは、両群とも改善したが、アセタゾラミド群で一層の改善がみられた。同氏は「診療現場で見たアセタゾラミドの全副作用を踏まえると、これは少し意外であった」としている。
本試験における重篤有害事象は、アセタゾラミド群の方がプラセボ群よりも多かった(それぞれ9例と3例)。また、アセタゾラミド群では腎結石2例、高トランスアミナーゼ血症1例、膵炎1例がみられたほか、憩室炎、アレルギー反応、吐き気、嘔吐、下痢、耳鳴などの有害事象も認められた。
かなりの数の患者(19%)が試験から離脱し、その数は両群で同程度であった。7例の治療不成功例のうち、6例はプラセボ群の患者であった。
頭痛に効果なし
頭痛による日常生活への影響HIT-6(Headache Impact Test)検査のスコアに差は認められなかった。フリードマン氏によれば、これは当然のことで、同患者では特発性頭蓋内圧亢進症が「治療および消失」後も、頭痛が引き続き起こるからである。
「したがって、特発性頭蓋内圧亢進症患者を治療する際、おそらく頭痛はアセタゾラミドでは十分な効果を得られないため、別に治療する必要がある」
カリフォルニア州パロアルトのスタンフォード頭痛センター(Stanford Headache Center)麻酔科助教で、講演セッション組織委員の一人であるメレディス・バラド(Meredith Barad)博士は、特発性頭蓋内圧亢進症患者において、アセタゾラミドの代わりにトピラマートを使用できるのか否かという疑問を呈した。
フリードマン氏は「アセタゾラミドの作用機序は分かっていないが、炭酸脱水酵素阻害に関連しているとすれば、こうした性質がトピラマートにないことは確かである」としている。「個人的には、頭痛にトピラマートを用い、 特発性頭蓋内圧亢進症にアセタゾラミドを使用するよう推奨する。私は2剤を併用している」
患者の約50%において脳脊髄液圧を測定した。脳脊髄液圧の減少幅はアセタゾラミド群の方が大きいことが本試験で示された(効果量 -59.9 mm H2O、95%信頼区間: -96.4 ~ -23.4 mm H2O、P = 0.002)。
また、本研究者らはナトリウム値、塩素イオン値、カリウム値をはじめとする相当数の検査値を取得した。特発性頭蓋内圧亢進症患者は、再生不良性貧血または低カリウム血症を発症しうることが懸念されるが、「このような発症例は今回認められなかった」とフリードマン氏は述べている。
同氏は、今回の結果が、視野がPMD値で-2dB~-7dBの範囲内よりも重度(もしくは軽度)の患者には当てはまらない可能性のあることを認めている。より重篤な視野欠損を患っている患者は一般に手術に回されるが、そのような症例を「次回の試験」テーマとしている、 と同氏は述べている。
オハイオ州のシンシナティ大学(of Cincinnati)頭痛・顔面痛プログラムの責任者の一人であるビンセント・マーティン(Vincent Martin)博士が、このような継続困難な食事を患者はどのようにして遵守できたのかと質問すると、フリードマン氏は週1回電話で体重減少を指導する担当者を全患者に付けたと答えた。また、患者同士が相談したり、進捗状況について話し合ったりできるインターネット上のページを開設した。
同氏は「患者の体重減少量に誰もが驚かされたと思う」としている。「何をやっても体重を減らせないと言う患者が多いが、実は減らせるということが明らかである」
本研究者らに金銭的利害関係はない。
米国頭痛学会(AHS)第56回年次総会 2014年6月28日土曜日発表
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