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2014-06-24

ソース(記事原文):インディペンデント

イブプロフェンが早期老化および死亡を予防する可能性 - 研究報告

インディペンデント(2014年6月24日) ― 最も広範に使用されている鎮痛剤の一つが、炎症を抑え、早期老化と死亡を予防する可能性のあることが、新たな研究で示唆された。

免疫系の過剰な活性化・老化促進・関連疾患に起因する慢性炎症と、寿命短縮との間に強い生物学的関連性のあることを、研究者らが明らかにした。

また、こうした毒性作用に効く安価でシンプルな解毒薬となる一般用医薬品イブプロフェン(鎮痛剤)を見つけ出した。

この薬剤は、頭痛、筋痛、捻挫、インフルエンザ症状の治療薬として毎日、数百万人に服用されている。また、本剤は早期老化するよう遺伝子改変した炎症マウスを「救済」した。

一連の実験で、研究者らはイブプロフェンが動物の炎症を抑制するだけでなく、老化速度を正常レベルに回復させることを見出した。

本剤は軽度の慢性炎症の徴候を示すヒトでも同じように作用し、老化に対する防御効果がある、と研究者らは考えている。

研究チームは現在、他の研究者らの発表データを検討し、パーキンソン病などの加齢関連疾患患者集団における炎症マーカーを探索しており、今後の臨床試験に備えている。

主任研究者で、ニューカッスル大学(University of Newcastle)の老化健康研究所(Institute for Ageing and Health)のトマス・ヴォン・ズグリニキ(Thomas von Zglinicki)教授は「人によって老化速度は異なり、他者よりもずっと老化が速い人もいる」としている。

老化の速さは慢性炎症マーカー活性化に関連することが多いのは既に知られている。こうした結果を加味し、老化加速の潜在的促進因子としての炎症に関してだけでなく、どのようにして老化を遅延できるのかについても、入念に考察できる。

「抗炎症薬は副作用を伴うので、誰でも抗炎症薬を毎日服用してよいとは考えていない。ただし、慢性炎症の状態を検査してみて、炎症亢進がみられる場合、抗炎症薬の使用に適すると考えられる」

実験においてイブプロフェンは老化速度の速いマウスにおいてのみ有益であったことを、同氏は強調している。正常範囲内の炎症および老化を呈する野生型マウスに本剤を投与しても効果はなかった。

普通の老化に対するアンチエイジング効力を持つ"不老の泉"となる万能薬と勘違いしないよう同氏は注意を促した。

老化が炎症に伴って起こることは昔から知られていたが、炎症が老化過程に積極的役割を果たすのかどうかは明らかにされていない。

今回の新規研究は、オンライン科学雑誌「ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)」に報告されたもので、慢性炎症が無害な存在とは無縁のものであることを裏付けている。

本試験で使用する「ノックアウト」マウスは、本来なら炎症反応を低く抑える働きをする遺伝子を欠損させ、それ以外は健常なものとした。

野生型マウスと同じ食事および生活環境を与えると、ノックアウトマウスは2倍の速さで老化した。人間でも同様のことが認められ、若年性脱毛症、白髪発症、体重減少、神経筋共応性障害、心臓病を生じた。

また、ぼさぼさの毛や、毛づくろいの激減などで外見が見劣りしたほか、平均寿命および最長寿命は短縮した。

決定的なのは、肝臓および腸の正常な自己再生能が失われたことである。

ヴォン・ズグリニキ氏は「こうした影響は抗炎症薬で改善する可能性がある」と述べている。「基本的に、ノックアウトマウスはイブプロフェン投与で正常な状態に戻った」

実験で、治療後ノックアウトマウスにおいて、肝臓を一部摘出後、肝臓の再生が認められた。

炎症と老化を結び付ける原因となるのは、酸素フリーラジカルと呼ばれる破壊的な反応分子の遊離であり、染色体上の保護キャップの役割を果たすDNAおよびテロメアが損傷したことによる。

テロメアの損失は、細胞増殖・正常細胞機能の停止につながり、老化の一因と考えられる。老化が進むと、フリーラジカルの産生量も一層増え、悪循環となる。

本研究者らによれば、老化細胞の蓄積は、イブプロフェンなどの抗炎症薬と抗酸化剤で阻止できた。

ヴォン・ズグリニキ教授の共同研究者の一人である ダイアナ・ジャーク(Diana Jurk)氏は「本試験における最も重要な成果は、シンプルで安価な抗炎症薬イブプロフェンが、細胞老化の進行を止め、組織再生能を回復させる可能性があるということである」と述べている。

同氏らは現在、ヒト(患者)に目を向け、老化促進の影響を受けているとみられるパーキンソン病患者約200人からなる1グループを対象に検討している。

ヴォン・ズグリニキ氏は「介入試験を考えているが、その前に炎症マーカーの高い患者を特定する必要がある」としている。

特定の希少遺伝病では老化過程が大幅に速まるが、その老化速度は個人差が大きい。

「生物学的老化が速いほど、加齢に伴う疾患(心疾患や各種の癌)につながる」

「通常の寿命範囲内の人の場合でも、個人差は大きい」と同氏は述べている。

「60歳で亡くなる人もいれば、70歳代で死亡する人もいる一方で、100歳まで生き延びる人もいる。若年期に死亡する人の大半は心血管疾患を発症している」

同氏は「老化の速さと炎症の関連性を示す確かな疫学的証拠が存在する」と補足した。


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