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2011-09-01
ソース(記事原文):インターナルメディスンニュース
ウルソジオールとメトトレキサートの併用は長期にわたり胆汁性肝硬変に有効
インターナルメディスンニュース(2011年9月1日)―インターナルメディスンニュース・デジタルネットワーク(Internal Medicine News Digital Network)、デニス・ナポリ(DENISE NAPOLI)著
原発性胆汁性肝硬変に対するウルソジオールとメトトレキサート、またはウルソジオールとコルヒチンの併用療法は長期にわたり有効性を示し、20年間持続したことが明らかにされた。ジョン・リョン博士(Dr. John Leung)と同僚らが執筆したこの研究論文は、クリニカル・ガストロエンテロロジー・アンド・ヘパトロジー(Clinical Gastroenterology and Hepatology)9月号に掲載されている(doi:10.1016/j.cgh.2011.05.010)。
ボストンにあるタフツ医療センター(Tufts Medical Center)消化器部門のリョン博士と同僚らは、原発性胆汁性肝硬変の患者29例について検討を行った。この病気は、自己免疫が原因と考えられている慢性進行性の肝疾患である。患者らはもともと、85例を対象とした前向き二重盲検無作為化比較試験の被験者であった。1988年から登録を開始し、2000年に終了したその試験ではコルヒチンとメトトレキサートの比較検討が行われ、試験開始から3年後、ウルソジオール(ウルソデオキシコール酸)が各治療法に追加された。
今回の研究の調査対象となった患者らは、最初の試験の10年という追跡期間を最後までやり遂げていた。試験終了時に「無作為化に関わる規定を解除し、治療法に対する臨床反応、本人の希望、また療法に対する忍容性に基づいて、これら29例の患者に治療を施した。」
その後さらに9~13年間、タフツ医療センターにおいて(21例)、あるいは委託医師との電話やEメールによる連絡を通じて患者を追跡した。
患者は1例を除く全員が女性であり、最初の10年間無作為化比較試験(RCT)が終了した時点での平均年齢は59歳であった。
博士らによると、20年間追跡した患者29例のうち「21例は健在である。そのうち19例は肝機能検査値が正常であり、門脈圧亢進症の徴候は認められない。」
そして、治療法ごとに患者の転帰について分析した。メトトレキサートとウルソジオールによる治療を受けた11例のうち、「2例は肝疾患と関係のない原因により79歳と70歳で死亡し、9例は健在である。」と博士らは報告している。この9例全員の血清中のアラニントランスアミナーゼ(ALT)値、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)値、アルカリホスファターゼ値、ビリルビン値は正常である。
さらに、アルブミンについては8例で正常値のままであった。ただし、残り1例は20年前に最初の試験に参加した時点でステージIIIの肝硬変であり、現在ではアルブミン値が3.3 g/dLとわずかに低く、門脈圧亢進症とグレード2の非出血性静脈瘤が認められる。しかしながらこの患者は無症候のまま経過している。また、この治療法を受けた別の1例もグレード2の食道静脈瘤を発現し、同様に非出血性であった。
コルヒチンとウルソジオール併用群の患者は18例であり、追跡調査終了時には12例が健在であった、とリョン博士ら研究者は報告した。また、残り6例のうち「3例は肝臓と関係のない原因により、それぞれ73歳、76歳、76歳で死亡した。」と述べている。「彼らは生化学的検査については正常であり、最初の試験の終了時に2例で小さい食道静脈瘤が認められた。」
あとの3例のうち、2例は最初の試験終了時に肝酵素値が上昇しており、肝移植を受けた。1例は静脈瘤を発現したものの、移植対象者ではなく、肺炎により死亡した。
全体として、研究者らは追跡調査の終了時点で治療関連の有害事象は認められなかったと報告している。
「今回の研究結果は、診断時には組織学的に進行した肝硬変であった数例を含む原発性胆汁性肝硬変患者のサブセットにおいて、[ウルソジオール]とコルヒチンまたは[メトトレキサート]併用療法は、長期にわたり有効性を示し、この病気の自然経過を改善するというさらなる証拠を提供している。」と博士らは結論付けている。
また研究者らは、効果が併用療法によるものなのか、それぞれの薬剤単独によるものなのか判定するのは不可能であると認めている一方、「肝機能はさらに10年間正常のままであったこと、また門脈圧亢進症が発現したのはごく少数の患者であったという観察結果から、併用療法は有効であったと考えられる。」
リョン博士と同僚らは、今回の研究について外部からの資金提供はなかったこと、また利益相反のある者はいないことを明らかにしている。
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