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2011-09-01
ソース(記事原文):サイエンスネットワーク
ご一緒に乳癌を過去のものにしませんか?
サイエンスネットワーク(2011年9月1日)―ローラ・グリトソス(Laura Glitsos)著
国際乳癌介入試験(International Breast Cancer Intervention Study:IBIS-II)を実施する研究者らは、乳癌を予防するのに極めて有用となりうる試験への参加を女性に呼びかけている。
世界各地で8,000人の女性の登録を要する試験で、12月の登録締め切り前の最終呼びかけである、とIBIS-II試験の主任研究者で西オーストラリア大学(UWA)ウィンスロップ校のクリストベル・サーンダーズ(Christobel Saunders)教授は述べている。
同氏は「UWAは本研究の登録募集数が世界で3番目に多く、既にたくさんの登録者を得ているが、もっと多くの人の参加を必要としている」という。
本試験は、乳癌リスクの高い女性を対象に、乳癌の発症を予防するアナストロゾールの有効性を検討することを目的としたものである。今回の試験は、タモキシフェンの使用について同じ適応症に対し検討したIBIS-I試験の継続試験である。
タモキシフェンはある程度有望であることが示されたが、一連の新アロマターゼ阻害薬(アナストロゾールを含む)のほうが、副作用プロファイルがより優れているとともに、リスク低下の見込みが大きい可能性がある、と研究者らは感じているという。
例えば、タモキシフェンの副作用には子宮癌や血餅などが挙げられる一方、アナストロゾールの副作用には、ほてりと腟乾燥や、骨粗鬆症のリスク増加が挙げられる可能性がある。
また、アロマターゼ阻害薬は、タモキシフェンとは全く違う方法で作用する。タモキシフェンは体内を循環しているエストロゲンの細胞受容体を遮断することによって作用する一方、アナストロゾールのようなアロマターゼ阻害薬はアロマターゼの酵素を遮断することにより、エストロゲンの産生を初期に遮断する。
エストロゲンは癌の原因ではないものの、癌細胞にエストロゲン受容体が存在することから、エストロゲンが癌細胞の増殖を促すことがある。
予防的場面でこのプロセスがどのように作用するのかは研究者らにもはっきり分かっていないが、おそらく「ほんの1個か2個の癌細胞が『近くに浮遊している』場合、同剤がその増殖を阻止できうる」のではないかと考えられる、とサーンダーズ教授は述べている。
「ただし、全く別のメカニズムである可能性もある」
アナストロゾールを乳癌の直接的治療に用いると、対側の乳癌発症の確率が低下するように思われたことから、本研究が実現した。
サーンダーズ教授は「予防的化学療法として優れた薬剤になりうるという確信へ自然と導かれた」としている。
また、同剤を中止してから随分経った後でも、予防的効果があるのではないかと研究者らは考えている、と同氏は述べている。
参加基準は、40歳~70歳の閉経後女性で、家族歴や、細胞診で認められた良性病変などの高いリスク因子を有する患者となる。
本試験では、毎日錠剤を5年間服用することと、試験開始時に骨の健康検査を受けることが必要となる。
試験参加者8,000人のうち、半数に実薬を投与し、残りの半数にプラセボを投与する。その後、この2群を比較する。
「癌予防の全く新しい時代の到来である」
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