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2012-10-31
ソース(記事原文):メドページ・トゥデイ
効果的で安全なアタマジラミ用ローション
メドページ・トゥデイ(2012年10月31日)― 局所イベルメクチン(スクライス)を単回、10分間塗布すると、シラミ用梳き櫛を用いずにアタマジラミを殺すのに有効かつ安全であったことを、製薬会社の資金援助による2件の第III相試験が示した。
ニュージャージー州ウエストフィールド(Westfield, N.J.)のライアン・ミッチェル・アソシエイツ(Ryan Mitchell Associates)のウィリアム・ライアン(獣医学士)(William Ryan, BVSc)と同僚らによると、両試験で、イベルメクチンローションは非アクティブの対照薬と比較して、治療1日後、1週間後、2週間後にシラミが消失した患者比率がより高かった(それぞれ94.9%対31.3%、85.2%対20.8%、73.8%対17.6%)。
研究者らは、各時点の差異は統計的に有意であった(すべてP<0.001)とニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン(New England Journal of Medicine)11月1日号で報告した。
イベルメクチンは2月にFDAから承認を受けたが、対照ローションとの有害事象の発生頻度及び重症度は同等であった。
「ここで報告した2つの研究結果は、ペルメトリンやピレトリンが効かなかった場合や、シラミ用梳き櫛使用の必要性を減らし単回塗布で成功の確率を高めたい場合、イベルメクチンが治療選択肢であることを示している」とライアンと同僚らは書いている。
付随する論説で、クレテイユ(Creteil)の仏国立保健医学研究所(French National Institute of Health and Medical Research、INSERM)臨床調査センター(Clinical Investigation Center)の医師であるオリビエ・チョーシドゥ(Olivier Chosidow)博士と、パリのINSERMのブルーノ・ジラウドゥー(Bruno Giraudeau)博士は、「局所製剤は当然ながら歓迎され、全身の有害事象のリスクが少ないことが期待される」と述べた。
しかしながら博士らは、特にオンコセルカ症の治療のためにイベルメクチンに頼っている世界の一部地域において、耐性寄生虫の発現への懸念を挙げ、イベルメクチンローションはアタマジラミ治療の第一選択薬であってはならないと付け加えた。
「適切な効果比較研究がまだ不足しているので、間接的な比較によってであるが、第一選択薬として1%ペルメトリンやピレトリン殺虫剤を使用するという2010年米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)の提言が支持されている」と博士らは書いている。
「コミュニティ内で抵抗性が確認されていたり、治療終了後の1日目に生きているシラミが存在していた場合、マラチオンへの切り替えが必要な場合がある。他の選択肢としては、その国の薬剤の入手性に応じて、ジメチコン等の局所薬でウェット・コーミングや治療をすることが挙げられる」と博士らは続けた。「虫卵の除去は有用である」
「(感染が続いている患者に向けた)局所薬であれ、(特に集団治療に向けた)経口薬であれ、イベルメクチンは最後の選択肢とするべきである」と博士らは書いている。「家庭や学校でのアタマジラミの発生の有無を、より頻繁に確認することも管理項目に含めるべきである」
研究者らによれば、第一選択薬のペルメトリンやピレトリンを含むアタマジラミ(学名Pediculus humanus capitis)の確立された治療への耐性発現は、新規治療の必要性を浮き彫りにする問題となっている。
経口投与イベルメクチンは線虫感染症の治療薬だが、その作用機序によりアタマジラミにも使用されてきた。イベルメクチンは、神経伝達を遮断することにより麻痺や死を引き起こす寄生虫のグルタミン酸依存性及びガンマアミノ酪酸依存性塩化物イオンチャネルを標的とする。
ライアンと同僚らによると、以前の研究で、マラチオンに少なくとも部分的に耐性を持つアタマジラミを経口イベルメクチンが駆除したことを示したが、局所製剤は全身投薬の必要性をなくし、全身の有害事象の可能性を阻止するであろう。
2件の第III相無作為化二重盲検試験では、研究者らは生後6ヶ月以上の患者を対象に、シラミ用梳き櫛を用いずに、アタマジラミ駆除のための0.5%イベルメクチンローションの単回塗布を評価した。研究者らはそのローションと、イベルメクチンを含まない基剤対照とを比較した。ローションは双方とも、1日目に乾いた髪に塗布し、10分間放置した後、水で漱いだ。
研究者らはアタマジラミ感染の指標患者を同定し、生きたシラミが3匹以上認められる家庭内での最年少患者と定義した。そして、研究者らは生きたシラミが1匹以上認められる他の世帯員全員を試験に登録した。
765人が試験を完了したが、指標患者はイベルメクチン群が141人、対照群は148人であった。参加者は全員、他の治療法を使用せず、シラミ用梳き櫛も用いず、毛髪を切ったり化学的な処理をしないことに合意した。
イベルメクチンは、指標患者及び感染した世帯員全員を含んだより広い調査対象母集団の、主要エンドポイントである塗布後1日目、7日目、及び14日目にシラミが消失した患者の有意に高い割合と関連していた。
治療後1日目でシラミが消失した患者の割合(94.9%)、は、経口イベルメクチンの以前の調査で見られた割合と同等であり(92.4%)、マラチオンで見られた割合(82.4%)よりも高かった。
著者らは「塗布の時点から時間が経つにつれてシラミに感染した患者の割合が増加するのは、他のシラミ駆除活動の評価時にもみられるが、多くの要因に起因する可能性がある 」と指摘した。そのような要因としては、製品の塗布が不適切、イベルメクチンをシラミの卵に十分さらさず、その結果卵が孵化して生存能力のある幼虫が産まれた、患者が家庭内又は外でアタマジラミにさらされ続けて再感染した、などがある。
有害事象の発生頻度と重症度は2群間同等であった。重篤な有害事象が1例のみ報告されたが(対照群での四肢の痛み)、重篤な有害事象はなかった。
最も多く報告された有害事象は、掻痒(研究参加者の68.2%に見られたベースライン知見)皮膚の擦りむき、紅斑であった。イベルメクチン群の参加者は、ベースラインから2日目に、掻痒スコアに有意により高い平均減少が見られた(P <0.001)。
本研究は、試験薬を提供し、その後サノフィパスツール(Sanofi Pasteur)に買収されたトパズ・ファーマシューティカルズ(Topaz Pharmaceuticals)が支援した。
ライアンは、トパズ・ファーマシューティカルズの元従業員であり、トパズ・ファーマシューティカルズからコンサルティング料や株式又はストックオプションを受け取り、サノフィパスツールからコンサルティング料や原稿作成に対する支払を受け取ったと報告した。ライアンの共同執筆者の一人は、トパズ・ファーマシューティカルズ及びサノフィパスツールからコンサルティング料を受け取ったと報告した。
アクション・ポイント
・製薬会社の資金援助による局所イベルメクチンの研究で、シラミを除去せずに単回塗後、1、7、及び14日目に基剤対照よりも効果的であったことを説明。
・付随する論説が、特に他の寄生虫感染症にイベルメクチンを頻繁に使用している世界の一部地域で、イベルメクチンの乱用と耐性寄生虫の淘汰に懸念を表明したことに注意。
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