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2013-03-20
ソース(記事原文):ナチュラル・スタンダード
多発性硬化症患者の酸化ストレスがメラトニンで軽減する可能性
ナチュラル・スタンダード(2013年3月)― ある研究報告によれば、二次進行型多発性硬化症(SPMS)の患者にメラトニンを補給することで、酸化ストレスによるダメージが減るかもしれません。
多発性硬化症(MS)は、脳や脊髄の神経線維が侵されていく慢性疾患です。この病気は一般に、自己免疫疾患であると考えられています。自己免疫疾患になると、免疫系が自分の体の構成要素を異物とみなして攻撃してしまいます。MSの後期によくみられるのがSPMSで、このタイプでは時間の経過とともに症状が悪化します。その原因は、MSの初期に障害された神経線維が消失していくためと考えられています。
酸化ストレスは過剰なフリーラジカルを特徴とし、細胞環境を不安定なものにしかねません。この酸化ストレスは、組織障害、老化の加速、変性疾患と関係しています。アルコールの摂取、薬の服用、栄養不良、外傷などによって酸化ストレスが生じます。
先行研究で、メラトニンには脳の保護作用がある可能性が示されています。そこでポーランドの研究者らは、今回の研究で、メラトニンはSPMS患者の酸化ストレスを軽減できるのか確認することにしました。
研究チームはSPMSの患者16名を試験に採用して、30日間、彼らにメラトニン10 mgを連日投与しました。対照群には、年齢がマッチする健康な人を13名採用しました。研究者らは、マロンジアルデヒド(MDA:酸化ストレスマーカーとなる化合物)が原因で生じる細胞障害を調べました。また、抗酸化作用を持つことで知られる酵素の活性も調べました。
結果から、メラトニンの補給によって、SPMS患者の赤血球では抗酸化酵素が有意に増加したことが分かりました。またメラトニン補給によってMDA濃度が有意に低下し、これは酸化ストレスが軽減されたことを示唆しています。
この研究者らは、進行性MS患者の酸化ストレス軽減にはメラトニン補給が有用かもしれないと結論付けています。
メラトニンは、脳内で松果体によって作られるホルモンです。メラトニンの合成・放出は暗闇で促進されて光で抑制されることから、概日リズムや体のさまざまな機能の調節にメラトニンが関与すると考えられています。メラトニンの血中濃度が最も高くなるのは、就寝前です。化学合成のメラトニンサプリメントが、さまざまな病気(特に睡眠関連の障害)のために使われています。
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