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2010-04-05

ソース(記事原文):サイエンスデイリー

早産と脳損傷:炎症が原因か

サイエンスデイリー(2010年4月5日)
早産で子供を出産する際に未熟児に何が起こり、脳損傷がどの様にして起こるのか。この謎の答えに研究者は近づいた。羊水内及び胎児の脳内の炎症と脳損傷に何らかの関係があることが、新たな研究により判明した、とサールグレンスカ・アカデミー(Sahlgrenska Academy)の論文は述べている。

細菌による羊水内、又は胎盤の炎症が、早産を引き起こす一つの要因である可能性がある。この炎症が、予定日よりもはるかに早い出産を引き起こすのである。今回の研究において研究者は、予定よりも早く破水した、又は分娩が始まった83人の女性の羊水、そして予定日に帝王切開により出産することを選んだ15人の女性の羊水中に存在する炎症を引き起こす様々な要素(マーカーと呼ばれる)を観察した。

「早産の恐れがあり、胎盤又は羊水内細菌感染の兆しのある女性の羊水内のガレクチン‐3値が通常よりも高いことを我々は発見したのである」とクリスティーナ・ドバーハグ氏は述べている。ドバーハグ氏はサールグレンスカ・アカデミー(Sahlgrenska Academy)生理学部にて学ぶ大学院生である。「今までに羊水内のガレクチン‐3値が測定されたことはない」

研究者は、未熟児、又は分娩時に酸欠に陥った子供の脳の損傷におけるフリーラジカルの働きについても調べた。フリーラジカルは細胞を破壊する分子であり、炎症が起こると最初に発生する。

「我々は、生まれたばかりのマウスにみられる2つの炎症マーカーを研究した。ガレクチン‐3とNADPHオキシダーゼという酵素である。我々の動物実験では、ガレクチン‐3が脳損傷の悪化、特に生まれたばかりの雄のマウスの脳損傷を悪化させることが分かった。別の動物実験でNADPHオキシダーゼを取り除いたところ、脳損傷と炎症の度合いがより深刻なマウスがみられた」とドバーハグ氏は述べた。彼女は、炎症とガレクチン‐3が新生児にみられる脳損傷の大きな要因であると結論付けている。

これが意味するのは、現在開発中の成人用の脳卒中及び脳損傷治療薬は、フリーラジカルとNADPHオキシダーゼの放出を部分的に阻害するものであるため、同じ症状を持つ新生児の治療には不適切である、ということである。この治療薬は、実際に脳の更なる損傷を招く危険性があるのである。

「一方で、ガレクチンー3を阻害する、良く知られた物質がある。その物質に関しては、新生児の脳損傷治療に役立てられるよう、更なる試験が近々行われる予定だ」とドバーハグ氏は述べている。「その物質とはラクトースである。乳糖とも呼ばれている」

しかし、確固たる治療薬の開発には、新生児の脳損傷に関する更なる研究が必要である。「羊水に含まれる成分、その成分と早産の関連性、そして胎児の性別が羊水に及ぼす影響についてもっとよく調べる必要がある」とドバーハグ氏は述べている。