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2013-07-01
ソース(記事原文):ニュース・メディカル
統合失調症に対する新たな治療選択肢を発見
ニュース・メディカル(2013年7月1日)― 極めて大量のファモチジン(200mg/日)を投与することにより、血液脳関門に十分な量の薬剤を浸透させられ、脳内ヒスタミン系に影響を与えられることが、ジェスパー・エケルンド(Jesper Ekelund)教授を中心とする研究グループによって明らかにされた。
ファモチジンは1980年代以降に胸やけの治療に用いられてきた薬剤である。脳の場合、血液脳関門によって保護されているため、常用量のファモチジンでは脳内に全く入り込めない。投与量を5倍に増やすことで、薬剤が脳内に到達し、ヒスタミン系に影響を及ぼすことが可能となる。
投与後1週間で統合失調症患者の症状が軽減し始め、治療から4週間後、症状は統計学的に有意に軽減した。エケルンド氏によれば、本試験に参加した患者は治療を積極的に受け入れる傾向があった。
本試験には30人の統合失調症患者が参加した。これらの患者は5年間以上にわたり疾病給付を受けていた。被験者は2群に無作為に分けられ、ファモチジンを投与する群と、プラセボを投与する群のいずれかに割り付けられた。ファモチジンを投与した患者全員が治療に効果を示した一方、プラセボを投与した患者の症状に変化はみられなかった。
統合失調症は最も多くみられる重篤な精神病であり、精神科病院の治療日数全体の半分以上の原因となっている。これまで、統合失調症におけるH2遮断薬の効果を検討するヒト非無作為化対照試験が公表されている。
精神病の薬物療法における技術革新が緊急に必要
1963年にアルビッド・カールソン(Arvid Carlsson)氏が精神障害にはドーパミンが中心的役割を担っていることを示したことでノーベル賞を受賞して以降、このドーパミン仮説と呼ばれるものが精神病学界の主流となっている。現在利用可能な全ての精神病治療薬は、この原理に基づいている。治療効果が不十分となりがちであるうえ、副作用が多いため、別の作用機序による薬物療法が大いに必要とされており、未だ対処されないままである。その他多くのシグナル伝達物質が注目の的となっているものの、これまで脳内ヒスタミン系が幅広く重視されてきたのは、多くの精神病治療薬の副作用における指標としてのみであった。
ファモチジンは今回の用量で長期使用した場合に安全であることが示されるまで、統合失調症に対する治療薬として直接使用されるべきではない。一方、本試験では、脳内ヒスタミン系が精神病の治療における新たなアプローチとなることを示しており、これがヒスタミンをベースとした機序に基づく薬剤を開発しようとする医薬品産業の取り組みを後押しすることになるにちがいない、とエケルンド氏は述べている。
ファモチジンはヒスタミンH2受容体を遮断することで作用する。ヒスタミンを主なシグナル伝達物質として用いる重要な神経が脳内に存在する。これらの神経はその他のシグナル伝達物質の制御因子として重要な役割を担っている。動物実験の結果、ヒスタミン系に影響を与えると、統合失調症に関与することで知られる他のシグナル伝達物質にも影響を及ぼすことが分かっている。
このプロジェクトは既に国際的承認を受けている。エケルンド氏の研究グループの一員であるカタリナ・メスカネン(Katarina Meskanen)氏は、SCNP(スカンジナビア大学神経精神薬理学)若手科学者賞を受賞し、このプロジェクトを追跡研究するためにスタンリー財団(Stanley foundation)から相当な財政的支援(306,000ドル=約3,060万円)を提供された。
スウェーデンのカロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)のジャリ・ティホネン(Jari Tiihonen)教授の研究調整の下で共同して、この研究グループは今後、より大規模な多国間試験を実施し、今回の結果を再現する予定である。
出典:ヘルシンキ大学(University of Helsinki)
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