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2011-09-15

ソース(記事原文):サイエンスデイリー

新たに発見された蛋白質が乳がんの成長を抑制する可能性があると判明した

サイエンスデイリー(2011年9月15日)-シュレシュ・アラハリ博士(Suresh Alahari)率いる研究チームは、自身の研究室で発見した蛋白質が乳がん細胞の成長を阻害することを明らかにした。アラハリ博士はニューオリンズにあるLSU医療科学センター(LSU Health Sciences Center New Orleans;LSUHSC)および同センターのスタンレー S.スコットがんセンター(Stanley S. Scott Cancer Center)の生化学ならびに分子生物学のフレッド・ブラズダ教授(生化学の権威であるブラズダ博士の名を冠した教授職)である。

この研究はジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(the Journal of the National Cancer Institute:がん専門学術誌)の2011年9月14日付けオンライン版に発表される。

アラハリ博士は以前、乳がん細胞の遊走と移動を調節する蛋白質であるナイシャリンを新たに発見していたが、今回の研究では、この知見に基づいて300名の女性乳がん患者の乳がん組織と正常な乳腺組織標本におけるナイシャリン発現の有無と量を調べた。また、ヒトの転移性乳がん細胞の誘導体を作成し、ナイシャリンの発現量を操作する試験をマウス・モデルで行えるようにした。

「健常なヒトの乳腺組織標本に含まれるナイシャリンの量は、腫瘍組織標本と比較して統計学的に有意に高いことがわかりました。」博士は言う。「そして、細胞内でのナイシャリンの産生を阻害すると腫瘍の成長が有意に速くなったのです。逆にナイシャリンを過剰に産生させると腫瘍の成長と転移が抑制されました。この研究は、ナイシャリンが乳がんの進行を阻害することで乳がんを抑制できることを示しています。」

同研究チームはナイシャリンの発現調節を記述するとともにナイシャリンが乳がんの成長を抑制する際の遺伝メカニズムを報告しており、この情報は新しい治療アプローチに狙いを定めるのに利用できる可能性がある。

米国の女性では乳がんは皮膚がんに次いで多く、極めて一般的に見られるがんである。米国国立がん研究所(The National Cancer Institute)の推計によると、今年、米国では女性で230,480例、男性で2,140例の乳がんが新たに発症し、乳がんによる死亡者数は女性で39,520名、男性では450名に上るという。

リスク要因としては加齢、体重増加、併用ホルモン療法、運動不足、そして一日一回以上のアルコール飲料の摂取が挙げられる。家族内に乳がんの発症者があったり、出産経験がない、または第一子を出産したのが30歳を越えていたりすると乳がんのリスクが高まる。

マンモグラフィ(乳房撮影)を実施すると乳がんを早期に発見できることがよくあり、この段階であれば治療の選択肢が多く、治癒も可能である。

「次の段階はナイシャリンが今回の論文で報告した経路の調節を通じて腫瘍抑制機能の一部を発揮しているのかどうか確認することです。」博士は話をこう結んだ。「そのための研究は既に開始しています。」

LSUHSCの研究チームには他に、病理学の助教授ロビン・マッゴイ博士(Robin McGoey)、博士研究員のサメシュ・バランワル博士(Somesh Baranwal)、同ヤンファン・ワン博士(Yanfang Wang)、同ラジャマニ・ラシナム博士(Rajamani Rathinam)、同リアンジン・ジン博士(Lianjin Jin)が参加している。デューク大学(Duke University)とスローン・ケタリング記念がんセンター(Memorial Sloan Kettering Cancer Center)の研究者も貢献した。

本研究は、米国国立衛生研究所(the National Institutes of Health)、スーザン・コーメン財団(the Susan Komen Foundation)、ルイジアナ理事会(the Louisiana Board of Regents)、ルイジアナがん研究コンソーシアム(the Louisiana Cancer Research Consortium)から研究助成を得た。