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2016-06-23

ソース(記事原文):MedPageToday.com

高価な糖尿病治療薬は有効?

【MedPageToday.com】(2016年6月23日)

2型糖尿病の新しい治療に関して、費用と効果に対する新たな疑問が問われている。

先週発表された、リラグルチド(ビクトーザ)が主要心臓血管イベントおよび全死因死亡の減少と関係しているという発表を受け、今、医者たちには、主に糖尿病の過程を標的とし、糖尿病に伴う患者の心臓血管リスクの軽減に役立つ薬剤を使用するほかの選択がある。すなわち製造販売後臨床試験で心臓血管優位性を示した唯一の別の薬剤であるエンパグリフロジン(ジャディアンス)である。実に一部の心臓医が使用を考慮し、糖尿病薬も処方している。

しかし細則の分析では、いずれも安価ではないその薬で治療を受ける必要がある人が比較的多数いることがわかった。消費者が使用する薬剤の価格データを集計しているGoodRxによると、エンパグリフロジンは25mgが30錠で405ドル、一方のリラグルチドは3本入り1箱が702ドル(1本で1日の使用量10-30の使用可能)である。

GoodRxの代表人は、これらの数字はアメリカの各薬局から入手した合計約7万5000の最低価格で、「適正価格」を計算するためにここから25パーセンタイルの価格を取るか、またはこれらが良心的な価格設定であるかどうか消費者が判断すべきである、と語っている。この方法は2週間ごとに繰り返されており、オンライン価格や会員価格(例えばコンビニやライトエイド(アメリカの小売チェーン店の名称)の優待価格など)は除外している。

3年以上冠動脈イベントを予防するためにグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬であるリラグルチドを治療で必要とする患者数は66人で、死を予防するために治療している患者の数は98人であった。ナトリウム・グルコース共益輸送体-2(SGLT-2)阻害薬であるエンパグリフロジンは、この領域においてはよりよく働き、3年以上の冠動脈イベント予防するために63人、また死の予防には38人が治療を必要としている。

「これらの薬を保険適応のない状況に押し込むことはひとつの挑戦です」と、コロラド大学医学部のロバート・エッケル博士はメッドページ・トゥデイに語った。「私は60人に1人しか治療できない薬を投与して、誰かを悪くさせるようなことはしません」。

アメリカでは、時としてこれらの薬の一部または全額を保険会社がカバーするが、かつて糖尿病薬の費用について執筆したことがあるシアトルにあるワシントン大学のイール・ハーシュ博士は、現実には多くの人がメディケア・パートD(処方薬に関するアメリカの健康介護保険)で“カバーされない部分”および控除免責条項に含まれる薬代を、自腹で全額支払っている、と語る。

「医療保険制度改革法があるにも関わらず、9.5パーセントの人が依然として保険に加入していなことを忘れてはいけません」と彼はMedPage TodayへのEメールで付け加えている。「ですから実際には薬代を定価で支払っている人がたくさんいるのです」。

もし薬の値段が高すぎる場合、多くのアメリカ人は薬代を支払わないかもしれず、またアメリカ国民の約半数は手持ちの何かを売ったり、借金しなければ400ドルという予想外の薬代を払うことができない、という前述の根拠を医者は留意すべきである、と彼は付け加えた。

「結局、私たちが答えなくてはならない質問(医者としてではなく、社会にいる“私たち”)は、ブドウ糖低下や体重減少、血圧低下などの薬にいくら払う気があるか、ということだと推測します」とエッケル博士。「38や98の治療必要例数を私たちにもたらす薬にどうしてすすんでお金を支払うことができるでしょうか?」。

また彼は、この薬が持つ効果は、そのカテゴリーの薬に共通の作用があるかどうか、またほかのSGLT-2やGLP-1薬の治療でこのような作用がみられるかどうかは依然として疑問であると語っている。フランス、ドイツ、カナダそしてイギリスは、「これらの高額な費用を受け入れない」ため、例え「治療を必要とするイギリス人の数がアメリカ人と同じ」だとしても、社会への総額は低い、と彼は付け加えている。

ニューヨーク州アルベルト・アインシュタイン医学校のヨエル・ゾンスゼイン博士は、スルホニル尿素剤のように古い薬は明らかに効果的でなく、安全ではない可能性があるため、新しい治療の選択は「大改革をもたらす」、とEメールに書いている。しかし彼は、料金は医師が常に考えるべきものである、と付け加えている。

「私たちの患者は医療保険にとても高額なお金を支払っており、また糖尿病はまれな病気ではありません」と彼は書いている。保険会社は透析療法などの高額な治療には常に支払いをするが、これらの合併症を予防に役立つかもしれない薬物治療に対しては支払いを拒否するため、費用有効性から費用を分化することは有用であるとも付け加えている。

リラグルチドとエンパグリフロジンには、患者の役に立つ体重減少などのほかの効果もあり、昔の薬よりもこれらの薬を好むのは筋が通っているかもしれない、と付け加えている。「しかし、アメリカ国内では値段が高価なために、一般的な病気を治療できないのは痛ましい」と彼は書いている。


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