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2002-06-27
ソース(記事原文):BBCニュース
「高齢者の脳卒中の危険を減らす」薬
高齢患者の高血圧を治療することで、脳卒中のリスクも大幅に減少できることが、ある研究結果から明らかになった。
薬による知能障害や認知症につながる影響を恐れて、軽度の高血圧であれば治療せずにおくこともある。
しかし、そうした危惧の念を抱く必要がないことが、この研究から明らかになった。
脳への血液供給が中断されることで起こる脳卒中は、イングランドとウェールズで重度の身体障害の第一原因であり、常時300,000人以上が患っている。
一度脳卒中が起こると、再発の危険性はさらに高くなる。
異常なほどの高血圧、つまり高血圧症は、最も一般的な心臓血管疾患である。
糖尿病
The Study on Cognition and Prognosis in the Elderly(The Scope)研究の結果は、チェコ共和国プラハで開かれた国際高血圧学会議で発表された。
それは、軽度の高血圧を抱える高齢者に対する治療の分析の中でも最大規模のものである。
15カ国で70歳以上の高齢者5,000人弱が検査対象となった。
軽度の高血圧を抱える患者に、カンデサルタン・シレキセチル(アタカンデ)もしくは偽薬が投与された。
この薬を服用することで、非致死的脳卒中のリスクを28%軽減できた。
また、この薬は知能に影響を及ぼしたり認知症のリスクを高めることもないことが、この研究から明らかになった。
この薬は、心臓発作などの心血管事故の起こるリスクを11%減少させ、かつ知能に悪影響を及ぼすこともない。
さらに糖尿病の発症リスクを減らす効果もある。
これは、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と呼ばれる、新しいタイプの高血圧剤の一つである。
「大きな進展」
スウェーデン、ウプサラ大学のレナート・ハンソン教授が、Scope研究の結果を会議で発表した。
彼は次のように語った。
「アタカンデで血圧を下げることにより、非致死的脳卒中のリスクを大幅に削減できるため、臨床的メリットは大きい。
重要なこととして、恐らくこれまでの概念とは正反対であろうが、血圧を下げることによって、高齢者の認知低下や認知症発症のリスクが増加するわけではないことも、Scope研究から明らかになった。軽度の高血圧を抱える高齢者に対する、現在のわたしたちの見方や治療の仕方に大きな影響を及ぼす研究結果である。」
彼はさらにこう語った。
「寝たきり、車いすの生活、話せないために自分を表現できないといった窮境へ追い込みかねない非致死的脳卒中を予防できるとすれば、それは大きな進展である。非致死的脳卒中は非常に深刻な結果をもたらしかねない。また、非致死的脳卒中は医療制度に大きな負荷を与えている。」
脳卒中協会代表者、イアン・リダーン氏は次のように語った。
「脳卒中というのは、毎年幾千人もの人生を覆す大きなダメージを与える病気である。実際、治療らしい治療ができないため、予防に勝るものはない。高血圧は脳卒中の主な危険因子であるため、これは大変胸の踊る結果である。幾千という脳卒中は予防可能なのだ。」
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