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2012-01-20
ソース(記事原文):イクスプレス
スタチン:心臓病薬の連日投与が何千もの命を救う
イクスプレス(2012年1月20日)― ジョー・ウィリー(Jo Willey)著
スタチンというコレステロールを低下させる心臓病薬を毎日服用することが、癌を打破する鍵となる可能性がある。
この薬は心臓発作と脳卒中を予防する目的で何百万という人に毎日服用されているものだが、腫瘍の増殖や転移を阻害することが明らかとなった。
この発見は「重大な意義」を持つものとして支持されており、安価かつ有効なスタチンを毎日服用することが、英国癌死亡者数を大幅削減するのに重要な役割を果たすということになる。
1日あたり40ペンスというわずかな薬代しかかからず、NHS(イギリス国家健康保証制度)への疾患関連の財政負担を軽減する簡単な方法でもあると考えられる。
この最新結果が複数の臨床試験で裏付けられれば、腫瘍の治療を助長する目的、もしくは初期段階で癌を叩いて阻止する目的でスタチンを投与できることになる。
専門家らはこの結果について、癌治療に改革をもたらしうるもので「大変興味深く捉えている」としている。本研究は乳癌で実施されたが、スタチンはその他多くの癌種に対しても有効でありうると考えられている。ニューヨークのコロンビア大学(Columbia University)キャラル・プライブズ(Carol Prives)博士を中心とする研究者らは、腫瘍を抑制するp53と呼ばれる遺伝子変異について検討した。
この遺伝子変異は、癌に最も多く発見される異常であることが確認されていることから、この変異が作用する仕組みを解明することで癌の治療または予防に関する貴重な情報が得られるのではないか、と同研究者らは考えている。
その結果、体内コレステロール構築機序と、乳癌の特性である細胞の無秩序な増殖との関連性が明らかにされた。
双方とも欠陥のあるp53が関与していた。全ヒト癌の半数以上が遺伝子の変異を有している。これらの変異の多くは、単にp53の正常機能を破綻させるだけでなく、癌形成を抑制する代わりに増強させるという新たな機能を付与する。
ヒトの乳房に類似した人工システムで癌細胞の増殖を検討したところ、p53変異を有する細胞は乳癌のように浸潤性かつ不規則に増殖することが分かった。
変異遺伝子の量が少ないと、細胞はより正常に成長する。変異p53を含む細胞をコレステロール低下剤スタチンで治療すると、浸潤性増殖が止まり、一部は死滅することさえある。
p53変異と、コレステロール構築遺伝子の活性亢進が確認された乳癌組織(患者から採取)を分析したところ、ヒト腫瘍内での双方の密接な関連が示された。
プライブズ氏は「今回のデータにより、どの患者の腫瘍がスタチンに反応するのかを特定できる可能性が高まる。勿論、詳細が分かるまでは最終的結論を出すことはできない」としている。
同氏は「この意義は重大である。臨床試験を実施し今回の結果が裏付けられる可能性もあれば、より複雑になる可能性もあるだろう」とも述べた。本研究は医学誌セル(Cell)に発表されている。乳癌撲滅慈善団体のケイトリン・パルフラマン(Caitlin Palframan)博士は「スタチンのような既存薬が乳癌を撃退する可能性が示されたことに関心をかき立てられている」としている。
「本研究ではスタチン治療の対象となりうる比較的大規模な乳癌患者群を特定している。ただし、効果の有無を知るには臨床試験の結果を確認する必要がある」とパルフラマン氏は続けた。動脈透徹剤スタチンは、毎年数万の命を心臓病と脳卒中から救っており既に高い評価を得ている。
また、有害量の「悪玉」コレステロールを減少させるために600万人以上がスタチンを毎日服用している。
英国では毎年156,000人以上が癌で死亡している。
乳癌を発症した女性では、シンバスタチンという特定のスタチンを服用すると、再発率が30%低くなることが、試験で示された。また、スタチンは前立腺癌の再発を予防することも明らかとなっている。
英国がん研究所(Cancer Research UK)のジョアナ・オーエンズ(Joanna Owens)博士は「スタチンに新たな癌治療の可能性があるという言い方は、実に複雑な事態をあまりにも単純に扱いすぎている。p53タンパク質は多くの種類の癌における欠陥であるが、これらの欠陥は今回の研究で行われた試験と平行して複数の異なる影響及ぼすものである。
「これらは研究室での結果にすぎず、同研究者ら自身が指摘しているように、患者へ投与するかどうか見極めるのは、まだずっと先の話である」
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