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2014-05-26
ソース(記事原文):レッド・オービット
ハンチントン病の神経変性を遅らせる有望な方法が動物モデルで判明
レッド・オービット(2014年5月26日) ― カナダ神経科学学会(Canadian Association for Neuroscience)
今回明らかにされた機序で、アルツハイマー病や外傷性脳損傷、その他の神経変性状態においても神経機能を保つことができる可能性
ハンチントン病の動物モデルにおいて特定のグルタミン酸受容体(シナプス外NMDA受容体)をブロックすると、運動の学習および協調性が改善し、細胞死も防げることを研究が示している。ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)のリン・レイモンド博士(Dr. Lynn Raymond)が発表した。ハンチントン病は遺伝性疾患のため、人に臨床症状が現れるよりもかなり前には発見できることから、脳細胞(ニューロン)機能の初期の変化や、そうした変化の根底にある分子経路の理解を深めることは予防的治療につながり、症状の発現および神経変性を遅らせることができるかもしれない。「これまで10年以上にわたりハンチントン病の発症前段階に関する研究が行われ、この病気の遺伝子変異保有者に対する発症前の介入治療を評価しやすくするために、現在はマーカーの開発が行われています。これで、病気の発症を遅らせることが可能になるでしょう」とレイモンド博士は話す。この研究結果は、モントリオールで5月25日~28日に開催のカナダ神経科学学会(CAN-ACN)第8回年次総会、「カナダ神経科学大会2014(2014 Canadian Neuroscience Meeting)」で発表された。
神経伝達物質のグルタミン酸は細胞死を促進することが以前から知られており、その毒性作用は、NMDAR(N-メチル-D-アスパラギン酸イオンチャネル型グルタミン酸受容体)として知られる受容体ファミリーの働きを介して起こる。残念ながら、NMDARをブロックするという神経系障害の治療法には多大な副作用があるため、この方法は成功には至っていない。多くの科学者らの研究に基づいた最近の仮説は、ニューロン表面の異なる領域に位置するNMDARは作用が相反する可能性を示唆しており、この仮説から、なぜNMDARすべてをブロックするのが優れた治療選択肢ではないのかを説明できる。シナプスとは、あるニューロンが別のニューロンに接続して、それらニューロン間を電気的・化学的シグナルが通るようにする構造のことである。シナプスは神経伝達物質による化学的シグナル伝達の主要領域であるため、その受容体の多くがここに位置している。しかしながらシナプス外にも受容体を見つけることができ、これをシナプス外受容体という。シナプスに位置するNMDARの働きは生存シグナル伝達の亢進や学習・記憶の促進である一方、シナプス外NMDARは生存シグナル伝達を遮断し、学習メカニズムに干渉し、細胞死の経路を亢進させることが、最近の多くの研究で明らかにされている。
レイモンド博士とその研究チームはハンチントン病モデルマウスを用いて、症状発現前の早期からシナプス外NMDARの選択的遮断薬を使用することにより、ハンチントン病様の症状の発現を遅らせることができた。この有望な結果がハンチントン病患者の新しい治療法へとつながり、症状の発現も遅らせることができるかもしれない。「私たちが使用したメマンチンという薬は、現在、中等症アルツハイマー病の患者さんの治療に使われています。今回の結果から、ハンチントン病の特に発症前段階という臨床において、メマンチンや同様の作用を持つ薬を調べるのは当然のことと考えられます」と博士は話す。
またシナプス外NMDARは、アルツハイマー病などその他の神経変性疾患や、外傷性脳損傷および一部の脳卒中によって起こる損傷に関与することも明らかにされた。したがって今回の結果は、神経変性の徴候が現れる前にニューロンを保護する新たな手法、つまりニューロンの変性や死という多様な状況に対しての新しい治療法を示唆している。
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