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2013-03-18

ソース(記事原文):MPR

メマンチンは認知症を伴わない精神障害に有効か?

MPR(2013年3月18日)― メマンチンは、非競合的グルタミン酸N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体遮断薬であり、アルツハイマー病および認知症の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に認可された。本剤は、精神異常作用や幻覚発動作用を及ぼすことなく、シナプス外グルタミン酸の活性を選択的に遮断するとともに、記憶や学習などの正常な生理機能ならびにシナプス可塑性を大して妨害しないことが示されている。メマンチンは、中等度から重度のアルツハイマー病やその他の認知症の治療薬として一般に用いられるが、コリンエステラーゼ阻害薬を用いた一次治療の補強を目的としている。

サニ(Sani)氏らが最近発表した総論で、認知症以外の精神障害に対するメマンチンの使用についての前臨床・臨床エビデンス(証拠)が検討されている。「NMDA伝達系の調節不全は広範囲な精神障害において起こりうることから、幅広い類似疾患においてメマンチンが利用可能になりうると考えられる」というデータに基づき、精神障害に対するメマンチンの研究が着手された。特に、より標準的な薬剤に治療抵抗性を示す場合の補助的療法として用いるのが適している。

双極性気分障害

同著者らによれば、双極性障害においてメマンチンを検討する理論的根拠は、双極性障害の病態生理学にドーパミンが重要な役割を果たしていると報告している多数のエビデンスにある。躁病はドーパミン作動性神経伝達の増加に関連するとみられる一方、うつ病はドーパミン作動性神経伝達の低下に関連するとみられる。抗うつ薬によるうつ病から躁病への躁転は、このメカニズムが原因であると考えられるとも述べた。実験的証拠により、NMDAグルタミン酸受容体はドーパミンの増強に重要な役割を果たすことが実証されている。つまり、NMDA受容体の非競合的遮断により、抗躁作用および情動安定化作用が生じることになる、と著者らは示唆している。さらに、メマンチンは神経保護性質を持つとみられ、これはリチウムにみられるものと同様である。

双極性障害に対する補助的メマンチンを検討した非盲検下の症例報告では、同剤の有用性を示す「強い」エビデンス(証拠)が得られている。この有用性とは「治療抵抗性の双極性障害における実質的な抗躁作用および持続的な情動安定化作用に関連」している。これらの結果を再現するため、さらなる試験を実施する必要がある、と著者らは指摘している。双極性障害に対するメマンチンを検討する無作為化対照試験が、同氏らの研究グループによって間もなく行われる予定である。

大うつ病

抗うつ療法は、ドーパミン作動性神経伝達を亢進することで、快感消失、意欲喪失、性欲減退、やる気の欠如、反応不顕性、および精神運動発達遅滞などの症状を改善する。つまり、ドーパミン増強剤はうつ病の改善にもプラス効果を持つということになる。しかし、動物試験のエビデンスが有望であった一方、うつ病におけるメマンチンの有用性を示すエビデンスは乏しく、非盲検または二重盲検比較試験の結果は「矛盾していたり、確定的でなかったり」した、と著者らは述べている。

統合失調症および精神病

生化学的ならびに行動的なエビデンスから、統合失調症の複数の領域(精神病や注意力・記憶・学習などの認知機能)においてグルタミン酸調節不全が重要な役割を担っていることが指摘されている。統合失調症にメマンチンを使用するうえでの重要な理論的根拠は、メマンチンなどの神経保護薬の有用性を示唆する統合失調症の神経変性プロセスを示すデータに基づいている。著者らの補足によると、アルツハイマー病患者の認知障害に改善をもたらすメマンチンの有効性は、統合失調症における認知症状の改善に有用となりうることを示すものでもある。

しかし、こうした理論的支持は、二重盲検試験で一定の結果を得られず、実証には至っていない。著者らによれば「非盲検試験および個別症例報告でプラス効果が明らかにされたものの、この結果は対照試験では実証されなかった」という。一方、アマンタジンとメマンチン(両剤ともNMDA拮抗薬)は緊張病における有用性が示されており、その他の治療法が効かなかった場合の「緊急事態の緊張病」にメマンチンを用いるのは適切であると考えられる、と同氏らは補足している。

不安障害

不安障害に対するメマンチンの効果には一貫性がみられない。著者らによれば、全般性不安障害(GAD)におけるメマンチン試験は「期待外れ」であったという。一方、強迫性障害(OCD)や外傷後ストレス障害(PTSD)では本剤の有望な結果が示された。通常の一次治療に抵抗性のある強迫性障害患者における補助的療法としてのメマンチンを検討した症例研究では、症状の緩和や、Yale-Brown強迫観念・強迫行為尺度(Y-BOCS)のスコア改善に役立つことが認められた。非盲検試験ならびに単純盲検症例対照研究では、いずれもメマンチンを投与された強迫性障害患者における改善が示された。難治性PTSDに対するメマンチンを検討した複数の症例研究では、記憶、気分、集中力、過覚醒低下、逃避、怒りなど数多くの症状の改善に役立つことが明らかにされた。

その他の障害

その他の精神障害に対するメマンチンの有用性エビデンスは、少ないだけでなく一貫性もない。薬物やアルコールの乱用では、メマンチンは依存の軽減に若干役立ったものの、その他のプラス効果は認められなかった。NMDA受容体系は摂食障害との関連がみられ、こうした病状の治療にメマンチンが有用であることが示唆される、と著者らは述べている。動物モデルでは有望な結果が得られており、過食症患者16人を対象とした小規模非盲検試験では本剤が過食回数の抑制に役立つことが明らかにされた。

結論

同著者らは、前臨床動物試験と、人間を対象としたヒト臨床試験との間の不一致を指摘しているほか、この有望な薬剤のさらなる試験をヒトで実施するよう奨励している。


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