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2010-05-27
ソース(記事原文):サイエンス・デイリー
侵攻性リンパ腫、新研究で有望な治療
サイエンス・デイリー(Science Daily)2010年5月27日 ― 新たな研究によると、形質転換したリンパ腫の患者で、レナリドマイド(lenalidomide)に対して「瞠目すべき」反応を示した者がいたという。レナリドマイドは経口薬で、副作用はほとんどない。
米国と欧州の24の医療センターが参加する国際的な研究で、シカゴで2010年6月4~8日に開催される米国臨床腫瘍学会年次集会で発表される予定だ。
レナリドマイドの投薬を受けた形質転換したリンパ腫の患者45名が、この免疫調節療法に前向きな反応を示した。レナリドマイドは身体のナチュラルキラー細胞を活性化し、細胞死をみちびく癌細胞内のシグナル伝達を妨げることによって、リンパ腫細胞を破壊する。これら患者のうち21%が完全寛解し、1年を超えて持続した患者もいた。
形質転換したリンパ腫は、侵攻性の血液癌。患者の生存率の中央値は、現在の治療法では1.7年である。それに対し、緩慢性または増殖遅延型リンパ腫の患者は、疾患とともに10~20年は生き延びることができる。しかし10年の歳月の間、緩慢性リンパ腫患者の約30%が形質転換したリンパ腫を発症させる。
メイヨー・クリニック・アリゾナ校(Mayo Clinic's Arizona campus)の第Ⅱ相試験の治験責任医師であり、メイヨー・クリニックの血液学者であり医学博士であるクレイグ・リーダー氏(Craig Reeder)は、「この研究結果は、予後不良の形質転換したリンパ腫患者にとって、瞠目すべき反応率だ」と述べている。一般的に第Ⅱ相試験は、300名を超えない患者を対象とし、ある特定の療法の効果を評価するよう設計されている。
同研究は、侵攻性リンパ腫の患者217名を対象とした。このうち33名が形質転換したリンパ腫で、レナリドマイドの投薬を受けた。この患者らの年齢層は、42~84歳にわたった。患者らの過半数が、リンパ腫が複数の部位や臓器に広がる第4期にあった。全患者が化学療法を受けており、癌抑制のため幹細胞移植を受けた患者もいた。これら患者の、以前治療を受けた回数の中央値は4回で、中には治療回数が12回にまで及んだケースもあった。
患者らは21日間、レナリドマイド錠剤(25ミリグラム)を毎日服用。7日間、投薬治療は一切行われなかった。癌進行の兆候が現れるまで、投薬治療は続いた。全体として、患者の45%が治療に対して前向きな反応を示したが、結果は、特殊な型の形質転換したリンパ腫によってさまざまであった。
この疾患の最も一般的な型である、形質転換した濾胞性リンパ腫において、このサブグループに属する 23名中13名(57%)が、レナリドマイドに前向きな反応を示した。形質転換したリンパ腫の他の型の患者10名は、反応しなかった。この中には、形質転換した慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫、他が含まれていた。
リーダー博士は、レナリドマイドの投薬治療を受けた患者数は少ないが、反応率、反応の長さ、治療の簡単さという理由から、結果は有望だと指摘している。反応した患者において、レナリドマイドの正の効果は13か月(中央値)近くにわたり見られた。化学療法薬と比較して、レナリドマイドは投薬が簡単で、認容性も高いの。「その魅力は、患者にとって毒性がないことだ」と、リーダー博士。副作用は軽度なものだと考えられ、白血球数も少なかった。
レナリドマイドは、多発性骨髄腫とある種の骨髄異形成症候群の治療目的で、米食品医薬品局から認可を受けている。メイヨー・クリニックの研究者らは約2年間、レナリドマイドのリンパ腫治療薬としての可能性を研究してきた。形質転換したリンパ腫患者治療における役割を確固としたものにするため、さらなる研究が必要となっている。
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