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2013-01-31
ソース(記事原文):ブルームバーグ
抗生物質が重度の栄養失調児の死亡を減らす
ブルームバーグ(2013年1月31日)― 栄養療法に抗生物質を加えることで、重度の栄養失調児の治癒と死亡防止の一助となった。この研究結果は、重度の飢餓に苦しむ子供たちに対し抗生物質の日常的な使用を検討すべきだと示唆するものだ。
「ニューイングランド医学ジャーナル (New England Journal of Medicine)」で発表された研究によると、アモキシシリンを投与した重度の栄養失調児は、プラセボ摂取と比べ、治癒率が25%高く、死亡率が35%低かった。アボット・ラボラトリーズ(ABT)がオムニセフ(Omnicef)という製品名で販売している抗生物質のセフジニルを投与した重度の栄養失調児は、治癒率が40%高く、死亡率が45%低かった。
毎年世界中で2,000万人以上の子どもが重度の急性栄養失調に罹り、毎年1万人の子どもが死亡している。治癒率は85%から90%だが、抗生物質を加えることで健康と生存率を改善するための費用対効果の高いアプローチとなるかもしれない、と研究論文執筆者のインディ・トレハン(Indi Trehan)は述べた。
「幼年期の栄養失調は今でも世界で最大の、そして残念なことに最も認識されていない健康問題である」と、セントルイスのワシントン大学小児科の臨床フェローでありマラウイ大学客員講師であるトレハンは1月26日の電子メールで述べた。「結局、HIVやマラリア、下痢において我々がどんな進歩をしようとも、栄養失調の子どもは、常にこれらの疾患による死亡のリスクが最も高い。努力に見合う効果を出すには、我々は栄養失調対策に最大の焦点を置くべきだ」
栄養失調による死亡
栄養失調は、世界保健機関が「身長に対し体重が非常に少なく、重度の消耗」と定義している。世界の5歳未満の子どもの全死亡例のうち、ほぼ半数の主要因は栄養失調である、とトレハンは述べた。
アモキシシリンのコストは研究では子供一人当たり約2.67ドルであったが、セフジニルは7.85ドルであった。しかし、大規模に使用されれば、このコストは安くなりうると著者らは述べた。抗生物質は、治療の過程で子供一人当たり約50ドルがかかる栄養療法に引けを取らない。
研究は、重度の急性栄養失調に罹っていた生後6か月から4歳までのマラウイの子供たち2767人を対象として行われた。水と混合する必要がなくすぐに使用できるペーストである栄養療法に加えて、アモキシシリン、セフジニル、またはプラセボを7日間投与した。
トレハンは、抗生物質がこれらの子供たちにどのように作用して効果を出すのかは不明だと述べている。栄養失調で子どもの免疫力が非常に低下し、自分たちではどんな単純な感染症にも対抗できなかったのかもしれない。前もって抗生物質を投与することで、研究中に発現した典型的な小児感染症から子供たちが守られていた可能性がある。
「価値ある」投資
「我々は、国際援助機関や地方保健当局が、このような単純な抗生物質の使用を組み込むことができるようになることを願っている」とトレハンは述べた。「我々は、これにより財政的、物流的資源の追加が必要となることは理解している。しかし、本研究で劇的な死亡率低下が見られたので、世界中の子どもの生存にもたらす恩恵に対し、この投資は価値があると我々は確信している。」
トレハンは、もう一つの可能性として、子供たちが既に感染症を持っていて、それが子供たちを深刻な栄養失調状態に「落ち込ませ」、抗生物質がその症状を治した、という考え方を挙げた。
トレハンは、栄養失調に罹っている子どもの腸障壁は弱く多孔質であるため、腸内細菌が血液中に移動することが可能であることが示された、と他の研究の中で述べている。抗生物質は腸内感染症や炎症の量を制限するのに有用で、栄養療法の吸収を最大化する上で役立つ可能性がある。
直接的な関連
クワシオルコルと呼ばれる栄養失調の特に重症な形態もあり、栄養だけで治癒することはできない。近年、科学者はクワシオルコルがある種の腸内細菌に関連していると考えている。この発見もセントルイスにあるワシントン大学のトレハンや研究者らによるもので、「サイエンス(Science)」誌で発表された。
この研究の研究者らは、マラウイの双子317組を生後3年間観察した。研究中、双子のペアの半分は栄養状態がよく、残りのペアでは、双子の一方または両方がクワシオルコルを発症した。そして治療中、栄養療法を受けた栄養失調児の腸内細菌が、栄養の良い子供の腸内細菌に類似したものになったことがわかった。治療が終了すると、細菌は元の状態に戻った。
クワシオルコルに罹っている子供には腹部膨満、肝障害、食欲減退、皮膚潰瘍が見られる。
新しい証拠
細菌がクワシオルコルと関連していることを検証するため、研究者らは次に、3組の双子のペアの大腸菌を無菌マウスに移した。クワシオルコルに罹っている双子の細菌を移され、マラウイの食餌を摂取したマウスは、栄養失調症状を発症した。これは、腸内細菌とクワシオルコルに関連性があるという証拠となった。
「腸粘膜は環境から生じるあらゆる種類の感染症の対象であり、最大の免疫活性化部位であるため、当然ながら感染症と栄養失調が戦う場となっている」とトレハン。しかし、この免疫活性化に起因してこのような炎症が起きたとき、発症する腸疾患が子どもを吸収不良、さらには感染症のリスクに晒す。我々は、この悪循環を今後も研究していきたい」
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