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2011-12-05
ソース(記事原文):WebMD医療ニュース
最新の抗うつ剤の有効性はほぼ同じであるが、副作用や即効性は薬によって異なると研究が見出す
WebMD医療ニュース(2011年12月5日)― 新たな分析によると、最新の抗うつ剤はすべて、有効性はほぼ同じだが、誰にとっても作用が同じという訳ではない。
「製薬業界の主張に反し、有効性だけを基準にし、ある薬より別の薬を選択した方が良いということを、科学的証拠は裏付けていない」とオーストリアのドナウ大学(Danube University)の臨床疫学者である研究者、ジェラルド・ガートルナー (Gerald Gartlehner) 医師/公衆衛生学修士は言う。
ガートルナーと彼のチームはセレクサ(シタロプラム)、シンバルタ (デュロキセチン)、プロザック(フルオキセチン)、ウェルブトリン(ブプロピオン)、ゾロフト(セルトラリン)などのよく使われている最新の抗うつ剤の比較研究を分析した。研究者らは性機能障害、体重増加等の副作用と即効性は薬によって差異があることを実際に見出した。
この研究はアナルズ・オブ・インターナル・メディシン(the Annals of Internal Medicine)に掲載されている。保健医療研究品質局 (the Agency for Healthcare Research and Quality)の資金提供を受け実施された。
最新の抗うつ剤を追跡
大うつ病性障害の治療に処方される最新の抗うつ剤はほとんど、いわゆる第二世代の薬剤で、セロトニンやノルエピネフリンなどの脳内化学物質のレベルに影響を与えることで作用する。
研究者らは、成人の16%以上がある時点で大うつ病性障害に罹患すると書いている。
専門家は最新の抗うつ剤のうちどれが最も効果が高いのかを論じてきた。「多くの個々の研究がうつ病治療のための抗うつ剤を比較してきた」とガートルナーはWebMDに語る。「個々の研究の結果が入り混じり、矛盾するものもあるので、消費者が結果を理解し解釈することが難しい場合がある」
研究者らは過去に発表され科学的な裏付けのある234件の抗うつ剤の研究を用い、これらの結果を再評価した。
今回研究者らは、2つの薬を比較、または1つの薬をプラセボと比較した研究を調査した。研究の大半である77%は製薬会社が資金提供して実施されたものであった。研究者の中には、ノバルティスや武田薬品のコンサルティングを行っている者もいた。以下がその調査結果の一部である:
全般的有効性は薬剤間であまり差異がなかった。
急性うつ病患者のうち、37%は薬を服用しても6週間又は12週間で改善しなかった。
53%が完全にはうつ病から回復しなかった。
最新の抗うつ剤:差異
副作用は実際異なっていた。全体としては、薬を服用中の患者63%に少なくとも1つの悪影響があった。以下がよくある副作用である:
体重増加
性機能障害
下痢
目まい
けん怠感
頭痛
口渇
発汗
吐き気
震え
自殺念慮など一部の副作用についてはデータが不十分で、薬剤間の差異について結論が出せなかった。研究者らは自殺は「比較的まれ」で、影響するのは薬で治療している患者8,000人に1人だとしている。研究者らは、抗うつ薬を服用している患者のうち、24歳を超えた患者以外、つまり子供と若年成人に自殺リスクが高いというFDAの分析と同意見である。
7つの研究で、レクサプロ(エスシタロプラム)、パキシル(パロキセチン)、プロザック、ゾロフトはウェルブトリンよりも性機能障害への関連性が低かった。
7つの研究で、レメロン(ミルタザピン)の方がセレクサ、パキシル、プロザック、ゾロフトより体重増加に関連していた。
「特にミルタザピンは体重増加のリスクが高い」とガートルナーは言う。しかし、うつ病に伴って体重が減少することがあるので、患者によってはこれは利点となる、とも述べた。
7つの研究で、レメロンはセレクサ、パキシル、プロザック、ゾロフトより即効性が高かった。
米国で認可されている第二世代抗精神病薬には、他にプリスティーク(デスベンラファキシン)、ルボックス(フルボキサミン)、セルゾン(ネファゾドン)、デジレル(トラゾドン)、エフェクサー(ベンラファキシン)等がある。
抗うつ剤は、医師と患者が話し合った後に選択すべきだ、とガートルナーは言う。副作用、費用などの要因も考慮すべきである。
最新の抗うつ剤:見解
新たな分析は驚くべきものではなく、過去の研究と同結果である、とコロンビア大学臨床精神科(clinical psychiatry at Columbia University)教授で米国精神医学会(the American Psychiatric Association)会員のフィリップ・マスキン(Philip Muskin)医師は言う。
マスキンはWebMDに研究知見を概説した。
「非常にポジティブな論文だと思う」とマスキン。第二世代抗精神病薬はすべて効果があると言う。
しかし、誰にでも効くという薬は1つもないことを指摘しておくことは重要だ、とマスキン。「だから、効かなかったら別の薬に変えることだ」
また、もし効果があるのに副作用があるならば、医者と患者が話し合い別の薬を選択することが重要だ、とも言う。
抗うつ剤を処方された患者の間では、心配な副作用として性機能障害と体重増加がトップに挙げられている、とマスキンは言う。
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