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2003-07-14

ソース(記事原文):BBCニュース

期待のパーキンソン病治療薬

ある薬には、パーキンソン病の進行を大幅に遅らせる作用があることが判明した。

ロピニロールと呼ばれる医薬品の効能とパーキンソン病治療に広く使われているレボドパの効能を、科学者は比較した。

その結果、レボドパと比べパーキンソン病初期にみられる神経機能の喪失を大幅に遅らせる作用は、ロピニロールの方が高いことが判明した。

そして、副作用の件数もレボドパと比べ低かった。

しかし、体の震え、協調運動障害、表情のこわばり等のパーキンソン病の症状を抑える作用という点においては、レボドパの方が優れていた。

パーキンソン病は、ドーパミンという重要な脳内物質が不足する事により起こる。

レボドパは、脳内でドーパミンに代謝される。つまりドーパミンを補充するのである。

それに対し、ロピニロールは、ドーパミン受容体を刺激するのである。

脳画像診断

過去2年間、科学者は脳画像診断技術を用いて、パーキンソン病の初期症状がみられる186人の神経機能レベルを測った。

その画像により、ロピニロールを服用した患者の神経機能喪失の進行は、レボドパを服用した患者に比べ、平均で35%ほど遅れていた。

本人の意志とは関係なく体が小刻みに震える等のレボドパを長期服用した患者にみられた症状がロピニロールを服用した患者に認められた件数は、レボドパの9分の1であった。

この研究の主任研究員であり、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)及びMRC臨床科学センター(Medical Research Council Clinical Sciences Centre)のデビッド・ブルックス教授は、「我々がロピニロールレボドパを比較したところ、ロピニロールには、パーキンソン病による神経機能喪失の進行を著しく遅らせる作用があることが分かった」と述べた。

「今回の研究結果は間違いなく重要だ。今後の研究により、神経機能喪失の進行を遅らせる事が、長期的な利益をもたらすこと、そしてパーキンソン病患者が1人で生活できる期間や有意義な生活をおくれる時間を延ばすことに繋がることを、我々は望む」

パーキンソン病患者は、世界中に400万人いる。パーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで、世界で2番目に患者数の多い脳変性疾患である。

ロピニロールは、ドーパミンを模倣し脳内のドーパミン受容体を直接刺激することにより、その効果を発揮する。

英国パーキンソン病協会(the Parkinson’s Disease Society)ポリシーリサーチ・アンド・インフォメーション(Policy Research and Information)の責任者ロバート・ミードウクロフト氏は、今回の研究結果について「素晴らしい」と述べた。

しかしミードウクロフト氏は次のように続けた。「研究結果にも表れている通り、ロピニロールが必ずしもパーキンソン病の症状を長期間抑えるわけではない。今後は更に規模の大きい研究を行い、1度の治療でどのくらいの期間パーキンソン病症状を抑えることができるのかを、他の医薬品と比較して判断する必要がある」

今回の研究結果は、アンナルズ・オブ・ニューロロジー誌(the Journal Annals of Neurology) に掲載されている。


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