【警告】
・過敏症:
1)
海外の臨床試験において、アバカビル服用患者の約5%に過敏症の発現を認めており、まれに致死的になることが示されています。アバカビルによる過敏症は、通常、アバミューンによる治療開始6週以内(中央値11日)に発現しますが、その後も継続して観察を充分に行なってください。
2) アバカビルによる過敏症では、以下の症状が多臓器および全身に発現します。
・皮疹
・発熱
・胃腸症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛など)
・疲労感、倦怠感
・呼吸器症状(呼吸困難、咽頭痛、咳など)など
このような症状が発現した場合は、ただちに担当医に報告し、アバミューンによる過敏症が疑われたときはアバミューンの服用をただちに中止してください。
3)
過敏症が発現した場合には、決してアバカビル含有製剤を再使用しないでください。アバカビルの再使用により数時間以内にさらに重篤な症状が発現し、重篤な血圧低下が発現する可能性および死に至る可能性があります。
4)
呼吸器疾患(肺炎、気管支炎、咽頭炎)、インフルエンザ様症候群、胃腸炎、または併用薬剤による副作用と考えられる症状が発現した場合、あるいは胸部X線像異常(主に浸潤影を呈し、限局する場合もあります)が認められた場合でも、アバカビルによる過敏症の可能性を考慮し、過敏症が否定できない場合はアバミューンの服用をただちに中止し、決して再使用しないでください。
5)
過敏症について必ず理解し、過敏症を注意するカードを常に携帯するようにしてください。また、過敏症を発現した場合は、アバカビル含有製剤を二度と服用しないようにしてください。
【禁忌】
・アバミューンの成分に対し過敏症の既往歴のある人
・重度の肝障害のある人: 血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがあります。
【慎重服用】
・肝障害のある人: 血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがあります。
・高齢者
・妊婦または妊娠している可能性のある人
【重要な基本的注意】
・アバミューンのHIV-2感染症患者に対する有効性・安全性は確認されていません。
・アバミューンはHIV感染症治療の経験を有する医師が使用を行なってください。
・アバミューンの再使用を考慮する際は、次のことに注意してください。
1)
アバカビルによる過敏症に関連する症状は、再使用により初回から重篤な再発が認められています。重篤な血圧低下をきたし死に至る可能性があるので、アバミューンによる過敏症が疑われた人は、決して再使用しないでください。
2) アバカビル含有製剤を中止した理由を再検討し、アバカビルと過敏症との関連性が否定できない場合は再使用しないでください。
3)
服用中止前に過敏症の主な症状(皮疹、発熱、胃腸症状など)の1つのみが発現していた場合には、アバミューンの有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、必要に応じて入院のもとで服用を行なってください。
4) 過敏症の症状または徴候が認められない場合でも、ただちに医療施設に連絡ができることを確認した上で服用してください。
・アバミューンを含むヌクレオシド系逆転写薬阻害薬の単独服用またはこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス(全体倦怠、食欲不振、急な体重減少、胃腸障害、呼吸困難、頻呼吸など)肝毒性(脂肪沈着による重度の肝腫大、脂肪肝を含む)が、女性に多く報告されているので、乳酸アシドーシスまたは肝毒性が疑われる臨床症状や検査値異常が認められた場合には、アバミューンの服用を一時中止してください。特に、肝疾患の危機因子を有する人では注意してください。
・抗HIV薬の使用により、体脂肪の再分布/蓄積があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行なってください。
・アバミューンを含む抗HIV薬の多剤併用療法を行なった人で、免疫再構築症候群が報告されています。服用開始後、免疫機構が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチスなどによるもの)などに対する炎症反応が発現することがあります。また、免疫機能の回復に伴い、自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ぶどう膜炎など)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮してください。
・アバミューンの使用に際しては、次の事項についてよく理解し、同意した後に使用してください。
1) アバカビルに関する臨床試験実施を含め、さらなる有効性・安全性のデータを引き続き収集中であること。
2)
アバカビルはHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、アバカビル服用開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告してください。
3)
アバカビルの服用後過敏症が発現し、まれに致死的となることが報告されています。過敏症を注意するカードに記載されている徴候または症状である発熱、皮疹、疲労感、倦怠感、胃腸症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛など)および呼吸器症状(呼吸困難、咽頭痛、咳など)が発現した場合は、ただちに担当医に報告し、アバミューンの服用を中止すべきか否か指示を受けてください。また、過敏症を注意するカードは常に携帯してください。
4)
アバカビルの再使用により重症または致死的な過敏症が数時間以内に発現する可能性があります。したがって、アバミューンの服用を中断した後に再びアバカビル含有製剤を服用する際には、必ず担当医に相談してください。担当医または医療施設を変わる場合には、アバカビルの服用歴がある旨を新しい担当医に伝えてください。
5) アバミューンを含む現在の抗HIV療法が、性的接触または血液汚染を介した他者へのHIV感染の危険性を低下させるかどうかは証明されていません。
・軽度の肝障害者を対象とした薬物動態試験の結果、薬物動態に影響がみられましたが、これらの人における推奨使用量は明らかとなっていません。よって、これらの人は慎重に服用してください。また、中等度の肝障害の人における薬物動態は検討されていないため、これらの人に対しては使用しないことが望ましいとされていますが、特に必要とする場合には慎重に服用してください。
【効能・効果に関連する使用上の注意】
・無症候性HIV感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数および血漿中HIV RNA量が指標とされています。よって、HIV
RNA量を確認するとともに、最新のガイドラインを確認してください。
・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、アバミューンはほかの抗HIV薬と併用してください。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
・アバミューンとほかの抗HIV薬との併用療法において、アバミューンによる過敏症の徴候または症状が発現した場合は、アバミューンの使用を中止してください。
・アバミューンとほかの抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、アバミューンもしくは併用しているほかの抗HIV薬の一部を減量または休薬するのではなく、原則としてアバミューンおよび併用しているほかの抗HIV薬の服用をすべて一旦中止してください。
【その他の注意】
・海外で実施されたプロスペクティブ試験において、アバカビルの使用開始前にHLA-B5701のスクリーニングを実施しない群と、スクリーニングを実施しHLA-B5701保有者を除外した群における臨床症状から疑われる過敏症の発現頻度が、それぞれ7.8%、3.4%、皮膚パッチテストにより確認された過敏症の発券頻度が、それぞれ2.7%、0.0%であり、HLA-B5701のスクリーニングの実施により過敏症の発現頻度が統計学的に有意に低下することが示されました。また、本試験結果ではHIA-B5701をスクリーニングしない群において臨床症状から過敏症が疑われた66例中30例、皮膚パッチテストにて確認された過敏症症例23例全例がHLA-B5701を有していました。
日本人における過敏症とHLA-B5701保有の関連性については不明であり、HLA-B5701の保有率は白人では5-8%、日本人では0.1%との報告があります。
・抗HIV薬の多剤併用療法を受けている人を対象に心筋梗塞の発現頻度を調査したプロスペクティブ観察疫学研究において、アバカビルの使用開始から6ヵ月以内の人で心筋梗塞のリスクが増加するとの報告がありますが、臨床試験の統合解析を実施した結果、対照群と比較してアバカビル使用群の過度な心筋梗塞のリスクは認められませんでした。アバカビルと心筋梗塞の関連については、現在のところ結論は出ていません。予防措置として、アバカビルを含む抗HIV療法を開始する場合には、冠動脈性心疾患の潜在的リスクを考慮し、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などの改善可能なすべてのリスク因子を最小化させるための措置をとってください。
【高齢者】
・アバカビルの高齢者における薬物動態は研究されていません。アバミューンの使用に際しては、肝、腎および心機能の低下、合併症、併用薬などを充分に考慮し、慎重に使用してください。
【妊婦、産婦、授乳婦など】
・妊婦または妊娠している可能性のある人は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用してください。
・アバミューンの服用中は授乳を中止することが望ましいとされています。
【小児など】
・生後3ヵ月未満の乳児に対する安全性は確立していません。