ディバーOD 250mgは、10歳以上の人の、てんかんなどによるけいれん性疾患(けいれん疾患)の改善や、片頭痛の予防薬です。また双極性障害、統合失調症のそう状態の治療にも有効なデパコート(Depakote)のジェネリックです。
「けいれん(ひきつけ)」とは、全身または一部の筋肉が不随意かつ発作的な収縮を起こす症状で、脳と筋肉間の信号がうまく伝わらないことで発生します。「てんかん」はその病名です。このてんかんを含むけいれんを伴う病気を総じて「けいれん性疾患」を呼び、主に幼年期や晩年期に起こります。
2歳前に起こるけいれん発作の原因の多くは、発熱や血液中におけるブドウ糖、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムなどの量の異常で起こる代謝性疾患ですが、繰り返し発作が起こる場合は遺伝性の可能性があります。
また2-14歳で起こるけいれん発作のほとんどは原因不明と言われています。
さらに25歳以上でけいれん発作が起きる場合、その半分は原因不明ですが、残りは頭部外傷、脳卒中、腫瘍など膿の構造的な損傷が原因です。身体的・精神的ストレスや睡眠不足でもけいれん発作を起こしやすいとされています。
外傷、薬、感染症、血液中の酸素不足、異常な低血糖で起こる発作を「誘発性発作」と言い、さらに連続音、フラッシュ光、テレビゲームなどが原因でごくまれに起こる発作を「反射性」てんかんと呼びます。
誘発性発作は、その刺激を避けることで発作を予防することができます。
けいれん性疾患の人の約20%は、発作が起こる前に予兆があると言います。
例えば、異臭を感じたり、幻覚を見たり、一時的に意識が薄れるといった症状で、その後30分-12時間で発作が現われるようです。
実際発作が起こると、その大部分は数分の短いものですが、発作後には筋肉痛、頭痛、疲労感などが生じます。
脳のどの部分に影響を受けるかで現われる症状はさまざまです。
脳の片側の異常により起こる発作を部分発作、左右両方の脳の場合は全般発作と言います。
また部分発作は症状により、意識消失を伴わない単純発作、意識は失わないながらも意識障害が起こる複雑発作に分けられ、さらに部分発作は単純部分発作、ジャクソン発作、複雑部分発作、持続性部分てんかんなどに分類されます。
全般発作は、意識の消失を伴い、異常行動が見られたりする発作で、強直間発作(大発作)、欠神発作(小発作)、脱力発作、ミオクローヌス発作、原発性全身てんかん、てんかん重積状態などがあります。
けいれん発作は、強い筋肉の収縮による骨折を含むけがや、意識消失による転倒などで大きな事故を引き起こす場合もあります。
また繰り返し起こるような場合は脳に損傷を与える可能性もあり、知能低下を招くこともあります。
双極性障害と統合失調症は共に精神障害の病気で、二大精神疾患と言われています。
双極性障害は、そう状態とうつ状態を交互に繰り返す病気で、このうちはっきりとしたそう状態がある場合を双極I型障害と言い、軽いそう状態を含む場合を双極II型障害と呼びます。一方、統合失調症はかつて精神分裂病と呼ばれていた病気で、妄想や幻覚、幻聴を伴う精神疾患です。
いずれも再発を繰り返す可能性の高い病気ですが、薬剤療法を含む治療で、状態をかなりコントロールすることができると言われています。
ディバーOD 250mgはバルプロエートとバルプロ酸の化合物であるダイバルプロエックス・ナトリウム(ジバルプロエックス・ナトリム)を有効成分とする気分安定薬に属する薬で、脳内のγ-アミノ酪酸(GABA)値を上げる、または電圧依存性イオンチャンネルの性質を変えるなどの作用で、けいれん疾患、双極性障害、統合失調症の症状を改善すると考えられています。
通常であれば脳内の神経伝達物質の活動は抑制性の神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)によって抑えられ、コントロールされています。
しかしこのγ-アミノ酪酸(GABA)が分解などによって減少してしまうとその抑制作用が減弱によって脳内の神経伝達ニューロンが異常に興奮し、情報伝達源となる電気信号が異常な速さで繰り返し放出され、正常な脳の機能に影響を与えてしまいます。
ダイバルプロエックス・ナトリウム(ジバルプロエックス・ナトリム)はγ-アミノ酪酸(GABA)のアミノ基を移転しその機能を失わせるGABAトランスアミナーゼという酵素の働きを阻害する作用や、グルタミン酸脱炭素酵素の活性化によるγ-アミノ酪酸(GABA)生成の促進によって脳内のγ-アミノ酪酸(GABA)の量を増加させ、神経伝達ニューロンの過剰興奮を抑えるとされています。
また、電位依存性ナトリウムイオンチャンネルやT-型電位依存型カルシウムチャンネルの開口を阻害することによって、脳内のイオンがニューロン内に流入することよって生じる神経伝達物質の過剰な発射を防ぐ作用もあるとされています。