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2009-11-09
ソース(記事原文):サイエンスデイリー
広く使われているコレステロール低下薬はパーキンソン病の進行を防ぐ可能性
サイエンスデイリー(2009年11月9日) — 最も多く使用されているコレステロール低下薬シンバスタチンは、パーキンソン病の進行を食い止める可能性がある。ラッシュ大学メディカルセンター(Rush University Medical Center)の神経学研究者らは、パーキンソン病のマウスに、FDAに認可された薬剤の使用を検討する試験を実施したところ、病気に起因する生化学的変化、細胞変化、解剖学的変化が見事に改善されることを見出した。
研究著者のラッシュ大学メディカルセンター神経科学部カリパダ・パハン(Kalipada Pahan)教授は「スタチンは、世界中で最も広く使われているコレステロール低下薬の1つである」としており、「これはパーキンソン病患者の疾患進行を阻止する安全性の高いアプローチであると考えられる」と述べている。
ラッシュ大学のパハン氏らは、ネブラスカ大学メディカルセンター(ネブラスカ州オマハ)の研究者らとともに、今回の研究結果をジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(米国神経科学学会誌)10月28日号に掲載した。
著者らは、p21Rasと呼ばれるタンパク質の活性が、パーキンソンの病態を有するマウスの中脳において、ごく初期に増大することを明らかにした。シンバスタチンは、脳内に入り、p21Rasタンパク質とその他の関連毒性分子の活性を遮断し、続いて神経細胞を保護するとともに、神経伝達物質濃度を正常化させるよう働き掛け、パーキンソン病マウスの運動機能を改善させる。
「病気のしくみがどのようなものか理解することは、脳の保護と、パーキンソン病の進行阻止に有効性を示す薬を開発するのに重要である」とパハン氏は述べた。「今回の結果を臨床現場においてパーキンソン病患者に再現できるならば、この重篤な神経変性疾患の治療にとって注目すべき進歩となるだろう」
本研究は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)およびパーキンソン病研究財団(Foundation for Parkinson's Research)のマイケル・J・フォックス(Michael J. Fox)氏の研究助成を受けて実施された。
パーキンソン病は、中脳内の黒質として知られる小領域の細胞に影響が認められる緩徐進行性の病気である。これらの細胞が徐々に変性に陥ることにより、重要な神経伝達化学物質であるドーパミンの減少を引き起こす。ドーパミンが減少すると、パーキンソン病の典型的徴候が1つ以上みられるようになる。この徴候には、身体片側の静止時振戦(ふるえ)、全身の動作緩慢、四肢の硬直、歩行困難、または平衡障害などがある。パーキンソン病の原因は明らかにされていないが、環境的および遺伝的な病因であるとみなされてきた。
米国とカナダにおいて約120万人がパーキンソン病を発症している。患者の15%は50歳前に診断されているが、一般に高齢者を対象とする病気であると考えられており、60歳を超える100人に1人が発症している。この病気は、女性よりも男性にやや多くみられる。
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