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2010-06-30
ソース(記事原文):サイエンスデイリー
眼の研究により糖尿病性眼病変の進行を遅らせる2つの治療法が明らかになった
サイエンスデイリー(2010年6月30日) — Ⅱ型糖尿病の高リスク成人患者の糖尿病性網膜症に関して、研究者らは同症の進行を遅らせる可能性がある2つの治療法を発見した。同症は眼病変の一種で、生産年齢のアメリカ人が失明する主要な原因である。
厳格な血糖管理を行うと、標準的な血糖管理を行った場合と比べて同症の進行が遅くなった。また高脂血症に対するフィブラートとスタチンの併用療法によっても、スタチン単剤療法と比べて同症の進行は遅くなった。しかし厳格な血圧管理をしても、標準的な血圧管理をした場合と比較して同症の進行に差はなかった。
米国国立衛生研究所(the National Institutes of Health)の支援を受けた、糖尿病の心血管系リスク管理のための行動(the Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes:ACCORD研究)の中の眼研究(the ACCORD Eye Study: ACCORD眼研究)は、研究結果をニューイングランドジャーナルオヴメディシン(the New England Journal of Medicine(NEJM))オンライン版に6月29日に掲載した。そして同日、第70回米国糖尿病協会科学会議で発表する予定である。
「ACCORD眼研究が明確に示しているのは、厳格な血糖管理と、スタチンにフィブラートを併用する脂質治療がそれぞれ糖尿病性網膜症の進行を遅らせるということです。」とエミリー=チュウ博士(Emily Chew)は言う。博士は同眼研究の責任者で、米国国立眼研究所(the National Eye Institute)の疫学ならびに臨床応用部門臨床試験分野(the Clinical Trials Branch of the Division of Epidemiology and Clinical Application)の部長である。「ACCORD研究本体でわかったのは、スタチン-フィブラート併用療法は今回の試験の被験者のような患者さんにとって安全な治療法だということでした。しかし血糖値を正常に近づけることを目標にした厳格な血糖管理を行うと死亡や重篤な低血糖の危険性が増加しました。ですから患者さんと担当医はこういう潜在的危険性を考慮に入れながら糖尿病治療計画を進めていかなればいけません。」
ACCORD研究はⅡ型糖尿病の成人患者10,251人が参加した歴史的な臨床試験である。Ⅱ型糖尿病の成人患者は心臓発作、脳卒中あるいは心血管系疾患による死亡の危険性が特に高い。同研究は3つの厳格な治療法を標準的な治療法と比較し、糖尿病に伴う心血管系の危険性を低下させる効果を評価した。
厳格な治療法とは、血糖値ないし血圧を正常に近づけることを目標とする血糖ないし血圧管理、そして複数種の血中脂質に対するフェノフィブレート-シンバスタチン併用療法の3つである。脂質治療試験では併用療法をシンバスタチンを単剤投与する標準的な治療法と比較した。フェノフィブレートが中性脂肪濃度を下げ、高比重リポタンパク質(「善玉」コレステロール)濃度を上げる一方で、シンバスタチンは低比重リポタンパク質(「悪玉」コレステロール)濃度を下げる作用がある。参加者全員が血糖管理試験に参加すると同時に、血圧管理試験ないし脂質治療試験のどちらかに参加した。
ACCORD眼研究には、ACCORD研究全体の参加者のうち2,856人が参加した。研究者らは糖尿病性網膜症の進行状況を4年に渡って調べ、各治療法の眼の血管に対する効果を分析した。同症は、眼の中で光を感じる網膜組織の血管が糖尿病によって損傷する病変である。血管から血液が漏れ始めることで網膜が腫脹し異常な新しい血管が成長する。この2つはともに失明の原因となる。同眼研究では、眼底写真(網膜の写真)による血管の変化の所見、ないし異常な血管に対するレーザー治療または眼科的手術が必要になったかどうかという基準で同症の進行状況を判定した。
厳格血糖管理群では、標準血糖管理群と比較して同症の進行が4年間で10.4パーセントから7.3パーセントまで、約3分の1抑えられた。厳格血糖管理群のヘモグロビンA1cの中央値は6.4パーセントで、これは糖尿病に罹患していない人々の測定値に近い値だった。標準血糖管理群の中央値は7.5パーセントで横ばいだった。
「以前の臨床試験でわかっていたのは、I型糖尿病患者または新たにⅡ型糖尿病と診断された患者さんに厳格な血糖管理を行うと糖尿病性網膜症の進行を遅らせる上で有効だということでした。」米国国立眼研究所の部長、ポール= A. シービング博士(Paul A. Sieving)は語る。「ACCORD眼研究ではⅡ型糖尿病を発症して平均10年になる成人患者を対象にした、より大規模な研究でこれらの結果を確認しました。血糖値を標準的な目標値以下に下げると糖尿病性網膜症の進行を抑えるのに効果があると証明できたのです。」
さらに高脂血症に対するフェノフィブレート-シンバスタチン併用療法も、シンバスタチン単剤療法と比較して同症の進行を4年間で10.2パーセントから6.5パーセントまで、約3分の1遅らせた。フェノフィブレート-シンバスタチン併用療法が糖尿病性眼病変の進行を遅らせることを示した臨床研究はこれまで1つもなかった。
収縮期血圧(血圧の2つの測定値のうち先に来る数字)を120 mm Hg未満に下げることを目標とした厳格血圧管理群と、同血圧を140 mm Hg未満にすることを目指す標準血圧管理群の間では同症の進行に差はなかった。
ACCORD研究本体の結果では、3つの厳格な治療戦略のいずれも心臓発作、脳卒中または心血管系疾患による死亡率の合計を標準治療と比較して著しく減少させることはなかった。しかし約3年半の監視期間中の厳格血糖管理群の死亡率は標準血糖管理群と比べ22パーセント高く(5.0パーセント対4.0パーセント)、深刻な低血糖の発生率は3倍高かった(10.5パーセント対3.5パーセント)。
ACCORD研究は2001年に始まり、参加者を平均5年間治療し監視した。厳格血糖管理群の死亡率が標準血糖管理群(対照群)と比べて高くなったことから血糖管理試験は予定より18ヵ月早く終了となり、血糖管理に関する臨床試験の結果は2008年に報告された。血圧管理試験と脂質治療臨床試験の結果はNEJMの2010年4月29日号に掲載された。
「厳格な血糖管理を行えば目の病変を含めた微小な血管の障害の危険性が下がることはわかっていました。このACCORD研究本体の重要な問題は、心臓発作などの原因となる大きな血管の障害も厳格な血糖管理によって減らせるかどうかということでした。研究者らは高リスクⅡ型糖尿病患者に対する治療戦略の危険性と有効性の評価を続けています。」スーザン= B. シューリン博士(Susan B. Shurin)はこう語る。ACCORD研究の資金は主として全米心臓肺血液学会(the National Heart, Lung, and Blood Institute)が提供したが、博士は同学会の会長代行である。「臨床医は患者さん個々人に合った治療を行って合併症を予防しなければいけません。心血管系や目の病変などの情報を考慮に入れながらです。運動や減量、健康的な食生活のような生活習慣に対する指導により糖尿病を管理しやすくなりますし、糖尿病の発症を抑えることができます。」
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