【禁忌】
・ジャディアンス25mgの成分に対し過敏症の既往歴のある人
・重症ケトーシス、糖尿病性昏睡または前昏睡の人: 輸液およびインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるのでジャディアンス25mgの使用は適当ではありません。
・重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある人: インスリン注射による血糖管理が望まれるのでジャディアンス25mgの使用は適当ではありません。
【慎重使用】
・以下の人または状態: 低血糖を起こすおそれがあります。
1)脳下垂体機能不全または副腎機能不全
2)栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態
3)激しい筋肉運動
4)過度のアルコール摂取者
・ほかの糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤またはインスリン製剤)を使用注意の人: 併用により低血糖を起こすおそれがあります。
・脱水を起こしやすい人(血糖コントロールが極めて不良の人、高齢者、利尿剤を併用している人など): エンパグリフロジンの利尿作用により脱水を起こすおそれがあります。
・尿路感染、性器感染のある人: 症状を悪化させるおそれがあります。
・高度肝機能障害の人: 使用経験がなく安全性が確立していません。
・中等度腎機能障害の人
【重要な基本的注意】
・ジャディアンス25mgの使用にあたっては、低血糖症状およびその対処方法について充分理解してください。特にインスリン製剤またはスルホニルウレア剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあります。インスリン製剤またはスルホニルウレア剤による低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤と併用する場合には、これらの薬剤の減量を検討してください。
・糖尿病の診断が確立した人のみ適用を考慮してください。糖尿病以外にも耐糖能異常・尿糖陽性など、糖尿病類似の症状(腎性糖尿、甲状腺機能異常など)を有する疾患があることに留意してください。
・ジャディアンス25mgの適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を充分に行なった上で効果が不充分な場合に限り考慮してください。
・ジャディアンス25mgの使用中は、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、ジャディアンス25mgを3ヵ月使用しても効果が不充分な場合にはほかの治療法への変更を考慮してください。
・使用の継続中に使用の必要がなくなる場合や減量する必要がある場合があり、また不養生、感染症の合併などにより効果がなくなったり、不充分となる場合があるので食事摂取量、血糖値、感染症の有無などに留意の上、常に使用継続の可否、使用量、薬剤の選択などに注意してください。
・ジャディアンス25mgの使用により、血清クレアチニンの上昇またはeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査してください。腎機能障害のある人では経過を充分に観察し、継続的にeGFRが45mL/min/1.73/㎡未満に低下した場合は使用の中止を検討してください。
・尿路感染を起こし、腎盂腎炎、敗血症などの重篤な感染症に至ることがあります。また膣カンジダ症などの性器感染を起こすことがあります。充分な観察を行なうなど尿路感染および性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行なうとともに、状態に応じて休薬などを考慮してください。尿路感染および性器感染の症状および、その対処法について理解してください。
・ジャディアンス25mgの利尿作用により多尿・頻尿がみられることがあります。また体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行なうよう指導し、観察を充分行なってください。脱水、血圧低下などの異常が認められた場合は、休薬や補液などの適切な処置を行なってください。特に体液量減少を起こしやすい人(高齢者、腎機能障害の人、利尿薬を併用している人など)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症などの発現に注意してください。
・ジャディアンス25mgの作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがあります。著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、以下の点に留意してください。
1)悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害などの症状が認められた場合には、血中または尿中ケトン体測定を含む検査を実施してください。異常が認められた場合には使用を中止し、適切な処置を行なってください。
2)特にインスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発言しやすいので、観察を充分に行なってください。
3)ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害など)について理解するとともに、これらの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診するよう指導してください。
・排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する人においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮してください。
・ジャディアンス25mgの使用による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意してください。
・低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転などに従事している人が使用するときは注意してください。
・ジャディアンス25mgとインスリン製剤またはGLP-1受容体作動薬との併用における有効性および安全性は検討されていません。
【効能・効果に関連する使用上の注意】
・ジャディアンス25mgは2型糖尿病と診断された人のみ使用し、1型糖尿用の人は使用しないでください。
・高度腎臓機能障害の人または透析中の末期腎不全の人ではジャディアンス25mgの効果が期待できないため使用しないでください。
・中等度腎機能障害の人ではジャディアンス25mgの効果が充分に得られない可能性があるので使用の必要性を慎重に判断してください。
【高齢者】
・一般に高齢者では生理機能が低下しているので状態を観察しながら慎重に使用してください。なお国内外の臨床試験の併合解析において、75歳以上の人では75歳未満の人と比較してジャディアンス25mg群で体液量減少の有害事象の発現割合が高かったとの報告があります。
・高齢者では脱水症状(口渇など)の認知が遅れるおそれがあるので注意してください。
【妊婦、産婦、授乳婦など】
・妊婦または妊娠している可能性のある人はジャディアンス25mgを使用せず、インスリン製剤などを使用してください。
・授乳中の人はジャディアンス25mgの使用を避けてください。
【小児など】
小児などに対する安全性は確立していません。
「他の薬との併用」
以下の薬剤とジャディアンス25mgを併用する場合は注意してください。
・糖尿病用薬(スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、インスリン製剤など): 糖尿病薬との併用時には低血糖が起こるおそれがあります。特にスルホニルウレア剤またはインスリン製剤による低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤と併用する場合にはスルホニルウレア剤またはインスリン製剤の減量を検討してください。
低血糖症状が認められた場合には、通常はショ糖を使用し、α-グルコシダーゼ阻害薬との併用時にはブドウ糖を使用してください。
・血糖降下作用を増強する薬剤(β遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤など): 血糖降下作用の減弱により血糖が上昇するおそれがあるため、併用する場合には血糖値そのほかの状態を充分観察しながら使用してください。
・利尿薬(チアジド系薬剤、ループ利尿薬など): 利尿作用が増強されるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬量を調節するなど注意してください。