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2015-04-10
ソース(記事原文):メッドスケープ
統合失調症の陰性症状が抗炎症薬で軽減する可能性
メッドスケープ(2015年4月10日) ― 【ウィーン】―新しい研究により、統合失調症のある症状には一般的な薬のオフターゲット作用が有用と考えられている。
具体的には、オンダンセトロンとシンバスタチンが統合失調症の安定期において陰性症状の軽減に中程度の効果を示し、認知機能に対しても有用性の傾向を示した。
シンバスタチンは抗炎症特性も備えたHMG-CoA還元酵素阻害薬であり、一方のオンダンセトロンは5-HT3(セロトニン)受容体拮抗薬である。スタチン系薬剤はC反応性蛋白の濃度を下げ、5-HT3受容体拮抗薬は単球の免疫活性化によるTNF-αを減らす。
英マンチェスター大学(University of Manchester)のビル・ディーキンMD, PhD(Bill Deakin, MD, PhD)が報告したのは、2 x 2要因デザインの試験。その試験では、安定期と診断され通常の治療を受けている18歳から65歳の患者302名を対象に、「シンバスタチン40 mg/日とプラセボ(SP)」、「オンダンセトロン8 mg/日とプラセボ(OP)」、「シンバスタチンとオンダンセトロン(SO)」、「プラセボとプラセボ(PP)」を調べた。患者らは、SP群、OP群、SO群、PP群にほぼ均等に無作為に割り付けられた。
各治療群の年齢、性別、教育を受けた年数、およびPANSS(Positive and Negative Syndrome Scale、陽性・陰性症状評価尺度)の陰性症状スコア・陽性症状スコア・総合精神病理スコア・総スコアは均衡が取れていた。
試験結果の報告は、第23回欧州精神科学会議(European Psychiatric Association : EPA)の場で行われた。
試験の3カ月目も6カ月目も、結果に大きな違いはなかった。評価の対象とされた患者は、6カ月時点で少なくとも3カ月間は服薬を遵守していた245名だった。
3カ月目も6カ月目も、陰性症状はPP群よりSP群、OP群、SO群のほうが改善していた。ベースラインにおける4群のPANSS陰性症状の各平均スコアは17.4から18.0であり、3カ月目・6カ月目のデータの混合効果解析を行ったところ、服薬を遵守した患者集団のスコアはベースラインと比べ、オンダンセトロンでおよそ1.9(P = .003)、シンバスタチンで1.9(P = .002)、オンダンセトロン・シンバスタチンで1.3(P = .007)低下していた。
「相加効果は兆しすら見られません。紛れもなく、これが試験の結果なんです」とディーキン博士。「PANSS陰性症状尺度の差は2ポイントです。臨床的に重要ではないかもしれません」。
博士はその一方で、「性別」「罹病期間」「定型または非定型抗精神病薬の使用」で患者を層別化すれば、より明確な効果が明らかになるのでは、と話した。加えて相加効果がなかったのは、この2剤の作用が同じ経路を介して起こるという仕組みのせいではないかと語った。
陽性症状については、試験薬の効果は見られなかった。認知機能に対しても効果はほとんど認められなかったが、オンダンセトロンのみ、認知機能テスト(Coughlan verbal list learning)で遂行能力の改善傾向を示した(P = .083)。
統合失調症に関する先行研究のうち、抗炎症特性があるミノサイクリンを使用した研究についてディーキン博士は詳しく調べた。その際も、一部の研究ではPANSS陰性症状スコアへの効果はあったものの陽性症状スコアはそうでなかったため、博士とその共同研究者らは現在、この手の別の研究を実施中である。
統合失調症への抗炎症薬使用という論拠の裏付けとなっているのは、初期の精神病を患う未治療患者の前帯状皮質において、ミクログリアに結合するPET標識化合物の取り込み増加があるため、神経炎症が治療のターゲットとして妥当という知見だ。
「免疫系の変化により、例えば統合失調症に関わるドパミン系やグルタミン系で、神経伝達物質に異常が起こる可能性があります」。セッションの司会者であるアージェン・サッターランドMD(Arjen Sutterland, MD)(オランダ・アムステルダム、アカデミック・メディカルセンター所属)は、『メドスケープ・メディカルニュース(Medscape Medical News)』にそうコメントした。
サッターランド博士は陰性症状に関する試験結果について、「統合失調症の陰性症状には明確な治療法がないため、有望な結果です。陰性症状は精神医学の大きな課題であり、ご存じのように、社会生活機能に多大な影響を及ぼします」と語った。
「効果の大きさ」は小さかったものの、博士によると、統合失調症のバイオマーカーに関する近年の新しい研究によって特定できた患者のサブグループに、抗炎症薬を使う手法を利用した場合はもっとよい知見が得られるかもしれないという。
また博士は、この研究ではPANSS陰性症状尺度の差が2ポイントだったことを臨床的に重要ではないと片付けたりせず、患者の全般的な社会生活機能には、そんな小さな改善でも影響が出るのではと話した。
なぜ、抗炎症薬は統合失調症の陰性症状にだけ作用して陽性症状には作用しないのか、博士は「まだ分からない」と言う。
ディーキン博士は、ルンドベック社(Lundbeck)、サノビオン社(Sunovion)、アストラゼネカ社(AstraZeneca)から謝礼金や経費・研究費を受け取ったと報告している。加えて、ルンドベック社のストックオプションも持っている。サッターランド博士は、関連のある金銭的関係はないと言明した。
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