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2014-07-22
ソース(記事原文):メッドペイジ・トゥデイ
認知症治療薬が脳卒中を回復させる?
メッドペイジ・トゥデイ(2014年7月22日) ― クリスタル・フェンド(Crystal Phend)著、メッドペイジ・トゥデイ(MedPage Today)誌の常勤ライター
アルツハイマー病治療薬メマンチン(Namenda)が、脳卒中からの回復力を高める点で検討するに価し得ることが、マウスモデル試験で示唆された。
本剤を、脳卒中から2時間後に経口投与し始め、28日間継続したところ、最初の1週間目は、梗塞サイズに縮小はみられず、症状も改善しなかった。この結果はソールトレークシティーにあるユタ大学(University of Utah)のケヴィン・ブレナン(Kevin C. Brennan)博士らによって医学誌「ストローク(脳卒中)」7月号に発表された。
一方、長期的な指標において、メマンチン投与マウスは、対照群と比較して、回復が改善した。具体的には脳卒中後28日時点で、円筒における運動制御検査と、格子状の網の上の歩行検査において有意に大きな改善が見られたほか、内因性光学的信号の検査で脳内の前肢感覚地図が改善した。
標準的なヒト血清濃度と似通った濃度で本剤を投与すると、反応性アストログリオーシスの軽減や、脳梗塞周囲の血管密度の上昇、 それに血管新生に関与する脳由来神経栄養因子の増加につながることが、本研究で示された。
メマンチンはグルタミン酸作動性の興奮活性を抑えるNMDA受容体拮抗薬のことであり、一般にアルツハイマー病の進行を遅らせるのに用いられる。
デトロイトにあるウェイン州立大学(Wayne State University)神経科医シィーマント・ チャタヴェディ(Seemant Chaturvedi)博士は「本剤はアルツハイマー病患者において、非常に忍容性が良好であることが分かっており、脳卒中の回復を促進するのに役立つことが示されれば、重大なことである」とメッドペイジ・トゥデイ誌に語った。
チャタヴェディ氏は「数十年にわたり脳卒中の回復に役立つ薬剤がないか見つけようと試みられてきたが、これまで役立つことが明確に証明された薬剤は存在せず、今回の結果は大変興味深い」と補足した。同氏は本研究に関与していない。
最近の動物試験で、脳卒中における急性期投与で、梗塞サイズが縮小し、神経保護作用を得られる可能性のあることが示されていたが、血栓溶解薬と同様、治療の実行可能時間枠が実際の医療現場において困難となることが証明されている。
今回の結果から、回復期において脳卒中の予後を改善するのは「神経保護作用によるものではないとみられる」ことが示唆される、本研究者らは指摘している。
「最初に、脳卒中の回復を目指した治療が臨床的に実行可能であることが示唆される。次に、脳卒中の回復は、神経保護対策面で、厳格な時間依存性はなくても改善できることが示唆される」
一方 臨床診療で使われるようになるには、さらに多くの研究が必要とされるが、まずは臨床環境での研究が不可欠である、とブレナン氏の研究グループは提案している。
「最近になって、メマンチンが失語症に対する治療に成功し、脳卒中後の集団において有望であることを示した」と同氏らは指摘している。
チャタヴェディ氏によると、次のステップは、他の複数の研究所が今回の結果をマウスやラットで再現することであり、それから脳卒中患者を対象とした小規模試験に進む。
今回の結果は「ヒト脳卒中患者に関連のある可能性があるものの、言うまでもなく、マウスと人間の運動の器用さには大きな差がある」と同氏は述べている。
「マウスやラットで検証された薬剤が、人間では成功していない例が多くある。それ故、人間に効き目があるかどうかについて慎重を期するに越したことはない。2~3ヵ所の研究所で再現されれば、もう少し励みになる」
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