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2011-10-23

ソース(記事原文):ザ・スター・オンライン

過食症

ザ・スター・オンライン (2011年10月23日) ― ミルトン・ラム博士(Dr Milton Lum)著

過剰に食べた後にさまざまな方法で食べたものを排出しようとしているなら、過食症を患っています。

神経性過食症は摂食障害です。この障害は食べ物を大量に食べ(むちゃ食い)、その後で本人が嘔吐を促したり、下剤を使用する、あるいは過度の運動によって食べたものを排出する処置を取る(浄化行動)というサイクルを特徴とします。

摂食障害の原因は明らかにされていません。ただし、生物学的、家族的、心理学的、社会的要因の複雑な相互作用によると考えられています。

原因として以下の要素が挙げられています。

-両親または兄弟姉妹に摂食障害者がいるという家族歴から、生物学的要因が考えられる。

-自己評価が低い、完璧主義、人間関係の乱れ、家庭内の不和といった心理学的要因が寄与している可能性。

-10代の少女の場合、体型に注目するメディアや周囲からのプレッシャーといった社会的要因が寄与している可能性。

摂食障害のリスクを高める因子には以下があります。

-10代の女性、若い女性。

-10代の少女で、その両親および兄弟姉妹が外見や体重を過度に重視している。

-うつ病、不安障害、強迫性障害を患う人。

-人間関係の断絶などストレスの多い状況。

-運動選手、ダンサー、モデル、バレリーナ、体操選手などの職業。

神経性過食症と神経性無食欲症は、体重・体格・体型について誤った認識がある、またそれらに対し著しく過剰な懸念があるという点で似ています。

しかし、この2つの症状にはいくつかの違いがあります。神経性過食症は、少なくとも週2回の不適切な減量行動(嘔吐、下剤または利尿薬の乱用、過度の運動、絶食)と、同じく少なくとも週2回のコントロールできない大量のむちゃ食いを特徴とします。

神経性無食欲症は、不健康な低体重(期待体重の85%以下)の自主的な維持、3周期以上の月経停止(無月経)、体重増加や太ることへの強い恐れを特徴とします。

通常は若い女性が摂食障害を患い、女性と男性の比率は10~20対1です。先進国の若い女性における神経性過食症と神経性無食欲症の平均罹患率は、それぞれ1%と0.3%です。国内データはありませんが、マレーシアにおける罹患率はこの数値からそれほど大きく外れていないと考えられます。

過食症の特徴

神経性過食症の臨床的特徴として、繰り返すむちゃ食いと浄化行動が挙げられます。むちゃ食いをしている間、本人は自制心のなさを味わい、心地良い満腹感を超えて食べています。

むちゃ食いの後、通常は自己誘発性嘔吐、下剤の乱用、薬によって尿の排泄量を増やす(利尿薬)、ダイエットに用いる薬の使用または乱用により、摂取した食べ物を排出します。過度の運動をはじめとするダイエットも頻繁に試みます。

胃内容物の排出遅延、下剤の乱用、腸蠕動の低下のため、神経性過食症の人に腹部膨満や便秘がみられるのはよくあることです。

嘔吐に伴い、体内のナトリウム、カリウム、クロールの喪失による電解質異常、唾液腺のうち頬の後方にある耳下腺の腫脹、歯のエナメル質の浸食、口やのどの痛み、また自己誘発性嘔吐の際に指が隣接する歯に当たってできる手指背面の硬いたこが見られることがあります。

胸部や腹部に、便器の輪郭のような形をしたあざが見られることもあります。

下剤を乱用すると、電解質異常や体の化学的性質の変化が生じることがあります。電解質やpHの異常により、低血圧、心拍数の異常、心電図(ECG)の変化、筋力の低下、けいれん発作、腎不全が起こります。

深刻な結果だけでなく、致命的な結果さえもたらす場合があります。

神経性無食欲症と同じく、神経性過食症にはうつ病、不安障害、強迫性障害、人格障害、嗜癖障害などその他精神衛生上の疾患との関連性が見られます。若い女性にこれら精神衛生上の疾患が認められる場合は、摂食障害を疑います。

神経性過食症を患う人は衝動の抑制に問題があり、自傷行為、性の乱れ、万引きを起こす傾向にあります。

過食症の管理

神経性無食欲症と同じように、神経性過食症の管理には主に3つの構成要素があります。つまり、身体的異常の評価・是正および体重の回復、規則正しい食事や正常な食事のパターンを作るとともに浄化行動をやめる、心理療法および再発の防止です。

治療を始める前に、患者の医学的・社会的必要性、リスク、過食症の重症度について評価を行う必要があります。

患者の身体的、心理社会的、家族的機能の評価は適切な治療の基本です。神経性過食症の患者のほとんどは、進んで医師に相談します。そのため患者との関わりや信頼関係の構築は比較的容易です。これが神経性無食欲症の人では異なり、反抗的な若者であることが多く、自分に何か問題があることを否定します。

重大な異常があればまずそれを直さなければいけません。通常、神経性無食欲症とは違って神経性過食症では体重が極めて少ないということはないため、規則正しい食事をしたり、むちゃ食いや浄化行動をやめることに重点を置きます。自己誘発性嘔吐の始まりは、むちゃ食いの頻度や量が増える前触れとなることがよくあります。

過食症の重症度に応じて、外来患者として(これが最も一般的です)、つまり日帰りで、あるいは病院の入院患者として治療を行います。

心理療法には、認知分析療法(CAT)、認知行動療法(CBT)、対人関係療法(IPT)、焦点化力動的精神療法(FPT)、家族療法(FT)があります。

CATについては、過去、大抵は幼少期に患者が構築した不健全な行動・思考パターンが過食症の原因であるという理論に基づいています。CATでは、不健全なパターンの構築理由を説明できる過去の出来事を探す再構築、そうしたパターンがどのように過食症に寄与しているのかという認識、そしてこれら不健全なパターンを打ち破るための変化を特定する修正が行われます。

CBTは、状況に対する考え方が人の行動に影響するという理論に基づいています。同じように、行動が人の考え方や感じ方に影響します。このため、思考と行動という行為を同時に変えることが必要です。

IPTは、他者との関係が人の精神衛生に大きな影響を与えるという理論に基づいています。

FPTについては、過去、大抵は幼少期における未解決の葛藤が神経性過食症と関連しており、この葛藤が成人期に再現されているという理論に基づいています。

FTでは患者と身近な家族が、神経性過食症が自分達にどのような影響を及ぼしているのか、そして自分達ができる前向きな変化について話し合います。

CBTとIPTは神経性過食症の管理に有効なことが明らかにされています。選択される治療法の種類は、本人の希望やサービスの利用可能性に基づく場合があります。

薬は、過食症に伴ううつ病に対して処方されるのが一般的です。抗うつ薬のフルオキセチン、デシミプラミン、イミプラミンが効果的なことが明らかにされています。

専門家による管理だけでなく、神経性過食症の人は以下のように対処法を身に付けることができます。新たなスキルを学ぶ、趣味を作る、社会的なグループ活動に参加することにより自尊心を高める;現実的になり、メディアや友達の嘘に屈しない;ダイエットや食べたものの排出をやめる;手本となる健康的な人を見習う。

神経性過食症の人は回復が可能ですが、それには長い時間がかかる場合があります。この摂食障害の人は、食べ物に対する考え方を変える、食習慣を変える、また必要に応じて体重を安全に増やす必要があります。

神経性過食症を患う期間が長いほど、回復は難しくなります。神経性過食症の人のほとんどは、その回復過程において多くの段階を経験し、前進したり後戻りしながら進んでいきます。


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