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2016-04-06
ソース(記事原文):MedPage Today
1型糖尿病患者ではダパグリフロジンとリラグルチドの併用がケトアシドーシスを引き起こすかもしれない
【MedPage Today】(2016年4月6日) ― ダパグリフロジン(Farxiga)、リラグルチド(Victoza)およびインスリンの3種類の薬を服用している1型糖尿病患者は予後の改善はみられるが、その恩恵はケトアシドーシスの明らかなリスクを生じることが、新たな1組の書類によってここで明らかにされた。
研究者たちは、既にリラグルチドおよびインスリンで治療を行なっている1型糖尿病患者30人を調査した。まず患者をナトリウム・グルコース共役輸送体-2(SGLT-2)阻害薬であるダパグリフロジンまたはプラセボ薬のいずれかを追加薬とするグループに無作為に分け、12週間投与した。ニューヨーク州立大学バッファロー校のフッサム・ガニム博士とその同僚によると、ダパグリフロジン群ではHbA1c値が0.6%低下したがプラセボ群では変化はみられず、また週毎のグルコース濃度は15mg/dL減少したとのこと。
しかしそこには安全に関する深刻な懸念がある。ダパグリフロジンを投与された2人の患者が、服用量を10mgに増やした翌日に糖尿病性ケトアシドーシスを患った。ガニム博士は、この2人の患者は試験から外した、と内分泌学会の年次総会で報告した。有効性研究に加え、ガニム博士はケトアシドーシスに関する別の研究結果を発表した。
「血糖でさらなる改善の必要性があります」とガニム博士。「1型糖尿病を持つ圧倒的に大多数の患者が、HbA1c<7%という血糖目標に至っていないという事実から見て、治療に対する新しい取り組みは不可欠です」。
有効性試験
患者たちはリラグルチドの投薬に加えて、ダパグリフロジンまたは偽薬投与群に2:1の割合で無作為に分けられた。まずダパグリフロジン5mgの投薬から開始し、1週間後に1日10mgに増量された。患者は全員とも1型糖尿病を1年以上患っており、最低でも7ヵ月リラグルチド1.8mgを使用していた。
リラグルチドはグルカゴンと遊離脂肪酸を抑制し、またSGLT-2はグルカゴンを増加するため、著者たちはこれらの薬剤の併用は効果的であろうと期待した、と説明するのはガニム博士。
患者たちはインスリン治療を受けており、血漿にC-ペプチドは検出されていない。平均体重は82.6キログラム(182ポンド)、平均HbA1cは7.68、平均血糖値は163mg/dL、平均年齢54歳、そして糖尿病と診断された時点の平均年齢は29歳であった。患者のうち女性は17人。また白人でなかったのはわずか2人で、1人はアフリカ系アメリカ人、そしてもう1人はアジア人だった。基準値におけるグループ間の顕著な相異は特にみられなかった。
ガニム博士とその同僚は、治療と対照群の低血糖症には統計的差異がないことを発見した。さらに両群での総インスリン投与量に違いはなかったが、基本のインスリン量がプラセボ群では1.9ユニット増加した一方で、ダパグリフロジン群では33.7ユニットから0.72減少した。
さらにプラセボ群では体重が減少しなかったが、これらの治療群の患者はわずかに体重が減った(-1.9kg)。またダパグリフロジン群では総コレステロールおよびLDLコレステロールがそれぞれ6%と8%上昇し、プラセボ群では11%と17%であった。
ガニム博士は、この研究は糖尿病協会から承認され、近い将来に発表の計画がある、と語っている。
ケトアシドーシス発症リスク
有効性試験と同じ患者で、1人の患者は正常血糖糖尿病性ケトアシドーシスのために試験から外、ほかの患者は高血糖性ケトアシドーシスがみられた。前者の患者は総インスリン量が33ユニットから26ユニットに減り、もう1人は試験中に投与量に変更はなかった。しかしこの両者はダパグリフロジンの投与量を10mgに増やしてすぐにケトアシドーシスが発症している。著者によると、これらの患者の動脈pHは<7.10であった。ダパグリフロジン群ではプラセボ群と比較して、尿中ケトンアセトアセテートおよびβ-ヒドロキシ酪酸塩が0.68µM/mgクレアチニンから1.28に明らかに上昇した。さらに、ホルモン感受性リパーゼは29%上昇し、遊離脂肪酸は0.34から0.59に増えたが、プラセボ群ではいずれも測定値に変化はなかった。
血清β-ヒドロキシ酪酸塩値はFFA濃度と関係している、とガニム博士。ケトアシドーシスを発症した2人の患者は再水和されて静脈インスリンで治療をし、最終的に再びリラグルチドとインスリンによる治療を開始した。
総会の司会を務めるニューオリンズ州チューレーン大学のビビアン・フォンセカ博士はメッドページ・トゥデイに対し、医者たちは1型糖尿病患者の薬物療法に伴うリスクを理解することが重要である、と語った。さらに彼は、彼自身は米国臨床内分泌学会(AACE)から近刊予定の、GLP-1受容体作動薬に対するケトアシドーシス患者の管理に関する合意声明の共著者である、と付け加えた。
「それはとても包括的で、重要な事柄であり、その周囲には多くの間違った情報とあいまいさがあります」と、彼は言った。
ガニム博士は業界とは何の関係もないことを公表している。2人の共著者は、アストラゼネカとノボ・ノルディスクとの関係を公表している。
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