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2013-04-02

ソース(記事原文):メッドペイジ・トゥデイ

デュロキセチンは化学療法による疼痛を緩和する可能性

メッドペイジ・トゥデイ(2013年4月2日)― メッドペイジ・トゥデイ(MedPage Today)誌の常勤ライター、コール・ペトルーシュカ(Cole Petrochko)著

監修:カリフォルニア大学サンフランシスコ校臨床医学准教授ロバート・ジャスマー(Robert Jasmer)博士と、看護プランナー(Nurse Planner)ドロシー・カプト(Dorothy Caputo)

抗うつ剤および不安障害治療薬であるデュロキセチンは化学療法による有痛性末梢神経障害を効果的に治療することが、第III相試験の結果で示された。

アナーバーにあるミシガン大学看護学部のエレン・ラヴォア・スミス(Ellen Lavoie Smith)博士らによれば、5週間にわたる治療で、簡易疼痛調査表(BPI-SF)で測定された疼痛スコアにおける痛みのスコア改善の平均が、デュロキセチンを投与された患者の方がプラセボを投与された患者よりも有意に大きく(1.06対0.34、P=0.003)、両群間の平均差は0.73であった(95% CI:0.26~1.20)。

さらに、デュロキセチンで治療開始した患者の方が、プラセボよりも疼痛軽減(程度は問わず)を報告した人が多かった(59% 対 38%)、と同氏らはアメリカ医師会機関紙(JAMA:Journal of the American Medical Association)オンライン版で記している。

スミス氏と共著者らによれば、化学療法による有痛性の末梢神経障害は、タキサン、プラチナ製剤、およびビンカアルカロイドなどの神経毒性のある化学療法剤で治療を受けた患者の約20%~40%で起こり、こうした症状は治療完了から数年間にわたり継続し、機能障害やQOL(生活の質)低下を誘発することがあるという。

先行研究では、こうした症状に関連した痛みの治療に、デュロキセチンなどのセロトニンとノルエピネフリンの二つの再取り込み阻害薬が有効でありうることが示されているほか、その他の第III相試験ではデュロキセチンが有痛性糖尿病性神経障害の治療に有効であることが明らかにされている。

パクリタキセルやその他のタキサン系薬剤またはオキサリプラチン治療後のグレードI以上の感覚性ニューロパチーを有する成人患者集団220人を対象に、化学療法による有痛性末梢神経障害に関連した疼痛に及ぼすデュロキセチンの効果を検討するため、無作為化二重盲検プラセボ対照交差試験を本研究者らが実施した。

被験者は25歳以上であり、化学療法後3ヵ月以上にわたり神経因性疼痛10点満点中平均4点と報告した。糖尿病または末梢血管疾患を併発し、化学療法に関連した疼痛を有すると考えられる患者は本試験に含まれたが、高リスク群に分類された。また、特定の鎮痛薬を併用投与されている患者の場合は、無作為化割付けまでの2週間にわたり安定用量を投与されていることや、試験前および試験中に新たな薬剤を追加しないこと、および投与中止しないことが満たされた場合、試験に含めることとした。

患者はまずデュロキセチンまたはプラセボのいずれかを5週間投与される群に1対1の割合で無作為に割り付けられ、8週目~12週目まではもう一方の薬剤に切り替えることとした。被験者は治療の1週目に1錠のプラセボ、またはデュロキセチン30mgを投与され、その後4週間にわたり2剤のプラセボ、またはデュロキセチン60mgを投与された。もう一方の薬剤への切り替えは2週間の休薬期間を設けた後に行った。

主要評価項目は治療から5週後の簡易疼痛調査表における平均疼痛スコアの減少(つまり改善)とし、副次的評価項目はQOL、機能、および有害事象に及ぼす薬物治療の効果などとした。

試験開始前の疼痛スコアは初回デュロキセチン群で有意に高かった(6.1 対 5.6,P=0.02)一方、これ以外の患者特性は両群間でよく一致していた。

患者の疼痛スコアは、初回プラセボ群よりも初回デュロキセチン群で有意に減少し、効果の大きさは「やや著明」の0.513であった、と本研究者らは述べている。

初回デュロキセチン群の方が初回プラセボ群よりも何らかの疼痛軽減を初回報告した人が多かった一方、初回デュロキセチン群の30%が疼痛に変化なしと初回報告し、10%は疼痛増加を報告した、と本研究者らは記している。相対リスクは初回デュロキセチン群で50%の痛みの軽減に対し2.43(95%CI:1.11~5.30)であり、初回プラセボ群では30%の痛みの軽減に対し1.96(95%CI:1.15~3.35)であった。

「プラチナ製剤を投与された患者では、タキサンを投与された患者よりも、デュロキセチンでより大きな効果を得られた(P=0.13)」と同氏らは指摘した。

また、デュロキセチン治療は、プラセボと比較して、生活機能を妨げる痛みの大きさを著しく軽減させることと(P=0.01)、QOLを有意に改善させること(P=0.03)に関連した。デュロキセチン群の方がグレードIIの有害事象を報告した患者が少なかった(16%対27%)一方、グレードIIIの有害事象を報告した患者は多かった(7%対3%)。ただし、血液学的なグレードIVまたはグレードVの血液毒性は認められなかった。一般的な有害事象には、疲労、不眠、悪心が含まれた。

有害事象に関連する試験脱落者は初回デュロキセチン群の方が初回プラセボ群よりも有意に多かった(11%対1%、P<0.001)。

試験の限界点として、デュロキセチン群の脱落者数が多いことや、試験開始前の疼痛評価、および補助的鎮痛薬の投与量の記録漏れなどがあった。さらに、本試験には長期経過観察されなかったという欠点もあった。

本研究は米国国立癌研究所(NCI)癌予防部門およびSDC(統計データセンター)から財政的援助を受けた。

スミス氏と2名の共著者はCALGB共同研究グループから支援を受けた。その他の共著者はジェネンテック(Genentech)社とNCIとの関連を報告した。


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