オメズ20mgは、オメプラゾールを有効成分とするプロトンポンプ阻害薬で、逆流性食道炎(胸やけ)や消化性潰瘍など胃酸による胃腸障害の治療薬です。
胃は、口から摂取された食物を胃液という消化液を用いて消化します。
胃液はペプシノーゲン(タンパク質分解酵素ペプシンの前駆体)、そのペプシノーゲンを活性させる胃酸、そして胃粘液から構成されています。
胃液に含まれている胃酸は、食べ物と一緒に入ってきた細菌の殺菌や、食べ物の繊維質をやわらかくする働きを持っていますが、pH1~2という非常に強い酸性であるため、時には自身である胃そのものを消化してしまう場合があります。
胃酸による自己消化を妨げるために、胃には胃粘液を分泌し、内壁を覆うことによる自己防衛作用が備わっています。
胃粘液は強いアルカリ性であり、胃酸の中和やペプシンの過剰作用を抑えることによって、胃酸による消化作用から自身を保護しています。
つまり酸による消化作用と、それに対する防御作用のバランスによって健康な胃の機能が保たれています。
ところがこの消化作用と防御作用のバランスがストレス、タバコ、アルコール、薬などの要因によって崩れ、胃酸の分泌が活発になったり胃粘液の分泌が衰えたりすると、胃粘膜が傷つけられてしまいさまざまな胃腸不良や潰瘍(消化性潰瘍)が発生してしまいます。
胃液は胃の粘膜細胞にある胃腺から分泌されています。
胃腺には主細胞、壁細胞、そして副細胞が存在し、主細胞はペプシノーゲンを、壁細胞は塩酸を、副細胞は粘液を分泌しています。
壁細胞には、細胞内のプロトン(陽子の水素イオン)を細胞膜外へ送り出すプロトンポンプと呼ばれるタンパク質複合体が存在しています。
細胞質に存在しているプロトンはATPと呼ばれるエネルギー源によって細胞の外へ押し出されますが、この際の通り道となるのがプロトンポンプです。
細胞の外に押し出されたプロトンは、そこで胃腔に存在している塩素と結合して塩酸となり、胃液の構成要素の一つである胃酸を形成します。
オメズ20mgの有効成分であるオメプラゾールは、腸管に吸収された後に分泌細管に入り、そこでプロトンと結合することによってスルホンアミド体に変換されます。
変換されたスルホンアミド体はプロトンポンプのシステイン(活性部位)と結合し、そのプロトンポンプ駆動酵素であるH+/K+-ATPaseの作用を阻害します。
これにより自然分泌される胃酸の量、あるいは刺激によって促進される胃酸の分泌が抑制されます。
経口服用後、わずか1時間以内にこの抗分泌作用が発現し始め、2時間以内にはその薬理作用はピークに達します。
服用後24時間の抗分泌作用は50%、作用継続時間は72時間と言われています。
オメズ20mgは、このようなプロトンポンプ阻害作用による胃酸の分泌の抑制により、過剰分泌された胃酸が食道に逆流することを妨げたり、また胃や十二指腸に発症した潰瘍の治癒や再発を防止する効力を発揮します。
さらには胃酸過多によって引き起こされる消化不良の症状を緩和する作用もあります。
オメズ20mgは、ジクロフェナクのような非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の副作用として生じる潰瘍の治療薬、あるいは予防薬としても用いられています。
非ステロイド抗炎症薬は、プロスタグランジンと呼ばれる生理活性物質の生成を抑えることによって痛みを軽減する作用を持っていますが、このプロスタグランジンは胃を保護している胃粘液構成物質の一つでもあるため、結果として胃酸に対する胃粘膜の防御力を弱めてしまい、潰瘍を発症させてしまうこともあります。
このようなことからオメズ20mgはしばしば非ステロイド抗炎症薬と組み合わせて処方されることもあります。
さらに、オメズ20mgは消化性潰瘍の原因の一つであるピロリ菌に対する抗生物質の効力をより増強する作用があるため、抗生物質と一緒に使用されることもあります。